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吾妻ひでお先生が『失踪日記』を出版した当時、それに関連して私が『ネットランナー』に書いたコラムの再掲載

12/22~12/30まで毎日更新中。
本日は、2005年5月発売の『ネットランナー』に書いた文章の再掲載で恐れ入ります。(場つなぎ的な更新で申し訳ありません)

 

マンガとガテン

「肉体派の漫画家」というと、「キレイ好きのゴキブリ」のように矛盾した響きに聞こえるかも知れません。

注:ステレオタイプな漫画家のイメージとしては、『巨人の星』の牧場くんのように、絵ばっかり描いてる運動音痴が想像されるかも知れない……みたいなことを述べております。(そして、ゴキブリが本当はキレイ好きだというように、実際はそうとも限らないよね、みたいな話を以下にしています)

しかし、『グラップラー刃牙』の作者・板垣恵介先生は、少林寺拳法2段にして、ボクシングで国体に出場した経験の持ち主。
路上格闘漫画『ホーリーランド』の森恒二先生も元ストリートファイターで、木刀を持った右翼ナイフを持った黒人を倒した戦歴があるそうです。

そこまで武闘派じゃなくても、漫画家の先生の職歴には、わりとガテン系のマッシヴな仕事が登場します。

たとえば、『世紀末リーダー伝たけし!』の島袋光年先生は、高校卒業後に親元を離れ、下水道工事やビルメンテナンスのバイトをしながら漫画家を目指して、浄化槽(ウンコ貯め)に入ったこともあるそうです。

道元宗紀先生も、高校卒業後に漫画家を目指して上京し、ホームレスの皆さんといっしょにセメント袋や鉄板をかつぐ仕事をしながら漫画を描き、初連載を勝ち取ったのだそうです。

ただし、その初連載『奴の名はMARIA』は人気投票の結果が悪く、わずか9週で打ち切られてしまいます。

のちに本人が語ったところによると、

連載後は「借金だけが残り(個人差はありますが、9週だけでもやれば経費として300万から350万円はかかるんですよ)、連載終了後、即、アシスタント生活に逆戻り」(『A・O・N』第1巻196頁)

だったそうです。

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