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小池一夫先生の麻雀漫画『花引き』

9月23日~9月30日まで毎日更新……の予定だったのですが、9月26日分の更新が1時間ほど遅刻してしまいました。
本当に申し訳ございません。

※9月27日の12時ごろに「追記」した内容は、画像の追加と、一部文章の変更です。

『極道の娘』

単行本の第1巻が「続く」で終わって、それっきり第2巻が発売されなかった漫画は多いです。

たとえば、魂の巨匠・ジョージ秋山先生の『極道の娘』。

『週刊アサヒ芸能』の2000年2/3号~2003年4/24号に連載した作品です。

連載期間は3年、150話ほど雑誌に載ったのですが、単行本は1巻だけ。
130話以上が単行本未収録
となっています。

ジョージ作品には「毒薬」という人気キャラがいるのですが、この『極道の娘』には「毒薬の妹」というレアなキャラが登場。
テキストサイトの「しろはた」さんなどで話題になりました。

しかし、やはり「毒薬の妹」の登場で盛り上がる方が異常者という印象は否めません。
世間一般の人気としては、『極道の娘』は2巻以降を出すと赤字になる漫画でした。

毒薬の妹が登場するのも後半で、いまだに単行本化されていません。

チャンピオン打ち切り漫画の単行本事情の変化

まあ、『週刊少年ジャンプ』だったら、1巻を出して2巻を出さないなんてことはないのですが……。
竹書房の『近代麻雀』とか、秋田書店の『週刊少年チャンピオン』とかだと、「赤字になると分かっている2巻は出せない」ということも起きてきます。

しかし、最近は電子化が進んだことで、状況が良くなりました。
以前なら「2巻以降の予定はありません」で済まされた漫画が、「2巻以降は電子書籍のみ」という形で、いちおう単行本化されるようになったのです。

たぶん以前なら「単行本打ち切り」だった作品たちですが……。
いまの『週刊少年チャンピオン』では、特殊な事情がなければ、なんであれ電子で最終回まで単行本化されます。

いい世の中になりました。

※とはいえ、講談社のアプリ「マガポケ」で連載した『浅海さんと死んでもイキたい。』とか、白泉社のアプリ「マンガPark」で連載した『人魚姫オーバーキル』とか、最初から電子連載なのに電子単行本が出ないのも意外と多いです。

『パンダのこ』の単行本2巻が発売!

また、『近代麻雀』に2003年ごろから不定期掲載された『ミスターブラフマン』は、当時の単行本が1巻で止まってしまい、未収録エピソードが大量にあったのですが……。

2018年に、すべてのエピソードを収録した全3巻の電子書籍を出してくれて、気軽に読めるようになりました。

(その「2巻」が出たときの文言は、こんな感じでした。

やっぱり「2巻のカベ」があるのですね)

こういう例はまだ少ないですが、過去に単行本打ち切りだった漫画が、電子のみでも全話単行本化されるのは、すごく嬉しいです。

てことで、

『パンダのこ』は、2013年ごろに『週刊少年チャンピオン』で連載した漫画ですが、単行本は1巻でストップ。
未収録エピソードを読むのは難しくなっていたのですが、今度、全話収録の電子書籍(全3巻)にしてくれるそうです。

これは素晴らしい……!
この調子で、『ラブバスケット』とか『モメンタム』とか『デザートローズ』とか、どんどん電子化して欲しいです。

『花引き』

そんなこんなで、「『パンダのこ』2巻以降の単行本化! ひゃっほう」というのが、今日の本題でした。
しかし、それだけで終わってもアレなので……。

以下、単行本1巻打ち切りの未収録エピソードが多い漫画で、個人的に好きなヤツを紹介してみます。

てことで、こちら。

竹書房の『近代麻雀』で、2004年から連載した『花引き』という漫画です。

巨匠・小池一夫先生が原作を担当したのですが、「竹マジックである『2巻のカベ』に阻まれ、あわれコミックは1巻どまり」でした。

小池一夫先生は、過去に麻雀漫画を手掛けたことがあるのですが……。

『花引き』は久しぶりの麻雀漫画ということで、『近代麻雀』2004年 6/15号では、

“不敗のドン”と異名をとった小池一夫が、二十余年の時を経て麻雀界に復帰!!!

とアオられていました。


序盤

さて、『花引き』の主人公は、ヴォルガ竹之丞
「花引き」と呼ばれている男です。

口癖は「えいこーら」

小池一夫作品の主人公なので、当然のように超人的な能力を持ち、特に理由もなく裸になり、何かにつけてセックスします。

最初のセックスシーンでは、ヴォルガ竹之丞がロシア人の少女とイタしているのですが、最中なのに、なぜか2人そろって『ヴォルガの舟歌』を熱唱しています。

小池一夫先生は、いつも「漫画の面白さはキャラクターを立てるかどうかで決まる」と仰られていますが……。
主人公たちが麻雀牌が散乱したベッドで「えいこーら えいこーら」と歌いながらメイクラブと、さすがのキャラ立ちです。

ついでに、ロシア少女は17歳ということで、ヴォルガ竹之丞がいきなり未成年淫行をカマしている点も見逃せません。

さらに、ベッド周辺に散らばった麻雀牌は、あと1枚で「緑一色」という役ができる状態になっていました。

「發を引けば緑一色の完成じゃい――ッ」と叫び、ソレを見事に引き当てると……。

引いた麻雀牌をおっぱいに叩きつけて「ルンバじゃ――ッ」と絶叫。

セックスの最中に麻雀牌で役を作っているという時点で十分オカシイのですが、麻雀牌を17歳のチチに叩きつけて「ルンバじゃーッ」と叫ぶに至っては完全な変態です。

しかし、主人公の性格(牌を引き当てる強運と常識を超えた男気)を読者に見せる序盤としては、もしかしたら成功しているのかも知れません。

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