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ジョージ秋山伝説 外伝 ~『食べ物がなくなる』~

6月ごろ、ジョージ秋山先生について記事を書きました。

「ジョージ作品の輪郭をなぞる」という目標で25000字ほど書いて、わりと自己満足しました。
しかし、ストーリー漫画の代表作について部分的に話すのが精一杯で、語れなかったことは多いです。

たとえば、『週刊少年キング』の1974年27号に掲載された、ジョージ先生の短編『食べ物がなくなる』
私の大好きな作品ですが、前回は触れることができませんでした。

キング

『食べ物がなくなる』は36ページの読切で、電子化どころか、単行本に収録されたこともナシ。
その内容は、もしかしたら『ばらの坂道』よりも単行本化が難しいかもしれません。

そもそもマイナーなので刊行を求める声も少なく、再収録は望み薄。
当時の掲載誌でしか読めない作品になっています。

この時期の『少年キング』は国会図書館にもありません。ヤフオクなら500円~、古本屋なら1500円程度が相場かと存じます。(2000~3000円だと少し高い気がします)


時代背景

そんなこんなで、ジョージ秋山先生の『食べ物がなくなる』について、ご紹介いたします。

(もう普通に読めない漫画ということで、がっつり詳しめに紹介させていただきます)

rたべ

なんとなく、当時の感覚を書いてみると……。

まず、1960年代から、「第三次世界大戦(核戦争)」「公害(大気や水質の汚染)」「大災害(大地震・彗星の衝突・氷河期の再来)」など、近い将来の終末を予想するムードが強くなってきました。

そして1973年は、オイルショックが起こり、『デビルマン』が人類滅亡を描き、不安な世相に乗って『日本沈没』や『ノストラダムスの大予言』が大ベストセラーになるという、凄まじい年でした。
(みんなの不安に「1999年」というリミットが打ち込まれたことは、日本史の裏側に大きく影響していきます)

それで、『食べ物がなくなる』が描かれたのは1974年5月。

当時は食糧危機も大きな不安のひとつでした。
(『ノストラダムスの大予言』でも、「海に棲む魚。その姿は異様で奇怪で恐ろしい」といった予言詩から、遅くとも1998年には海が汚染され魚は一切食べられなくなると予言されていました)

なので、「人口増加、異常天候による不作! ひしひし迫る食糧危機。われわれの未来は?」というレポートは、当時の世相にドンピシャなテーマでした。


ちばてつや登場!

『食べ物がなくなる』は、ジョージ秋山先生ご本人の語りで進行します。
冒頭は、「きみたちはいったい何才まで生きるつもりですか!?」という問いかけ。

きみたちは

即座に「きみたちはそんなに長くは生きられない」と脅して来るのは、こういうコンテンツの定石通りでしょうか。

じゅうしょ

(ファンレターの宛先として漫画家のガチ住所が載っているのは、いまでは考えられないことですね)

そして、「日本にも食糧危機がくる」「石油危機や紙不足よりも もっと恐ろしい」と語り出すジョージ先生。
それから、「数年前 大へんな数のバッタが海に落ちて死んでいるのを目撃した」という体験談になって……。

ばった

『あしたのジョー』のちばてつや先生が、いきなり実写で登場。
読者は、ここで「ん?」と思います。

とにかく、ちばてつや先生によると、食糧がなくなったバッタが自殺しているのだそうです。

すとりっぷ

ちばてつや先生とストリップを見に行って、3万円ほどお小遣いをもらったという情報が強すぎて、話が頭に入りません。

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