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2006年はオタク氷河期? 『平成ヲタクリメンバーズ』雑感

※この記事は「4月分」の更新なのですが、5月3日深夜に「追記」の形で更新しました。

ゲッサンの新連載

先日、『ゲッサン』の新連載が少し話題になりました。

『ゲッサン』2023年3月号(に掲載された4月号の予告)

この次号予告の中にある、「2006年、オタクというだけでバカにされていた時代。そんなオタク氷河期」というフレーズが物議を醸しました。

というのも、00年代半ばには「電車男」の影響が大きかったので、2006年が「オタクというだけでバカにされていた時代」の代表みたいに言われると、違和感があるからです。

 

00年代半ばのこと

2004年に、2chの独身男性板で、恋愛経験のないオタク男性が「エルメス」という女性と付き合うまでのストーリーが展開。
10月に『電車男』として書籍化されて、ミリオンセラーになりました。

その影響を受けて、2005年1月には、『ダ・ヴィンチ』が「オタク人口280万人突破! もうオタクと付き合うしかない?」という特集を載せています。
(当時、それを「ちゆ12歳」の記事にしました)

さらに、当時のほっかほっか亭の「ご自由にお持ち帰りください」の小冊子を見ても……。

と、「電車男」に便乗して「2005年。いま世間では<モテない男がモテる>という不思議な現象が巻き起こっています」などと述べています。

こういうのが多かった年が、2005年でした。

2005年夏には「電車男」のテレビドラマも放送されて、関東では最終回の視聴率が25%。
このドラマも世間一般への影響は大きかった気がします。

そんなこんなで、ほかの時代との相対的な比較としては、「電車男」の影響が残る2006年は「氷河期」というよりは、むしろ逆の印象があります。

もちろん、「オタク=キモい」という印象は常にあるわけで、あくまでも他の時期との比較ですが……。

(「世間の風が冷たかった」という基準なら、宮崎勤の影響が青春に直撃したのが一番の「氷河期」の世代で、エヴァや電車男の頃は相対的に温暖だったかも知れません)

そんなこんなで、この次号予告だけでも、猛烈な一言ひとこといたさ」を感じさせるものでしたが……。

「漫画本編を読んだら印象が変わるかも知れない」ということで、個人的には、予告だけで発言するのは控えようと思いました。

 

実際に読んでみて…

そして、翌月。
『ゲッサン』2023年4月号に、その漫画が載っていました。

「オタクに人権のない哀しき時代があった!!」
「これはそんな“オタク氷河期”を生きてしまった男のリベンジマッチ!!」

という感じで、実際の本編も、予告通りの内容でした。

『ゲッサン』2023年4月号

たぶん、オタクだからという理由で殴る蹴るの暴行を受けることは、そんなに一般的ではないと思いますが……。

とにかく、この漫画の主人公の認識は、次のような感じでした。

(この兄ちゃんの推しのVはホロライブの宝鐘マリンという設定)

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