「種村有菜先生っぽい絵柄」で問題になった少女漫画(『聖ワルキューレ同盟』と『ロマンスとバトル』)
『ちゅちゅ』について
2005年末、小学館の『ちゃお』の姉妹誌として、『ちゅちゅ』という月刊誌が誕生しました。
小学館の少女漫画としては、
・『ちゃお』(小学生くらいが対象)
・『少女コミック』(中高生くらいが対象)
が、わりと成功しています。(少コミは性交もしていました)
しかし、『ちゃお』が低年齢寄りになり、『少女コミック』がオトナ寄りなったことで、ややギャップがありました。
『ちゃお』を卒業した読者が、次は『少女コミック』に……という感じでもなかったのですよね。
てことで、そこを埋める感じで、『ちゃお』以上『少女コミック』未満という『ちゅちゅ』ができたのでした。
『ちゅちゅ』自体は2000年から年1~2回の増刊として存在しており、2005年12月に月刊化。
『ちゅちゅ』の連載陣は、
・『ちゃお』で活躍していたおおばやしみゆき先生、やぶうち優先生
・『少女コミック』で活躍していたしがの夷織先生、水都あくあ先生
など、『ちゃお』と『少女コミック』の選抜メンバーで、ちょっとした夢の共演という印象でした。
そして、『少女コミック』で3回の短期連載を経験した新人作家・紗羅まひろ先生も、『ちゅちゅ』創刊号の連載メンバーのひとりに選ばれました。
『聖ワルキューレ同盟』のこと
かくして、『ちゅちゅ』の創刊号に、紗羅まひろ先生の連載『聖ワルキューレ同盟』の第1話が掲載されました。
しかし、これが種村有菜先生の『紳士同盟†』や『神風怪盗ジャンヌ』に似ている? みたいな感想が、ネットに書き込まれました。
(確かに、絵柄など影響を受けているのは確かだと思います)
それで、紗羅まひろ先生のホームページの掲示板が少し荒れたりしたのですが……。
翌月、『ちゅちゅ』の創刊2号が発売されると、
「『聖ワルキューレ同盟』は、紗羅先生の都合により連載を中断させていただきます」
と、第2話は掲載されていませんでした。
その後、連載が再開されることはなく、紗羅まひろ先生が小学館で描くこともありませんでした。
※『聖ワルキューレ同盟』以降は、2007年に講談社の『なかよし』の増刊号に読切が載っただけで、その後の消息は分かりません。
連載中止の理由は書かれていませんでしたが、病気や怪我でもないのに1話終了というのは、あまりない話。
時代背景などを考えても、「パクリ疑惑」が原因だった可能性が濃厚です。
※時代背景
2005年10月、末次由紀先生の少女漫画について、ネットで構図盗用が指摘されたことが大きな問題化。連載打ち切り・単行本絶版・1年以上の活動停止となりました。
そのため、『聖ワルキューレ同盟』の第1話が掲載された2005年12月には、「パクリ」について、出版社が非常に過敏になっていました。
その時期に「ネットで盗作と噂になった漫画」が1話で打ち切られたのは、そういうことだろうと思われます。
似ているところ
この『聖ワルキューレ同盟』、掲載できないレベルの問題があったのかは疑問なのですが……。
とりあえず、「似てた」とは思います。
■絵柄
目の描き方とか、髪型やら輪郭やら衣装やら……。
たぶん、種村有菜先生の絵をお手本にして練習したことも多いのでしょう。
画風全体に、大きく影響を受けていると思います。
■キャラ
『聖ワルキューレ同盟』の主人公が、『紳士同盟†』の小牧に似ている……というのが、当時、指摘された点でした。
キャラというか、やはり描き方全体に影響を受けている感じですけど、「似てる」という印象を抱かれるのは分かります。
ただ、「トレース」「構図がそのまんま」といった、一発アウトな部分はないと思います。
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