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ふたなりの歴史とか

・この記事は「4月分」の更新だったのを5月17日に「追記」の形で更新したものです。いくらなんでも遅すぎて、本当に申し訳ございませんでした。
・2010年2月の『二次元ドリームマガジン』Vol.51に書いた記事の再掲載です。

「ふたなり」という言葉の歴史

100年前の本

1920年に出版された『一般性慾学』という本に、次のような記述があります。

俗に「ふたなり」と称するものであって、
(中略)
多くは特に陰核が異常に発達して陰茎の状を呈するとか、
(中略)
多く其の外陰部を利用して同性間性欲に陥り易い

と、100年前の本に「クリがペニス化した女性は百合ックスにハマリやすい」みたいなことが書かれておりました。

 

『卜養狂歌集拾遺』

また、1680年(江戸初期)の『卜養狂歌集拾遺』には、

「女かと 見れば男の 万之介 ふたなり平の これも面影」

という狂歌が載っています。

歌舞伎役者の万之助サマは美しい……という歌なのですが、

  • 美しい男といえば在原業平

  • 中性的な美しさだから「ふたなり」と掛けて「ふたなり平」

などというネタが1680年の時点で通じたことが分かります。

 

『和漢三才図会』

日本初の百科事典『和漢三才図会』(1713年)にも、半男女ふたなりという項目があります。

和漢三才図会 巻第十

ここに「俗に云う“二形”」という記述もあります。
(室町時代から二形船ふたなりぶねという軍艦もあるように、「二形」で「ふたなり」と読みます)

 

『病草紙』

二形ふたなり」の表記は古く、平安末期の絵巻物『病草紙』にも「男女の根ともにありけり、これ二形のものなり」とあります。

宮武外骨先生の『半男女考』(1911年)では、これが「ふたなりの記事」のある最古の文書だということです。

そんな感じで、「ふたなり」という言葉には800年以上の歴史があるのでした。

※『半男女考』は、今から100年前の日本人が手に入る「ふたなり」情報を可能な限り集めた奇書で、国会図書館に利用者登録すればネットで無料で読める(URL)ので、個人的にはオススメです。

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