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「マンガ」のカタカナ表記と、「ロリコン」が流行語になった時期

※この記事は9月15日に更新しました。マガジンとしては「8月分の記事」のところ、更新が遅れてしまっており、大変申し訳ございません。

今日の話題

最近、タイムラインに、こういったツイートが流れてきました。

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この「マンガ」の件と「ロリコン」の件について、思うところを書かせてください。

※まったく違う話題なので、記事を分けたほうが読みやすいと思うのですが、分割すると記事を水増しみたいになってしまって、こうなりました。ごめんなさい。

 


「マンガ」のカタカナ表記

まずは、こちらの話題について。

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「まんが」「マンガ」「漫画」といった表記のこと。
現在では、なんとなく使い分けられている感じで……。

アプリ名だと「マンガ」が多い。
(「マンガPark」「マンガワン」「マンガUP」「マンガMee」「マンガBANG!」「マンガがうがう」「マンガほっと」「LINEマンガ」など)

雑誌名だと「マンガ」は少ない。
(『漫画ゴラク』『漫画アクション』『漫画ローレンス』『まんがタイムきらら』『まんがライフ』『まんがパレット』『まんがグリム童話』など)

※『マンガ少年』『マンガエロティクス』『マンガくん』『マンガ宝島』『マンガ奇想天外』『マンガの鬼』などがありますが、「漫画○○」「まんが○○」より割合は少ないです。

「まんが」「マンガ」「漫画」の、どれも普通に使われますが、「カタカナ表記が定着するのは70年代後半くらい?」みたいな問いかけが、今回のツイートでした。

 

新聞の場合

正直、そっち方面は私も疎くて、詳しいことは分からないのですが……。

たとえば、1952年の新聞でも「マンガ」という表記は見られます。

『朝日新聞』1952年11月26日 東京夕刊

「ぼくはマンガの人気者」
「子供たちにとって、ディズニー漫画は、いまや人気の中心」
「1928年に最初のトーキー漫画『蒸気船ウィリー』に初登場しました」

昔は、アニメも漫画と呼ばれたので、『蒸気船ウィリー』などのディズニー映画も「ディズニー漫画」。「トーキー・アニメーション」ではなく「トーキー漫画」と書かれています。

(※この当時、『鉄腕アトム』の連載は始まっていますが、日本ではテレビ放送の開始もまだで、『アトム』のアニメ化は10年ほど先)

と、そんくらいの時期の新聞でも、見出しは「マンガ」で本文は「漫画」だったりしたようです。

ほかにも、

『朝日新聞』1953年10月4日 東京夕刊

「新聞がくると子供たちが、まっさきにとびついて読むのが「マンガ」だといわれます」
「中学生になると「なんですね、マンガばかり読んでいて……」とお母さんにしかられる材料になったりします」

こんな感じで、「マンガ」のカタカナ表記は使われていました。

 

戦前・戦後のもの

「いつ頃から」というのは、ちゃんと調べないと迂闊に言えなさそうで、申し訳ないのですが……。

ちょっと国会図書館のサイトを見ても、さかのぼると戦前の話になるように思います。

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戦後だと、1948年から『月刊子供マンガ』や『こどもマンガクラブ』という雑誌も出ております。

とはいえ、元のツイートは、もっとあとの時代を想定した話題っぽいので、そこまでさかのぼると別の話になってしまうかも知れません。

 

『COM』と『ガロ』

元のツイートで名前が挙がっている『COM』(1967年1月号で創刊)では、書かれている通り、基本的に「まんが」表記でした。

※細かいことを言えば、冒頭の「漫画・まんが・マンガ・MANGA」のところに「マンガ」表記があったりとかはします。(藤子不二雄先生の連載『マンガニカ』も、いちおうカタカナ表記に分類?)

『COM』1968年7月号

一方、同時期の『ガロ』だと、あまり表記は気にしていない様子。

と、雑誌名は「漫画」ですが、誌面で「マンガ」表記も使ったりします。

革命で漫談社や幼学館を滅ぼす作品でも、

『ガロ』1967年6月号

タイトルは『マンガ革命』で、作中も「マンガ」表記で統一でした。

 

『ジャンプ』と『チャンピオン』

1968年創刊の『少年ジャンプ』では、基本的に「漫画」表記ですが、「力作まんが」「マンガジャーナル」といった表記も混在していました。

少年ブック 1968年8月号

全部盛りで並んでいるのは、あまり気にしていないのか、意図的なのか不明ですが、とにかく表記統一のこだわりはなさそうです。

『少年チャンピオン』でも、「まんが」「マンガ」が普通に混在していました。

『週刊少年チャンピオン』1970年23号

(特に意識せずに、なんとなく使い分けて両方あるのでしょうか?)

この頃は『まんが道』もカタカナ表記でした。

『週刊少年チャンピオン』1970年20号

一方、『マガジン』『サンデー』『キング』などは、基本的に「まんが」表記でした。
(こういった雑誌で、1960年代に「まんが」表記が多くて「マンガ」表記が少なかったのは確かだと思います)

『少年マガジン』では、1973年43号まで「まんが」中心で、1973年44号から「漫画」中心に切り替え。
1976年に連載した『その他くん』では「マンガ」表記にするなど、切り替え後は統一へのこだわりも無さそうです。

『週刊少年マガジン』1976年13号

1970年代に変わったイメージがあるとしたら、こういう『少年マガジン』の変化とか、『マンガ少年』の創刊(1976年)とかの影響があるのかも知れません。

また、『少年サンデー』は「まんが」表記中心だった期間が長く、90年代まで引っ張っているような感じでした。

と、出版社や雑誌のルールはあったり、表記にこだわった人もいるのですが、「マンガ」のカタカナ表記そのものは、60~70年代に「新しいもの」だったわけでもないように思います。

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