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「妹ブーム」研究・その12(完)

こちらの続きです。


そして、2001年ごろ

そんなこんなで、無駄に長くなってしまいました。

90年代後半、『同級生2』の鳴沢唯、『トゥルー・ラブストーリー』のみさき、『With you』の乃絵美など、ゲーム業界では「妹」の人気が高くなり、「恋愛ゲームで妹を攻略すること」が一般化しました。
エロゲ雑誌では、1996年に「妹ブームだし」という認識もありました。

しかし、1999年1月の『別冊宝島』では、砂沙美などを代表例に挙げて、「いもうと」の系譜は、戸籍上の「妹」から「マスコット的存在の妹分キャラ」へと変質しつつ発展を遂げていると述べられています。

2000年6月の『メガミマガジン』でも、「妹キャラ特集」というテーマで、『ラブひな』のしのぶ、『おジャ魔女どれみ』のおんぷなど、「妹になってほしいキャラ」ばかり紹介していました。

2000年ごろには、けっこう「妹」が注目されていたとは思うのですが、90年代後半にエロゲで義妹キャラが爆増した「妹との恋愛ゲーム」のムーブメントは、一般にはそこまで伝わっていなかったように思われます。

そして、2001年に『シスター・プリンセス』のプレステ版が発売され、テレビアニメが放送。
おそらくこの影響によって、「妹ゲーム」「妹との恋愛」といった概念が、一般に広く伝わりました。

また、この時期、普通の青年漫画でも「兄妹の恋愛もの」が増えています。

たとえば、『妹~あかね~』という漫画が、2000年から『ヤンジャン』に連載していたのですが……。

本当は『あしたのジョー』のジョーと丹下のような関係の兄妹愛を描きたかったんですよ(笑)。
あかねを刑務所に入れちゃう設定まで考えてました。それを兄の力で更正させるっていう。
(中略)
本誌で連載を始めたら、本誌の読者が期待してるのは兄妹の恋愛モノだった(笑)。
そんな世の中の風を受けて、兄妹モノから恋愛モノにシフトしたのが今の『妹』です。

とのことで、最初はそういう主旨の漫画ではなかったところ、読者に「兄妹の恋愛」が求められているということで、連載中に軌道修正が行われたのでした。

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