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『愛と誠』のガムコ(逆さ吊りにされたスケバン)を語りたい

この記事は7月26日に更新しました。マガジンとしては「6月分の記事」のところ、更新が遅れてしまっており、大変申し訳ございません。


スカートまくり

スカートめくりの呼称は、現在ほとんど「スカートめくり」に統一されていますが、昔は「スカートまくり」派もいました。

『ハレンチ学園』がそうでしたし、

『週刊少年ジャンプ』1969年14号

『巨人の星』の星一徹も「スカートまくり」派です。

『週刊少年マガジン』1970年36号

星一徹「スカートまくりのまねを事実やらかしたところで、さほど、めくじら立てるほどのことでなし、(中略)ごつんと一発もくらわせれば、すむところを、その教師たちこそスカートまくりがうらやましゅうて、やきもちをやいた欲求不満とちがうかの」

「スカートまくりはめくじらを立てるほどのことではない。一発殴る程度の体罰でよし」という思想の昭和感がスゴいです)

そんな感じの前置きで、今日は梶原一騎作品の話をします。

 

逆さ吊り

梶原一騎先生の場合は、スカートまくりよりも、逆さ吊りフェチだと思われます。

『男の星座』『新カラテ地獄変』『天下一大物伝』

・梶原先生ご本人に、リアルでぼったくりバーで暴れてホステスを逆さ吊りにしたという話があったりします。
・こういうシーン、梶原作品以外ではそれほど多くないですが、PC98のエロゲ『慾』の逆さ吊りに『カラテ地獄変 牙』の影響を感じたりもします。

そして、梶原作品の逆さ吊りのなかでも特に有名なのが、『侍ジャイアンツ』の涙の逆さ吊り打法……。

……じゃなくて、『愛の誠』のガムコでしょうか。

『週刊少年マガジン』1973年43号

『愛と誠』は『週刊少年マガジン』で連載して大ヒットした漫画なので、『カラテ地獄変』などと比べても知名度は高いと思われます。

 

『愛と誠』について

『愛と誠』が連載したのは、1973年~1976年ごろ。

現在のネットでは、「まってくれたまえ ことばの洪水をワッといっきにあびせかけるのは!」という台詞が有名です。

『週刊少年マガジン』1974年25号

連載当時には「きみのためなら死ねる!」という台詞が流行りました。

『週刊少年マガジン』1973年26号

※岩清水くんは、一方的な片想いで「きみのためなら死ねる!」を連呼して実践しようとしてくるのが怖いのですが、無害で善良なストーカーです。

当時、『愛と誠』は大ヒットして、映画化・テレビドラマ化もされました。

『週刊少年マガジン』1973年43号

※テレビドラマ版で主人公の「大賀誠」を演じるのは、『突撃! ヒューマン!!』の夏夕介さんでした。

それから、『愛と誠』は「講談社出版文化賞まんが部門」(講談社漫画賞の前身)も受賞。
その際、梶原一騎先生が「自信を持って自分で推薦した」という受賞コメントを出していました。

『週刊少年マガジン』1975年19号

 

『愛と誠』の鉄棒について

あと、以前にも書いたかもですが、『怪談新耳袋』などの豊島圭介監督も『愛と誠』について言及。

『週刊少年マガジン』2008年16号

「愛がスケバンに囲まれて鉄棒をさせられるシーンが忘れられない」と語っていました。

ただ、『愛と誠』に「愛がスケバンに囲まれて鉄棒をさせられるシーン」なんて存在しないのが、ちょっと怪談だったりします。

たぶん、元のシーンはコレで……。

『週刊少年マガジン』1974年13号

鉄棒を「させられた」わけではないのですが、監督の中では「愛がスケバンに囲まれて鉄棒をさせられるシーン」の思い出に変化したらしいです。

※このシーンの『マガジン』連載時に監督は2歳なので、もう少し大きくなってから単行本で読んだ記憶だと思われます。「美少女が鉄棒を強要される」ようなのが監督の性癖なのでしょうか??

いちおう、愛が体育の授業で鉄棒をするシーンも作中に2回ほどあるのですが、「スケバンに囲まれて鉄棒をさせられるシーン」とは違います。

『愛と誠』1巻

この授業シーンは、テレビドラマ版でも映像化されたのですが……。

愛と誠 ドラマ2話

と、ドラマでは段違い平行棒に変わって、クラスメートに見学されながらレオタードで演技をする授業風景になっていました。

※原作で「女子体操部」に鉄棒がある設定を地味に修正した感じですが、それはそれとしてシュールな授業風景になりました。

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