ひそかに応援していた同担の絵師さんが『きらら』に連載デビューしたので後方彼氏面するだけの記事
雑誌に載せる漫画の判断は、編集者がします。
漫画家になりたい場合、出版社に持ち込んだり、新人賞に応募したりして、編集者とつながるのが「正規ルート」です。
てな感じで、編集者が厳選した「いけそう」な漫画が雑誌に載ります。
このシステム、良い面もあるのですが、完璧とも言えません。
いくつか気になる点を挙げてみると……。
(1)「編集会議に通りやすい」といった目先の計算が優先され得る
(2)漫画家と編集者の相性が悪いと詰む
(3)そもそも編集者に正しい判断ができるとは限らない
本当は素晴らしいプロットなのに、編集者個人の好みだけでボツになったというケースも、たぶんあります。
ともあれ、漫画家さんが連載するには、OKが出るまで何度も何度もネームの作り直しを求められるのですが……。
そうして「厳選」したところで、いざ掲載してみたらダメだったという作品は無数に出てきます。
2013年、『週刊少年チャンピオン』で『スポ×ちゃん!』が打ち切りになった竹下けんじろう先生は、こう語りました。(URL)
漫画、とりわけ週刊少年誌の漫画の成否は、現在驚くほど早く判ります。
1話目のアンケートの結果どころか、1話目の発売日のネットでの反応を見れば、その漫画が売れるか売れないか、ほぼ判ってしまう。
月刊誌などでは連載開始から1年後に売れ出したということもありえますが、週刊少年誌ではたった1日で成否が下されます。
なので「スポ×ちゃん!」も1話目の反応で、長くは描かせてもらえないことは判っていました。
編集者たちは、長い工程をかけて「いけそう」な作品を厳選するのですが、ダメなものはダメ。
結局、実際に「いける」かどうかは、編集者にはフタを開けるまで分からないけど、初日のネットの反応を見ればだいたい分かるわけで……。
ん?
だったら、最初からネットの反応がいいものを連載させればいいんじゃね?
という発想が出てくるのは必然でした。
そんな感じで、2019年11月にツイッターでバズった画像4枚の漫画が、
2020年2月には『週刊少年チャンピオン』で連載開始──。
……みたいなことも、驚かれる話ではなくなりました。
Twitter発の漫画の成功例には、『宇崎ちゃん』などがあります。
元はTwitterの画像 → ドラゴンエイジのWEBで連載
もちろん、このシステムにも良い面・悪い面があって、「正規ルート」での漫画作りも大事だと思われます。
また、ネットでバズった漫画がすべて爆売れするわけでもありません。(『オーシャンまなぶ』とは何だったのか…)
とにかく、地道に編集者とネーム作業を繰り返していく「正規ルート」以外に、ネット一発の「裏ルート」みたいなものができたのでした。
くぼけんさんについて
最近、積極的に「裏ルート」を狙って連載デビューしたのが、くぼけんさんという方です。
くぼけんさんは、数年前から『アイマス』の同人誌を出していた方。
ちゆも千夜ちゃんの本とかを読ませていただいておりました。
ちなみに、くぼけんさんの同人誌は基本的に1冊600円だったのが、2019年の夏ごろから1冊500円になったのですが、
100円安くしたら販売部数が1.5倍になったという話も興味深いです。
(あ、同人誌のサンプルはこんな感じです。現在でもメロンブックスで買えます)
『異世界喰滅のサメ』
そのくぼけんさんが、今年5月に次のようなツイートをして、少しバズりました。
それが10月には、『コミックヴァルキリー』で連載開始。
これについて、くぼけんさんご本人は、こうツイートしました。
かつて、くぼけんさんも「正規ルート」で漫画家を目指していたそうです。
しかし、
「全ての工程で無限に時間を喰われる」
「担当さんとのネームやり取りだけで数年無駄にしました」
という感じで、挫折。
それが最近、
「SNSでバズった漫画が雑誌社さんの目に留まり、直接メッセージをもらい漫画家になるという方法を知りました」
「昔の苦労はなんだったんだ…」
「おかげさまで『サメを召喚した話』を載せてわずか数か月で漫画家になれました」
と、完全に計画通りという感じなのが、すごいです。
※くぼけんさんは、5月のツイートの時点で既に画力は十分高く、芸風の個性もあったので、「だれでもできる」みたいな話とは全然違います。(常人に狙ってできるもんでもないです)
※『異世界喰滅のサメ』については、不可抗力とはいえ、主人公が原因の一端を担っている現象(?)で人が殺されまくるのをギャグと割り切るのは読者を選ぶのでは……とも思うのですが、サメ漫画なら大丈夫なのでしょうか。
荒木比奈 後輩概念
さて、ここからが今日の本題になります。
先日も書きましたが、私は『アイマス』では荒木比奈ちゃんの担当P。
なので、比奈ちゃんの同人誌とかもそれなりにチェックしています。
そうして読ませていただいている「比奈Pの同人作家」のおひとりに、黒宮魚さんがいました。
黒宮魚さんは「荒木比奈 後輩概念」という、少々特殊な同人誌を描いておられます。
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