『ダッシュ!四駆郎』の思い出
四駆郎とローラー
『ダッシュ!四駆郎』は、1987年から『コロコロコミック』に連載したミニ四駆の漫画です。
「ミニ四駆」というのは、単三電池で走る車の模型。
タイヤやモーターといった部品を別売りの高性能パーツに交換したり、ドリルで穴を開けて改造できるのが魅力です。
ミニ四駆用のパーツはたくさん販売されていて……。
ミニ四ファイターの漫画でも、「見た目にも銀色のローラー、カッコいいだろ?」と、ローラーセット(150円)が宣伝されていました。
この「みんなも、ローラーだけは必ず装備しよう!!」みたいな販促をするために、『コロコロ』の漫画が存在しているハズです。
ところが、『ダッシュ!四駆郎』の主人公たちは、このローラーを使用しません。
その理由を聞かれた四駆郎は……。
「だって、あれ……かっこ悪いじゃん」
「目立たないようにつけるならいいけど、大いばりでつけるのはねぇ……」
と、『コロコロ』誌上で関連商品をディスりまくる四駆郎でした。
デフ! フロントエンジン!
そんな感じで、『ダッシュ!四駆郎』では、販促漫画という大人の事情よりも、作者の美意識が優先されていたのでした。
作者の徳田ザウルス先生は、たぶん本気で車を愛しておられて、メカの知識を前提にした上で、単に速度だけを求めるのではなく、己のロマンを語ります。
それが男心をくすぐり、メーカーに迎合した宣伝などせずとも、「ミニ四駆はオモチャじゃない!」という魂の波動が自然に出まくって、なんか分からんけどミニ四駆ってスゲェ! と共振したチビッコたちにミニ四ブームを起こさせたのでした。
『コロコロ』のホビー漫画といえば、荒唐無稽な部分が注目されることが多いところ、『ダッシュ! 四駆郎』では、
ミニ四駆はプロペラシャフトだからジャンプ中に車体が横転する
原始皇帝の異常なコーナー性能の正体は、ラジコンのようにデフを搭載していること
クリムゾンの秘密は、モーターをフロントに置いていること
……という感じに、車の機構に関しては、思いのほか現実的な理屈が出てきたりします。
まあ、出てくる人間の名前とかは、皇 快男児さんとか、閻魔 地獄丸くんとか、あまり現実的ではありませんでしたけど。
ミニ四駆とは全然関係ない異常も、わりと起こります。
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