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ご質問・ご要望への簡単なご返事をいくつかと、あとレオパルドンに関する、すごく凡庸な感想

まず、今日更新の『キン肉マン』がすごく良かったので、その話をさせてください。


レオパルドンについて

1978年、『週刊少年ジャンプ』の新人賞に、『キン肉マン』という漫画が準入選しました。
その作者は、ゆでたまごというペンネームの、2人組の高校生でした。

高校生コンビは高校三年生で、すでに就職が決まっていた。
本人たちは中学以来の親友で学生生活最後の記念にと合作したものだった。
漫画家になれるとは考えてもいず、指導教師の紹介で就職を決めていたのだ。
わたしは(略)ゆでたまごの両親説得に大阪へ飛んだ。
(西村繁男「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』」)

という感じで西村編集に見初められた『キン肉マン』は、1979年から連載を開始。
子どもたちから圧倒的な人気を得て、社会現象と言われました。


ゆで

読者プレゼントのページでじゃれ合う、若き日のゆで先生


なお、当時の『アニメージュ』の人気投票などを見ると、リアルタイムでは、中高生以上の支持は低かったようです。

あにm,えじゅ

そんな『キン肉マン』の特徴は、作品に登場するキャラクターのアイデアを、読者から募集していることでした。
(人気の高い主要キャラを含めて、「作者が考えたキャラ」よりも「読者が考えたキャラ」の方が圧倒的に多いのです)

そんな中、兵庫県の清水くんが考えたのが、「レオパルドン」というキャラクターでした。

清水

当時の小学生にとって、自分の考えたキャラが『キン肉マン』に採用されるのは、非常に名誉なことでした。

そして、1984年11月13日に発売された『週刊少年ジャンプ』50号で、このレオパルドンが、漫画本編に登場します。

レオパルドン1

「次鋒レオパルドンいきます!!」「グオゴゴゴ」「ギャア──ッ」

そのバトルシーンは、わずか1ページ。
マンモスマンの引き立て役としても弱すぎる、あまりにも無様な負け方でした。

レオパルドン、そして彼の所属する「ビッグボディチーム」は、シリーズ最弱の雑魚として、読者にバカにされました。

レオパルドンはあまりに瞬殺だったので、ネタキャラの中でも存在感が薄めだったと思うのですが、2000年代にインターネットが一般的になってくると、ネットでネタにされる機会が非常に増えました。

・レオパルドンを考案した清水くんが、学校で「次鋒レオパルドンいきます!」とおちょくられて、半泣きでケンカする姿を何度も見た

・清水くんは中学生になっても、柔道などで団体戦をするときには、必ず次鋒をやらされた

といった話が、ネットに出てきました。

とはいえ、レオパルドンはそれなりに愛されていて、こんな動画が作られたり……。


コミケでレオパルドンのコスプレをするファンもいます。

レオパルドンコス


2014年12月4日に放送された『水曜日のダウンタウン』では、ゆでたまご先生みずから、レオパルドンは緊張していただけで、「スパーリングではめちゃくちゃ強い」と語り、一部のファンを喜ばせました。

各種資料では、「地獄の砲弾」という必殺技を持っている設定も明かされています。
マンモスマンはレオパルドンを警戒して、ゴングが鳴る前に奇襲しただけ。地獄の砲弾を正面から打ち込まれれば、マンモスマンも危うい」
といったネタも人気です。

そんな感じで、レオパルドンは、長年愛され、バカにされ続けてきました。


35年目の復活

『キン肉マン』は1987年に完結しましたが、2011年から「続き」が連載されています。
(単行本も、80年代に終わったシリーズからナンバリングされています)

これが、大人になった『キン肉マン』ファンのために描かれた、素晴らしい内容になっています。

現行『キン肉マン』の良さは、話すとキリがないというか、まとめる時間がなくて雑になってしまうのですが……

・昔からコアな人気があるキャラをピックアップして大活躍させる
(ステカセキングのマッスルインフェルノ、ブラックホールのペンタゴンとの入れ替わり、マリポーサの美しい勝利ポーズ、ビッグボディ悲願の初勝利などなど)

・80年代に描写が薄くて微妙だったキャラを掘り下げて、メチャクチャ魅力的なキャラとして再生させる
(銀のマスクさんが平和の象徴どころか、鬼畜技アロガントスパークを使うヤベーヤツだったり(数十年ごしに明かされた本性が怖すぎるけど、なんか地味だったヤツが凄まじいキャラ立ちです)。よくわからない存在だったサタン様が毎週ツイッターでトレンド入りする可愛そうなゴミ屑さんになったり……)

・もちろん既存の人気キャラも活躍。新必殺技などもスゴい
(悪魔将軍の強キャラムーブとかヤバイです。地獄の断頭台を発展させた「神威の断頭台」は、技自体もネーミングもストーリー上の使われ方も完璧で素晴らしいです)

・作者は還暦近いのに、画力は衰えるどころかむしろいまがピーク
(特に、決めゴマの格好良さはスゴいです)

・既存キャラだけではなく、2011年以降に登場した完全な新キャラにも恐ろしく魅力的なヤツがいてヤバイ
(サイコマンは歴代肉キャラでもトップクラスに好きです。ジャスティスマンも正直最初は塩キャラだと思っていたのですが、気がつけば「究極の塩試合野郎」という突き抜けた魅力を獲得してしまいました。なんなのアイツ)

・80年代の週刊連載の忙しさの中で適当に作った設定を伏線として掘り下げて素晴らしい物語にしてしまう
(超人墓場とか、昔は唐突に出てきた謎設定だったのですが、新作の「超人墓場への侵攻を開始する!」にはワクワクしました。「超人墓場への侵攻」て。その場限りの謎存在だった「裁きの神ジャスティス」の回収とか……。単なる技のひとつだったマグネットパワーも、いまは設定盛られすぎてスゲエ話になっています。あれにそんなドラマがあるとは…)

・以前のように、子ども向けの単純な「正義と悪魔の戦い」ではなく、各陣営がそれぞれの思想を持って対立しており、その中で主人公のキン肉マンが果たす役割も、単に戦って勝つことではなくなっている
(現状、戦力としてキン肉マンよりも強いキャラは多いのですが、それでも主人公はキン肉マンです。「もしかしたら…この世に絶対的な正義など ないのかもしれん」「今回の闘いに関していえば誰にも悪意は一切なかった。誰も間違ってはいなかった」とキン肉マンが語る姿は、本当に大人になった読者に向かって描いてくれているのだと感じます)


このメチャクチャ面白い、完全新作の『キン肉マン』正統続編。
毎週月曜更新で無料なので、ファンは毎週楽しみにしており、何か展開があれば、必ずツイッターでトレンドになっています。

そして、今日の更新。

そんな『キン肉マン』に、あのレオパルドンが13075日ぶりに登場したのでした。

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