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きてくれたのが彼でよかった

秋になった。
秋生まれの私は、この、まだ暑いのだけど、空の色がうす水色になって、雲がスーッとなって、ときどき気持ち良い風がとおったりするこの季節が大好きだ。

ひとり息子は初夏生まれ。7年前の暑い暑い空梅雨。雲ひとつない晴天に生まれてきた。

お腹の中で元気に動き回っていたのか、へその緒を二重もまいて、産まれてきた彼。当たり前のように吸ってもらえると思っていた母乳は、乳首が彼の口にあわず、なかなか吸ってもらえず…それでも、なんとか吸ってもらいたいと格闘しているうちに私の腕は腱鞘炎に!

ふわふわな赤ちゃんとの日々は、想像に反して、痛いものだった。でも、かわいい赤ちゃんとの、今だけの特別な日々。かけがえのない時間。楽しみたいのに…。

日々成長する彼は、可愛い。
一瞬一瞬を映像に残したいくらい。

でも、彼は私とは全然ちがう。
車が好きだし、お人形さんは好きではないし、電車が好きだし、お絵描きは好きではないし、剣が好きだし、折り紙は好きではないし…。

動きたい彼と、動きたくない私。
はみ出したい彼と、はみ出したくない私。

何か一緒に楽しみたいと思っても、私が子どもだった時とは全然ちがう。子どもと、どうやって楽しんだらいいの?

無表情でプラレールを動かす自分に嫌気がさしながら思う。楽しんだふりしてもこの子にはバレているにちがいない。

彼と一緒に楽しめるところにいきたい!気持ちよく息を吸って、彼と心から笑いあえるところに行きたい!

まったく違う私と彼が、同じ場所にいつつ、笑顔でいられる場所を探し求める日々。

そんな時に出会ったのがダンスだった。
ひとりひとりがありのままいることがいい場所。自由な場所。

彼が私のもとにきてくれるまで、インドアだった私。本を読んで、映画をみて、美味しいごはんとお酒があれば幸せ。

そんなわたしが、彼がきてくれてから、家の中は、狭く、息苦しく、外に出たくなった。
そして、外に出るのが楽しくなった。人と出会うのが楽しくなった。産後出会ったママ友は、私がインドアだったことを信じてくれないくらい。

もし、彼が私と似た子どもだったら、家にこもり、外に出ず、ダンスにも出会ってないだろう。
そしたら40歳を過ぎてこんなにワクワクしていただろうか。

彼でよかった。彼のおかげで、私は生まれ変わったように刺激的に、今生きている。
きてくれたのが彼でよかった。
きてくれて本当にありがとう。

ゆみ

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