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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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#失敗

地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

睡眠を求め,思い出の旅館へ 【地方空き家サバイバル,30日目,2022/6/21(火)】

生活の破綻に気づいたのは突然だった。毎朝しんどかったが、全然いけると思っていた。作業を始めてしまえば、しんどさはどこかへ消えた。 2日前,散髪と図書館のために家を出た。作業から解放された脳が少しずつ状況を整理したようだ。散髪を終え,図書館でこれから読む本を借り,帰ろうとしたとき。ふと思った。今の生活は持続可能か。そこからの検証作業はつらかった。ひとつわかったのは、この家には住めないこと。 国道からの騒音により起きた,睡眠障害。今後のことを考えたいが,頭がボヤケて考えられな

眠れぬ家は持続不可能 【地方空き家サバイバル,29日目,2022/6/20(月)】

残念だが,この面白い家での生活は続けられないようだ。すぐ横を通る国道からの騒音のため,よく眠れないのだ。 朝起きたとき,眠いのがこれほどつらいとは知らなかった。移住初日から眠れぬ日々を過ごしてきた。原因は,家のすぐ脇を通る国道である。地方の森に住んでいるのに,車の騒音で眠れぬ日々を過ごすことになるとは。車通りの激しい国道で,一日中10tトラックがバシバシと風圧で家を叩きながら通っていく。 これから,家の問題を自分でなんとかしていこうと思っていた。しかし,この騒音問題は自分