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驚愕

我々は本当に凄いところを、
きわどいところを生きている。
二度と同じ繰り返しがないわけだから。
                                              武田定光

またな。

と、言って、別れて、二度と会うことがない人が多い。
もう二度と会うことないのだろうなぁ、なんて、感傷に浸って過ごしたことも何回もある。
だから、10年くらい前、学生時代のいつもつるんでいた友人たちと再会できたときは本当に嬉しかった。
5年くらい前、一緒に芝居をやっていた仲間と再会できたときも同様に嬉しかった。

二度とない今を生きている。
理屈では言える。
が、とてもそんなふうには思えていない。

なにもかもを「当たり前」にしてしまい、時をやり過ごしている、今を切り捨てている。

毎朝、写真を撮りに同じ公園へ行く。
雨でも降れば、雪でも降れば、昨日と違うのだが、
同じ天気が続けば、もう全てが同じに見えてしまう。
違う今を見ているのだと言い聞かせようが、
理屈ではどうにもならない。
わたしの現実は、昨日と同じ。
つい今しがたと同じ今。

ほんとうの現実は同じなんて一切ない。
一切が新鮮で、一切が驚愕で、一切が奇跡だ。

そう見えないところで、精神の均衡が保てているのも事実だろう。
一切の変化が見続けられたとしたならば、とてもではないが正気は保てない。

でも「いずるいき、いるいきをまたずしておわる」そんな驚愕的な今を生きている。

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