ちろうのAKB体験記:第3回 ■初めての青春ガールズ公演

■初めての青春ガールズ公演

青春ガールズ公演はその時すでに、ネット上で評判を呼んでいた。
ぼくにとっての唯一の情報源は2chの地下アイドル板であったが(本スレと各メンバースレ、最強ヲタ決定戦なるスレも存在していた笑)かなりの盛り上がりを見せていた。新公演はとにかくすごいらしい。といってもずっと情報を追っていたわけではない。数日に1度、思いついたときに覗く程度。何しろAKBヲタではなかったのだから。


2ヶ月ぶりの劇場公演は、抽選は何順だったか覚えていないが、下手側の2列目か3列目に座ったと記憶している。(補足として説明をすると、座席は最前列を除けば、当然の様にセンターブロックが早々に埋まるのだが、センター3列目くらいまでが埋まれば、上・下の2~3列よりも立ち最前を好む人が多かった。だから抽選が遠方枠の前(遠方枠は10~12順目あたりに挿入された)であれば確実に上手・下手の2~3列には座れた。さらに上手・下手でも明確な違いがあり、上手には古参ヲタが、下手には新規客が集まりがちだった。その理由は劇場の構造をいかに熟知しているかという話であり、劇場入口が下手側にあるため上手側の状況を確認するより先に下手側の前の方が空いていればすぐに席を確保したくなるという心理と、そうなれば当然上手側の席が埋まるのが遅くなり、それを熟知しててかつ仲間内で連番したがる古参ヲタは上手側を好んだ。そのような住み分けがされていたことは後に知ることになる。)

つまりはセンターブロックであることよりも、距離の近さを重視した席取りだったというわけだ。とにかくチームKのメンバーを近くで見てみたかった。そして幕を開けた「青春ガールズ公演」は噂に違わぬ圧倒的な衝撃と興奮をぼくに与えてくれた。

幕が上がると、暗がりの中で胸に手を当てたメンバーが整列して立ち、徐々にせりが上がっていく。
「♪Go! Go! Go! We're crazy girls.・・Come! Come! Come! You're lazy boys.」

アカペラでのそのフレーズが終わると、ステージが一気に明るくなりアップテンポのイントロが始まる!メンバーの顔がはっきりと見える。その輪郭から表情からシワから何から何まではっきりと。そして弾けんばかりの笑顔で勢いよく上着を脱ぎだすメンバーたち。それはまるで、長く憧れていた青春時代の一幕を切り取っているようだった。この時の興奮は筆舌に尽くしがたいものだった。なんだこりゃ~!何か、ものすごくヤバいものを今体験している!そう感じたのである。

初めて間近で劇場公演を見たので、主に下手ステージ(つまりは目の前)にやってくるメンバーをひたすら見た。とにかく凝視した。「こんな距離でマジマジと見るってことは、向こうからも見られてるってことじゃないのか!」と動揺しながらも、その行為を止めることができなかった。これまで何度か足を運んだことのあるハロプロ関係のコンサートでも、あるいはこれまでの人生で体験したどんなことでも味わったことのない興奮だった。

この公演を見る前に、とりあえず劇場の壁に掛かっているメンバーの写真を見ていた。初めて見るわけではないから、最低限の予習と復習をしたというわけだ。写真を見るに、大島優子はあの笑顔が目立つ子だとわかったが、それ以外で単純に可愛いなと思ったのは河西智美と小野恵令奈(えれぴょん)だった。この子たちを推すことになるのかもしれないなと思ったが、名前と顔とキャラは一致していなかった。


実際に公演で見てみると、えれぴょんは確かに可愛らしいが、奥真奈美(奥ちゃん)とともにロリコンの受け皿となる妹的存在だった。ぼくの好みではなかった。とも~みちゃんこと河西智美は、初めて見た時から気になっていた超絶美少女でかつアニメ声のあの子だった。Party公演では端の方で控えめに踊っていたが、この公演では主要な位置で活躍している。エースとなりうる存在なのかもしれない。相変わらず大島優子の表現力、輝く笑顔には惹かれた。というわけで、河西智美、大島優子のことを重点的に目で追うようになったのだがもう一人、何故か気になって目を奪われてしまうメンバーに気づいた。それがかぁち(当時の公式のあだ名。呼んでた人いたっけ??)こと小林香菜だったのだ。

とにかく顔がまるいのだ。まん丸の顔。そして笑うと細くなる目。それがとても可愛く見えた。MCではおバカな雰囲気が全身を覆っており何をしゃべりだすかとハラハラさせられた。ダンスもうまいとは言えなかったが(というかダンスが良いと言えるのはやはり大島優子くらいしかいなかった)、汗をかきながら一生懸命踊っている姿に惹かれた。全くノーマークだったダークホースが、大外からぼくの視界に飛び込んできたのだ。そして最終的に、大島優子、河西智美、小林香菜の3人を特に重点的に見ていたのだった。

この公演を見たあとの感情は、前回の「これで満足」といったものではなかった。

「この青春ガールズ公演をまた見たい。いや、見なければならない。もう一度、できる限り早く!」

ライブスケジュールを確認すれば、2日に1回のペースで青春ガールズ公演は行われているのだ。次の公演も見ることにしよう。ま、明後日だけど。

(次回に続きます)

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