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【52話覚書】押し通してでも主張したいこと、そこにあるんじゃない?(スキップとローファー)

2023年5月25日更新のスキップとローファーの感想と、現時点での咀嚼具合を残すための覚え書きです。
一応先に伝えておくと、これは私の現時点での解釈であり、他の方の解釈の否定でも未来の自分の否定でもありません。

それでは行ってみましょう!
スキップとローファー52話のネタバレがあるので注意してください!

ふみちゃんの気持ち

 昔からみつみと一緒にいたふみちゃんの回想が前半パート多めでした。自分より勉強ができて、環境の変化を恐れず挑戦するみつみ。そんな友達と仲良くできる彼女も、聞き上手で相手に受け入れられやすい言葉を選ぶのが上手い子です。
 今までふみちゃんはみつみの話を聞く描写、暖かな地元のほんわかした親友という角度で描かれることが多かったです。しかし今回はふみちゃんとみつみの仲違いの描写や、お互いの距離が離れていくことへ対するふみの悟り(?)など、ふみの内心に焦点が当たりました。Twitterにも書いたのですが、私はこの漫画の「誰一人ケア要員で終わらせない」という態度が大好きです。みつみの誕生日回で敢えてナオちゃんに焦点を当てたり、今回だったり、誰もが安寧の中に身を留めているわけではない、悩みそれでも次の日には何気ない顔で課題に対面することを思い起こしてくれます。
 ふみちゃんは真春ちゃんの悩みを怒るでもなく正論をぶつけるでもなく、聞いて宥めていました。自分にある余裕を他人の一歩のために使うことができる寛大な人間で憧れますね。

志摩くんの押し通したい主張ってそれじゃないの?

 真春ちゃんにみつみが財布購入のためのアルバイトをしていたことを伝えてくれないか、と志摩くんがふみちゃんに依頼するシーン。ふみちゃんはみつみを気にかける志摩くんが好きなんじゃないか?と聞くも必死に否定されました。しかしその論理がしっくりこないようで、「自分の気持ちのことなんに」とふみは笑い飛ばして先に帰ってしまいました。

 25日に最新話が出てからあまり解釈がしっくり来ませんでした。皆さんの感想を見ているんですが、なかなか言語化できず。とりあえず現状粘土を捏ねくり回してできた粘土を見せたいです。

私は52話では①が、そして文化祭編以降3つが包含されていると思います。

志摩くんは
①自分の解釈をもっと深堀すべき。
②他人の主張や意見を信じすぎ。
③人に譲りすぎ。

わたし

先に①「自分の解釈をもっと深堀すべき」を片付けます。

志摩くんは自分の解釈をもっと深堀すべき

 まず志摩くんのセリフに関して。「ダメだったって言ってもお互い納得したというか」は自分の取った行動から気持ちを解釈していることの表れです。自分の気持ちに自覚的な人は気持ちがあって、そこから行動をとりますが志摩くんは行動を人に合わせてきました。そこで志摩くんは意に反した行動に納得するため、行動に無理やり動機を後付けすることを習慣にしてしまったのでしょう。
 つまり今回は「自分はみつみちゃんとお互い合意をとって別れた」→「自分はみつみちゃんと別れることに納得していた」という風に解釈しています。ただそれは志摩くんの靄がかった解釈ですが……。

 次にふみちゃんのセリフに関して考えます。 ふみちゃんは「それで納得したん!?」=納得したのは変、「自分の気持ちのことなんに」=自分のことなのにみつみに指摘されたのが証左?と考えました。ふみちゃんもやはり気持ちの説明が他人に依っているのは違和感があるようです。
「みつみちゃんは勉強以外すごい抜けてる」というセリフ。これは正直わからないですが、次の②③に繋がりそうなのでそっちを読んでください。「みつみの志摩くんの恋愛感情に関する解釈は穴がある」と言いたいのかと思ったのですが、「抜けてる」のは「人の気持ちを誤解する」と違いますよね……。敢えて答えを出すなら「みつみは自己完結しがち」でしょうか。

 ここまででわたしの「志摩くんは自分の解釈をもっと深堀すべき」という解釈に関しての説明は終わりです。
 ここで触れますが、このシーンはふみちゃんの聞き上手で相手を不快にさせない言葉遣いが活きていますね。志摩くんってみつみちゃんに対する態度に関して、明確に恋愛感情と絡めて(決めつけて)指摘されたのって多分初めてなんですよね。ふみちゃんは「それ絶対好きやん!」とか「そこで納得しちゃダメでしょ!」みたいに決めつけや命令形を選ばず、自分の感想に終始したり示唆を与える程度で留めるのが絶妙だなぁと感心してしまいました。示唆くらいが物分かりの良い志摩くんにはちょうど良いですよね。

他人の主張や意見を信じすぎ

ちょっと省略しますが、自分に自信がないからですね。(ごめんなさい、仕事しないと!)みつみに限らず、他人の主張や意見は信頼度に比例して信じそう。

人に譲りすぎ

 これは52話だけでなく、2年生編で特に取り上げられる示唆だと思います。43話、兼近先輩と会話し内省するシーンです。

 兼近先輩に部長になるか誘われるも、熱量がある人がやった方が良いと断る志摩くん。自分は「疎まれても押し通したい主張なんかない」中途半端な部員だと思っているようです。これこそ、志摩くんが「人に譲りすぎ」と私が思う箇所です。みつみとのお試し付き合いでは、みつみに譲ったことになります。

 2人の別れ話はある意味既定路線を進んだようなものでした。みつみは自分が悩んだことすら未来形にして伝えてしまうくらい、自己完結してしまいました。2人とも今までお互いの立場を尊重しています。そんな2人は願望を伝えるのは押し付けがましいことだと弁えすぎていますね。だからその場で願望を伝えることなく円満な別れに向かったのでしょう。
 少し気になるのは、志摩くんが2人の気持ちのベクトルの違いを指摘されて同意したような顔だったことですが、それは志摩くんの中の違和感を言語化されて飛びついたという風に解釈しました。

 志摩くんは根本的に自信がなくて、主張することに慣れていない。そもそも気持ちは砂のように掴めない不確かなものでした。やりたいことを臆さず公言する(進学校あるあるですね)みつみや岡野さんの胆力を見てきて、彼らから見える自信とそれに伴う意見を過大評価することが多いでしょう。
 対して兼近先輩が猪突猛進を過大評価だと言ったのは、熱量が必ずしも意見の正しさと相関しないからでしょうね。眼に見える熱量ってある意味指標として二面性があるというか、必ずしもやる気を反映しているとは限らないですよね。逆に魅せ方に気をつければ、志摩くんに基本的に冷めていても文化祭の役を任されるほどノリの良さを信頼されるような不確実なもの。別に志摩くんの気持ちはみつみの解釈と一致するとは限らないし、別で自分の中で主張を考えるべきなのです。

 彼は自分の主張をしていいのです。みつみに合わせる必要はない。そして恐らくその主張は「みつみちゃんが好き」にたどり着くかな。

 2年生の志摩くんって「押し通したい主張ってそんなにない」に対する成長の登山期間だと私は思っています。自分が何を大事にしていて、優先順位をどう付与して、幸せになるための計画をどう立てるかを考える大事なステップだと思います。だからどうなるかすごく楽しみです。

次の話の展開予想

 これは本筋と関係ないので妄想みたいになりますが、ミカちゃんと迎井くんは志摩くんの挙動不審さに気づくでしょうね。志摩くんは今告白されて急に意識するようになった人状態なので、みつみちゃんの一挙手一投足に反応するのではないかと予想しています。


いかがでしたでしょうか!実はまだやり残したことがあります。この作品内での「恋愛とは」に関する定義付けが定まりませんでした。根っこは「お互い特別認定」なんでしょうが、それ以上のことはまだ明かされていないかなと。
私自身解釈がすぐ変わりそうですし、皆さんの感想も見ていて大好きなので、またTwitterのぞきます。いいねもらえるととてもモチベになるのでぜひお願いします。
読んでくださりありがとうございます!

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