片山 恭一さん「世界の中心で、愛をさけぶ」

 2023.10.15の読売新聞朝刊『「セカチュー」作家の苦悩』の記事は、この記事自体が小説のようだなと思い興味深く読みました。
 作者の片山さんは九州大学農学部に入学し、大学院に8年在籍後中退。売れない作家だった45歳の時、編集者の提案によりタイトルを変えたこの作品が爆発的に売れ、映画化、ドラマ化。預金口座には億単位の数字が並んだが、その後うつ病に。20年で10本以上の小説やエッセイを出すもヒット作はない。

「人生の美しさは、実現しなかった思いによって、担われているんじゃないだろうか」という作中のセリフも記事には書かれています。

 ただ、この作品の表紙「曇り空の真ん中にぽっかり空いた晴れ間」のような希望を持って世に出した作品が、様々な人に影響を与え、思いを実現した人がたくさんいたことは、人がなんと言おうと素晴らしい作品なのではないかと思います。

 映画の長澤まさみさん、森山未來さん、平井堅さん、ドラマの綾瀬はるかさん、山田孝之さんが今でも活躍できているのはこの作品のおかげと言っても過言ではないような気がします。

「世界の中心で・・・」のタイトルが元のタイトルのままだったらここまで売れたのかな?などと色々考えながら、懐かしくて少し読み返してました。
「世界の中心で、愛をさけぶ」片山 恭一
小学館/2001.4.初版

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