マルグリット・ユルスナール 「黒の過程」

 1968年に発表されたこの作品はフェミナ賞を獲得し、350年を超えるアカデミー・フランセーズの歴史上、女性としてはじめて会員に推挙されたユルスナールの作品です。

 錬金術師、医師、哲学者を兼ねる主人公ゼノンの生涯を、16世紀の再洗礼派の信徒達がミュンスターに立てこもり、新しいキリストの国の拠点とした話などを組み入れて描きます。

 須賀敦子さんの「ユルスナールの靴」の「死んだ子供の肖像」や、この本の巻末の作者覚え書き、訳者の解説などを読んでから読むと作品への入りやすさが増します。

「黒の過程」マルグリット・ユルスナール
訳:岩崎力/白水社/1990.7.1刷

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