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20230924

行楽シーズンの到来
ようやく、心おきなく外で過ごすことができるようになった
そのうれしさのあまり出かけようと思い立ったのは、新宿御苑だった

東京には、イメージ以上に緑地が多い
それもきっと、武家屋敷の跡地が公園や学校といったふうにかたちを変えてもなお、みどりが残っているのも一因だ
明治の世になり、大正昭和と目まぐるしい変化を遂げていくなかで、その用途も変貌を重ねていたことは想像に難くない
激動に呑まれていのちある植生が一掃されることなくその地に留められたことは、奇跡なのだろう
当時携わった方々の良心があってよかったと胸を撫で下ろす

…!
話がそれたのでこのへんで一旦戻そう

御苑は都心のどまんなかにある、みんなのオアシスだと思っている
とてつもなく広大な敷地のなかには、一度には視界に収められないほどの大木がそびえ、年季の入った老木がなお健在で、珍しい種の草花が季節ごとに盛りを迎える
温室も庭園もあり、見応え抜群
すべてのひとを受け容れてくれる懐の深さを携えている

きょうもきょうとて、老若男女がめいめいの時間を味わっていた
到着する直前にすっかり眠り入ってしまった子
あまりに気持ちよさそうだったので、そうっとしておくことにした

園内を散策しながら、芝生に囲まれるようにして生えるおおきな木が目に留まった
そこには広く伸びた枝のおかげで木陰ができ、その下で多くのひとたちが憩いのひとときを過ごしている
そのようすがあまりに伸び伸びとしていて、眺めているだけでも気分がいい
それだけで、気がよさそうだと伝わってくる
吸い込まれるようにそのあたりへとたどり着き、シートを広げた

朝こしらえたおむすびをほおばり、続いて久しぶりに再訪できたお気に入りのパン屋さんでいただいたパンとコーヒーをつまんだ
お外で食べるってなんておいしいんだろう!
幼少期、遠足のときの気持ちを思い出した

それでもまだ起きないから、引き続きのんびり過ごすことにした
仰向けで横になってみた

どこまでも青い空
悠々としたもくもく、風に吹かれてたなびくもの
いろんな雲が浮かんでは流れていく

大樹は時折、こもれびを届けてくれる
きらきらとしたおひさまのひかり、なんてうつくしいんだろう

春先にそよぐのとはまたひと味異なる、さわやかな風がすうっと吹いていく
あまりにも気持ちがよくて、呼吸も深くなる
ついつい靴下を脱いで、足の裏でも感じ入ってみたりした

ずっとみていても飽きない
いつまでもこうしていたい
そう心から感じたころには、すっかり自分のなかのめぐっているあれこれも入れ替わっていた

ようやく起きた子は、いったいどこにいるのだかわからないような顔をしたあとで、にっこりと笑った
きっと心地のいい午睡だったんだろう
そして、いまここにいることをよろこんでいるようにもみえた

彼も腹ごなししてから、素足で芝生を歩いてみることにした
きっと慎重なタチなんだろう
最初は足元にしがみついていたり、握った手を離さずに歩いていたけれど、じきにひとりで、笑いながら駆けまわっていた

おなじくらいの年齢月齢の子たちに反応するのもおもしろい
やっぱり子同士って呼応するものだなぁと感心する

興味深かったのは、ふだんは接する機会の乏しい属性のひとたちを見つめるまなざしだった
神妙でも珍奇でもなく、ただそこにある存在…言い換えるならば空や森や海、あるいは街ですれ違うひとたちと何も変わらずに、純粋に眺めていたのだった
(自動車や電車は「あ!」とうれしそうに指差すので例外)
あるがままに捉えられるまっさらさ、みていてすがすがしかったなぁ

こうしたすこやかなひとときがあるから、日々いろんなことがあってもなんとか乗り越えていける
みな多かれ少なかれ、そうやってバランスをとっているのだろうな

息がつまりそうになる前に、こうしたガス抜きの機会をこまめにとろう
それがなによりのご褒美になりそうだ

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