20231011
いくぶんか早起きできた朝
森で外遊びをしていると、初老の女性から声をかけてもらった
このあたりで子育てをされたのだそうで、ふたりの息子さんもこの森で遊びながら育ったのだとか
「自然のなかで思いきり遊べる場所があるっていいものですね」と話しながら、子の遊びっぷりを見守ってくださった
帰り道に眠りについた子は、小一時間ほど午前睡をとる
所用でかけた電話の声で起きてきた
雑踏や電車バスのなかでもすやすや眠るのに、母の気配や声には敏感であるなぁ
ひとしきり遊んだのち、お昼をとったところで、突然の睡魔がやってきた
まだ遊び足りないのか、あるいは眠りが足りなかったのか
ぐずる子を相手しながら、横になってつかの間の休息
おかげで復活したが、子はいまひとつなようすだった
こうしたようすだったから、気分転換のためにも、ちょっと散歩にでることにした
夕暮れのほんのすこし手前のひととき、目的地はとある喫茶店
同店内のエントランス付近にはこじんまりとした書店スペースがあり、文筆家である店主のご著書をはじめ興味深い文芸書を取り揃えていて、ひそかに信頼を寄せているお店でもあった
こちらではトークイベントや連続講座を度々催していて、昨夜は三砂ちづるさんと内田樹さんの共著『気はやさしくて力持ち』刊行にあわせて行われていたらしい
その本が気になって求めに行ったのだった
お目当ての一冊は無事見つかり、他の本も観ようと陳列された本をみさせてもらっていると、ふと目に留まったのは小谷実由さんの著書『隙間時間』だった
友人が貸してくれると申し出てくれていたこともあり、心の積読リストにのぼっていたものの、こうしたタイミングで目があったのならご縁だろうと迎え入れることにした
入店目前にふたたび眠ってしまった坊や
お会計の段階でもなおすやすやと寝息を立てている
これはもう、前ぶれもなくやってきた”ひとり時間”というギフトと思うことにして、購入した本をこのお店で読んで帰ることにした
久しぶりに読むひとさまのエッセイは、水がすぅっと浸透するようなみずみずしい感覚を覚えた
最近はついつい、無意識に子(育て)や自然の摂理にまつわる本に手を伸ばしがちだったから、雑誌をパラパラとめくるような感覚で読み進められるエッセイを読む機会がめぐってきたのもうれしい
自ら求めてつかみ取るのではなく、めぐってきた流れに乗る感覚で導かれるというのは、とっても心地がいいものだ
すっとなじむようにして心に浸透していった
以前にも話したことがあるかもしれないけれど、エッセイを好んで読むようになったのはおとなになってからのこと
そもそも思春期に吉本(よしもと)ばななさんに傾倒していたことに発端するけれど、実際に影響があったのは、向田邦子さんの作品と出逢ったことがおおきい
日々こうして日記を書き留めてはnoteで公開しているからだろうか、誰かの日常や日々感じていることを読ませてもらうのはとても興味深いことだ
めいめいの書き味に、ことば選びや文章の抑揚に、ご本人のひととなりがあらわれくる
お会いしたことのある方もない方も、実際の人物像に対して想像がふくらんでいくのもおもしろい
読み進めながら、小中学校のころはよく交換日記をしていたなと思い出した
この話はだいぶ長くなりそうなので、またあらためて
ほどよい軽やかさで紡がれるリズムに身を任せていたら、小一時間ほどで読了してしまった
こんなに集中して読書できたのはいつぶりだろう
子も本がだいすきなので(+α かまってほしいのも相まって)、読書しようものなら上からちいさな手が伸びてきて中断せざるを得ない
それゆえ、こうした機会はほんとうにほんとうに貴重なのだった
無心になって生きていると、ほんの時折、こうやって思いがけない方向からご褒美がやってくるものですね
すっかり心の換気をし終えたわたしは、心も表情も満ち満ちとした
そして、まだ起きぬ子をそうっと連れて、夕焼けに向かって帰路についたのだった
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