20231223

冬至の余韻を残したあくる日
しんと静まった夜が明け、このうえない凛とした朝焼けへと連なるのを見届けた

お産のあとからずっとずっと、希ってきたことがある
こよなく愛する立ち寄り温泉へいくこと
長らくの念願が叶い、はじめて子を連れて再訪することができた

そこは野趣あふれる風情の露天風呂で、もはや”野天”といったほうがいいくらい
自然のなかに身を委ね、大地に抱かれるような心地よさにほぐれていく
どこかで誰かが「温泉は地球の羊水だ」というようなことを述べていたけれど、まさにそうだなぁと感銘を受けたのはつい先日のこと

すっかり洗い清められると、奥のほうから本来のひかりが輝きだす
いのちの洗濯、魂の禊だ

こちらは豊かな源泉がいくつかあり、その湯温は比較的高めで、ちいさな子にはややハードルが高く尻込みしてきた
そうやって数ヶ月ほど思案を重ねた末、なんとなく、特にきっかけや根拠があるわけでもないのだけれど、そろそろだいじょぶかな…？と思えて、このとおり敢行したのだった

当の坊やは、この強い冷え込みに驚いたのか、最初はすっかり硬直してぎゅっとしがみついていた
じきに緊張もほどけてきたのか、すこしずつやわらかさが戻ってきて、あがったあとにはすっかりごきげんさんになっていた
血のめぐりがよくなり、エネルギーの循環もととのって、彼らしさがきらめいたのだろう

ちいさなひとはほんとうに繊細で敏感だから、目には映らないものやみえないものをすかさずキャッチするよなぁ
毎度ながら、その精度の高さに感心する

日々生きるなかで知らず知らずのうちに溜め込んでいたものを解き放てば、すうっと風が抜けるようになる
それは瞑想でも掃除でもなし得ることなのだろうけれど、個人的には温泉がテキメンに効くように思う

浴場から帰路に着く目前、山の端からおひさまが出てくるようすをみた
一陽来復そのものだった
それがじきに高くのぼり、やがて冬に盛りを迎える椿の花や葉を照らしたとき
息を呑むほどのまばゆい光景に涙が出そうになった

冬に出くわす自然の織りなすいとなみ
そのうつくしさはあまりにシャープで格別に映り、毎度ながらハッとさせられる