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イギリスの小学生男子 座談会 その1

Prep School Life 

多忙な毎日を送るプレップスクールの生徒たち。通っている学校の授業、終えたばかりの受験のこと、などなど。ロンドンの現役小学生4人に聞きました。日本との違いや共通点が垣間みれるトークです。※取材は2019年7月に行ったものです。

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サーシャ

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ハル(筆者の息子)

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ルーク

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アレックス   以上、同じ学校に通う11歳の仲良し4人組です。 

水泳の授業

ー 貴方たちの学校では年間を通して学校の屋内プールで水泳の授業が行われていて、毎年この時期になると恒例の「サバイバル スイム レッスン」というのがあるよね。日本でも行っている学校があるみたいだけれど、あまり一般的ではないので詳しく聞かせてもらえますか。

サーシャ:溺れそうになった時どうやったら助かるのか、っていうことを習います。この特別レッスンは夏休み前に4回くらいあって、立ち泳ぎや浮かぶ物につかまる方法を教えてもらったりします。

ルーク:自分自身が溺れそうになった時だけでなく、溺れているひとをどうやって助けるか、ということも学びます。ロープを投げて助ける方法、最終的に、自分が飛び込んで相手と一緒に安全に岸まで辿りつく方法も習いました。

ー 君たちYear6(10-11歳の学年)の生徒は約100人いるけれど、そもそもみんなどれくらい泳げるの?

アレックス:僕たちの学年は、ほとんどの生徒がたぶん800mは泳げると思います。この中ではルークが一番泳ぐの上手だよね。小さい頃からスイミング スクールに通っているし。

ー ルーク、どう?

ルーク:僕は休憩を挟みながらだったら20km、休憩なしなら7kmくらい泳げます。

ハル:僕は2kmくらい。プレップスクールに入る前はそんなに泳げなかったけれど、2年経ったくらいから長く泳げるようになった。1年中水泳の授業があるから、うちの学校の生徒は最終的にはほぼ全員泳げるようになるよ。

サーシャ:それから、サバイバル レッスンは基本的には水着じゃなくて、普段着やパジャマを着て泳ぎます。

ハル:僕は上下パジャマを着たけれど、ジーンズを履いてくる生徒もいたよね

ルーク:ジーンズは重くなって、水中にひっぱられる感じがするから、いい練習になる。

ー その授業ではいろんなことを学ぶんだね。じゃあ今、例えば船から落ちて海の真ん中に放り出されたとしても、パニックにならない自信はある?

一同:(うなずく)

サーシャ:事故が起こったときの実際の水は学校のプールより冷たくてびっくりするかもしれないけれど。とにかく役に立つテクニックをいろいろ習得できた感じがします。

ー 水泳の先生から教わったことでいちばん印象に残っているのは?

サーシャ:「頭がずっと水に浸かっていると意識が早くなくなるから、できるだけ水面に出しておいたほうがいい」っていうこと。だから立ち泳ぎがベストなんだって。

ー それは勉強になるね。そうやって普段から心づもりができていたら万が一のことが起きても助かる可能性が高くなるし… 大切な知識だと思います。


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筆記用具のルール

ー ええと、学校の授業で使っている筆記用具についてですが、貴方たちYear6は鉛筆やシャープペンシルは使わないって本当? 

アレックス:唯一、算数の授業では鉛筆を使うよね。

ハル:理科でもちょっと鉛筆を使うよ。グラフを書くときだけは鉛筆。それ以外は常にペンだけど。

アレックス:あっ、そうか。

サーシャあと、インクは青です。うちの学校は青以外はダメ。

ルーク:ペンを使い始めたのはYear4(8-9歳の学年)の終わりぐらいから。それまではずっと鉛筆でした。鉛筆やシャープペンシルは低学年で、インクペンは中高学年って感じ。

ハル:Year4になると、鉛筆で綺麗に字が書ける子は「ペン ライセンス」がもらえて、ペンを使えるようになるんだよ。ペン ライセンスが欲しくてみんな頑張ってたよね。Year5からはペンをちゃんと学校に持ってこないと先生に怒られた。

ー けっこう厳しく決められた規則なんだね。ちなみにどんなペンを使っているの?

ルーク:最初の頃はBerol Handhuggerとかだったけど、今はほとんどの生徒がLAMYペンやファウンテンペン(万年筆)を使ってる。学校の売店で安くで売ってるし。

ー インクだと間違ったとき消せないから困らない?

ハル:「LAMYイラディケイター」っていうペンでLAMYのインクは消せるから、それが消しゴムみたいなもの。イラディケイターもほとんどの子が持ってるよ。フリクションペンは便利だけど禁止されてる。宿題で書いた文字が薄く消えてしまって、先生が採点できなかったことがあったから。

ー そうなんだ。どうして学年が上がるにつれて鉛筆からペンに変わっていくんだろうね。

サーシャ:ペンやファウンテンペンのほうが滑りがいいから、それをコントロールできるようになるまでは鉛筆で練習するんだって話を、僕は聞いたことがあります。

※筆者の周りのイギリス人によると、私立公立にかかわらずイギリスの学校では昔からこのようにインクで文字を書かせる伝統があるそうです。

<その2に続きます。>

Interview by Ayako Iseki           Photography by Akemi Otsuka





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