📕「無限という概念には、人を怯ませるものがある」
■アミール・D・アクゼル『「無限」に魅入られた天才数学者たち』
「無限」の恐怖
私が無限をはじめて知ったのは、宇宙であった。「宇宙は無限の広さをもつ」──この表現が現在の物理学において正しいかどうかは微妙だが、少なくとも私の幼い頃はそう教わった。
しかし、何かの大きさが無限である、という言葉の意味がどうしてもわからなかった。その状況を頭の中で描くことは不可能だった。本気で描こうとすれば、身体が四方八方から引っ張られるような不快感が襲い、恐怖心が想像力を制止するのだった。