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霰粒腫

妊娠中、左目がものもらいになった。

その時はまぶたをめくると白い点が見えて、数日後にそこから膿がぶちゅっと出て、自然に治った。一応眼科に行って抗菌目薬はもらったけど、時すでに遅しというか、もうピークはすぎていて、ほぼ自然治癒だった。

そして、今年に入り、再び左目がものもらいになってしまった。

ワンオペ育児中でタイミングが難しかったこともあり、今回もそのうち膿が出て治るだろうと放置していたら、腫れが引いてもまぶたの真ん中に大きなしこりが残った。皮膚の色もアイシャドウを塗っているかの様に紫がかって、それが1ヶ月経っても治らなかった。

さすがにまずいなと思い、眼科を受診した。霰粒腫という自然には治らないタイプのものもらいだった。しばらくステロイド入りの目薬をさしたけど全く変化がなく、まぶたを切開して膿を取り除くことになった。

30分程度で終わる日帰りの簡単な手術なんだけど、不安だったのが、本来はまぶたの裏側を切って膿を出すだけで済むところ、私の場合は霰粒腫がかなり大きくて、数ミリだけど表側も切開が必要なこと。表側を切ると、術後、二重幅が変わってしまうことがあるらしい。

別に私は自分の二重幅に並々ならぬこだわりがあるわけじゃない。でもいざこの二重幅が変わってしまうかもしれないとなると、とても憂鬱な気持ちになった。

二重幅なんてアイプチで調整できるけど、そういうことじゃない。長年親しんできた自分の顔が不本意に変わる可能性があるというのはなかなかのストレスだった。それに、今振り返ると大袈裟すぎて笑えてくるけど、本気で"二重幅が変わって娘に私だとわかってもらえなかったらどうしよう"と落ち込んでいた。

しかし、手術をしない限りはこのまぶたのしこりは消えそうもないので、私は気持ちを切り替えて手術に向けて準備をした。とりあえず急いで眼鏡をつくった。私は一日のほとんどをコンタクトレンズで過ごしているけど、当日はもちろん、術後もしばらくコンタクトがつけられないから。

今使っている眼鏡は、10年近く前に作ったもので、度数も合わなければコーディングも剥げてレンズがまだら模様になっており、もはや何も見えず、これで日中過ごすのはとても大変。ずっとこのボロボロの眼鏡をなんとかしないといけないと思っていたので、新調する良い機会になった。

顔に似合ってお気に入りのものと、手足をフルパワーでブンブン振り回す娘への対策として壊れにくい柔らかいフレームでもう一本、合計二本作った。私は強度近視なのでレンズに課金する必要があり、一気にお金が吹っ飛んだけど仕方ない。


さて、肝心の手術は無事に終わり、1週間後の抜糸も済んで、あとはしばらく薬を塗りながら自然回復を待つのみになった。

痛みもほとんどなく、まぶたも思っていたほど腫れなかったし、二重幅も今のところは変わった感じはしない。無事にいつもの自分の顔に戻った。全ての心配は杞憂に終わった。


ちなみに娘に私とわかってもらえるかの件は、二重幅うんぬんの前に、手術当日は左目を完全にテープで封印された状態で、さらにその上に普段は掛けていないメガネを掛けた姿で帰宅したので、そのせいでしばらくよそよそしい態度を取られた。次の日、テープが取れて両目が出ている状態になったら、いつも通り笑ってくれるようになった。よかった。


めでたしめでたしといきたいところだけど、霰粒腫というのはかなり再発しやすい病気だそうで、先生から覚悟しておいてねと念を押された。

でも、霰粒腫の手術についてネットで調べていた際に、ある医者の方のブログを見つけて、そこには"妊娠中や産後の方が体感として多い"という記述があった。

まさに私がものもらいで目が腫れたのも、霰粒腫ができてしまったのも、産前産後。それまでこんな風になったことはなかった。ということは、もともとの体質じゃないということで、ホルモンバランスが元に戻ればもう再発しないんじゃないかしら?と少しだけ希望が持てた。実際のところはわからないけど。

それにしても、たった一日だったけど、左目が見えない生活は死角が多くてとても不便で大変だった。あきやさんのことを思い出した。


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