#14 過去と未来の狭間
和樹の部屋に足を踏み入れると、窓からの優しい月明かりが私の複雑な心情を映し出しました。
本、レコード、CDが所狭しと並べられた部屋には、他にほとんど物がありませんでした。質素な生活ぶりが、和樹の誠実さを物語っているようでした。
私の心には深い葛藤が走りました。
祐樹とのつながりは、和樹と出会う前の自然な流れでした。罪悪感はありませんでしたが、和樹のことを考えると、どこか残念な気持ちになります。まるで長い冬を越えてようやく芽吹いた春の花のように、新しい感情が芽生え始めていまし