携帯を落とした話

 文字通りの話だが、携帯を落とした。
 現代では財布を落としたかそれ以上の大問題だ。
 幸いAndroidにもiOSにも電波とGPSが入り、バッテリが続く限り追跡する機能があり、最悪の場合は遠隔操作からデータリセットも出来る。

 今回の自分の場合は比較的早い段階で気づき、すぐにGPSの追跡で落ちている場所を探して戻ったところ、親切にも誰かが拾い上げて花壇の縁に置かれていた。(そのせいで、一度道を戻った時には見つけられなかった。なぜなら、路上に落ちていると信じ込んでいたからだ)

 自分の手から携帯が離れていたのは時間にして50分ぐらいだ。幸いにも液晶にダメージもなく、ストラップ類も無事だった。データを確認してみても、特に弄られた形跡はなさそうだった。

ロックを無効化するゲームアプリ

 ところが、安心できるかと言われるとそれは別問題だった。
 自分はドラゴンクエストウォークという位置情報を利用したアプリで遊んでいたからだ。

 これは流行にもなったポケモンGoのドラクエ版だと考えてくれれば手っ取り早いが、ポケモンで大問題となった歩きスマホを極力させないように進化している。

 具体的にはウォークモードというモードが有り、これをONにすれば自動で戦闘などのフィールドワークを行ってくれる。ポケモンGoで言えばキャッチプラス機能がアプリ標準で搭載されていると言うのが近い。

 そのおかげでほとんど画面を確認することなくゲームが出来るのだが、今回はそれが不味い方向に作用した。

 一般的に携帯は何分か構わずにいると省電力化とプライバシー保護のためロックされる。しかし、位置情報ゲームでそれをされると困るため、ウォークモード中はロックが無効化される。

 このウォークモード状態で落としてしまうと、何時間経っても携帯はロックされない。4桁のPINはセキュリティとしてはなんとも心もとないが、何度か入力を誤ると凍結状態になる。しかし、ウォークモード状態の携帯はそうはならないし、実際に回収した際も何事もなかったかのようにドラゴンクエストウォークが動いていた。

 そうなると疑心暗鬼である。
 まあ写真やらを見られるのは仕方ない。落とした自分が悪い。
 しかしブラウザや専用アプリやを弄られるのは不味い。遠隔操作でChromeの共有を断ったとは言っても、その前に操作されたかもしれない。拾った人間の悪意と知識にも寄る。例えば、普段から「携帯が落ちているのを期待してキーロガーやその他のアプリPakを持ち歩いてる」人はまずいないだろうが、Chromeのパスワード一覧を見てメモることはそれほど難しいことではない。専用アプリにしてもログインなどをいちいち手動でやっている人はあまりいないだろう。

 さて、そうなると携帯ファクトリーリセット、Chrome周りのリセットをするかどうかという選択を迫られる。落とした時間帯のブラウザ履歴は空白だったので、弄られた可能性は低い。しかし、相手が自分の知識を遥かに上回る人物かもしれない…という悪い可能性もないでもない。

 結局、今回はChromeとお金とプライバシー系アプリのリセットで様子を見ることにした。最近のログイン処理はどれもスマートなので、いつもと違う環境からログインがあったことを知らせてくれるものも多い。(それも偽装できるよ、と言われればそうなのだが)

その後

 携帯を落としてから十日ほど経ったが、今のところ不正ログインはなく、もともと少ない貯金が引き出されているということもない。もちろん、落とした自分が100%悪いのだが、ロックを無効化するようなアプリ機能にも一時間に一度は触らないとロックされるような制限があるといいと思う。

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