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誰がために戦うひとよ ~【Good-bye ラブレター】三峰結華に寄せて~

※当然のようにネタバレがありますが、皆さんはもうこのコミュを読んでいる筈なので何も問題ありません。いいね?


序文-これまで-

こんにちは。

突然ですが、皆さんは読まれましたか?

え?何をって?

【Good-bye ラブレター】三峰結華を。

えっ、読んでいない!?!?


読んでおいた方がいいですよ……!【Good-bye ラブレター】三峰結華は……!



三峰結華にとって、【く ら く ら】ぶりになる限定pSSR、【Good-bye ラブレター】。
こうして彼女が来るまで、あまりにも長い時間を経て、三峰結華は様々な行程を経てきました。

その中で、彼女は数えきれない程の成長をしています。

【それなら目をつぶりましょう】や【NOT≠EQUAL】、GRADなどを美しくまとめ上げ、彼女が誰かとの関係性に踏み込むことを最初に肯定した【雨に祝福】

他人との踏み込み方に、ひとつの答えを出して

そこから彼女の「世界」への進歩に、ある種の良し悪しを付け、その進歩に整理をつけることで彼女の世界への歩み寄りに一区切りをつけたLP。

踏み込んだから、信頼しあえる

ある種のifを含めて自分のこれまでの軌跡を肯定した【kaleidoscope-pinball】【ノー・ライフ】【境界フィクションレイン】

あったかもしれない世界がある上での、今
あったかもしれないいつかも拾い上げて
彼女ではない彼女すら、拾い上げた

そして、彼女がずっと抱き続けてきた憧れ、光に向き合う為の術を探した【月が焦がれる太陽/月】と、

彼女がいつか得た何かを、見出してくれることを知って

それを乗り越えた先で光となった彼女を語る【一夏・泡沫・ギフテッド】

それを、背負うと決めた

こうして、数年ぐらいずっと集大成をし続けながら最高到達点を更新し続け、もうなんか集大成のボジョレーヌーボーになっていた三峰結華さんですが、ここにきて過去最高の集大成をお見せしてくれました。

それが、【Good-bye ラブレター】です。

「あの日、幸せが約束されたの」

彼女が抱き続けてきた「憧れ」、今抱いている周囲と誰かへの「感謝」、そして「主人公」として立ち上がった自分自身。
彼女がこの長い長い道行で込めたものすべてを振り返り、また大切にして、新しい道へと踏み出す。
これまでも、ある意味では毎回繰り返してきたその行程を、今回は特に大事にしながら完成させたのが、今回のコミュとなっていました。

ただ、その中で。
あくまで個人的に、彼女から出てくる台詞として驚いたものがあるんですよね。







※ここから【Good-bye ラブレター】のネタバレがあります。読みましたね?(再確認)








それは、彼女が「勝つ」という表現を用いたことです。

とても綺麗で、強く、しかしそれ故に衝撃的でもあった決意

具体的にどうびっくりしたかというと、読んでる通話者の前で「三峰がそんなこと言うの!?いやわかるんだけど、言うんだ!?!?!?」≠みたいな発言をしていました。なんでP側が急にこれで≠するんだよ。怖いよ。

もちろん、彼女が「誰かの憧れに応えるアイドル」として生きることを決めたのが月月で、そこから進化を遂げたのが今の三峰である以上、「そうで在り続けるために勝つ」ことは流れとしては確か。
ただ、自分を取り巻く環境の中で明確に「渡り合い」、「勝つ」ことを目標とし、それを自発的に発言したのがこれまでの彼女と一線を画す発言だと思ったからです。

という訳で、自分でそういうひっかかりを抱いたのも含めて。
彼女が『勝利』を望んだ理由を、改めて彼女の道行を振り返りながら、考えてみたいと思い、この文章をしたためました。

ある種、自分の中での脳内整理にもなるのですが、よろしければお付き合いいただけると幸いです。


1.三峰結華と世界/三峰結華と自分

三峰結華のこれまでの道行は、ある意味で「自分の外にある世界に憧れ、そこに立っていいんだと自分を肯定する」物語でもあったと考えています。

はじまりは湖の奥。彼女がずっととどまっていた場所。踏み込まれないようにしながら、自分からも踏み込まない。決して嫌いな訳ではないけれど、それでもそこから出るのは怖い。

ほんの僅かな、けれど繊細な一線がそこにあった頃

そんな、本当にビニール傘という比喩がぴったりと似合うような場所から、それでも「もしできるなら、なってみたい」「あの日憧れた姿で、その外に出て、光り輝きたい」という欲求を持って、踏み出して、自分の身一つで立てるようになってみたいという欲求を持ちました。

たった一人の世界から、世界の中のたった一人に

それは非常に困難な道でした。世界は相応に美しく、しかし辛いこともあると知っているからこそ、自分がそこに踏み込んでしまって弾かれて、美しい世界も見れなくなってしまうかもしれない。だからと作ってしまった壁は高く、また、時には衝突が実際に起こることさえありました。

不正解を、出してしまった時

けれど、それでも、(それこそアンティーカや、彼女が今回触れたPの献身的な存在によって)自分の外の世界に、丁寧に丁寧に、自分を馴染ませていくことができました。

今後どうなろうとも、その事実はたぶん変わらない

(余談:今回のカードでのここへの言及めちゃくちゃ好きで……たとえ将来そういう意味で隣にいるのがPだとしてもそうじゃないとしても「それを与えてくれた人」として彼女にとっての唯一無二としてPが彼女の足跡に残ってるの超良くて……)(好きなんだけど今日はその話じゃねーです)


そして、今の彼女はもう、そのすべてを自分の足跡として認められることができています。
【kaleidoscope-pinball】と【ノー・ライフ】でありえた自分の可能性を肯定し、【境界フィクションレイン】でかつての自分にも似た誰かへの共感を唄うことで、過去に様々な葛藤を抱えていた自分も、世界に踏み込まなくとも幸せに生きていられたかもしれない自分も全部ひっくるめて、今ここにいる幸福な「三峰結華」というからだ一つで背負い、今の自分が自分にとって一番幸福だと胸を張る。
そうした意味で、彼女はある種様々な世界の受容を行い、そうすることで常に今その瞬間の三峰結華を「これまでの三峰結華から地続きの、集大成としての三峰結華」として表現してきました。

もういつでも、全ての三峰結華の結晶



ただ、その軸から言うと、今回のこの「勝つ」というワードセレクトは自分の中ではまた少し種類が違った趣がありました。


たとえば、彼女が「憧れ」と戦うことを選んだ月月においても、彼女が恋鐘と向き合うと決めた時の最後の最後での後押しは、彼女の中での葛藤ではなく「彼女に光を見てくれる人」の存在でした。

そう信じてくれる、『誰か』が、いた

いつか見た、三峰結華にとっての光。それを、自分の背中に見てくれる人間がいるということ。彼女が自信が持てないと言い続けた最後の一線を越えたのは、紛れもなく「自分の世界の外にあった、自分への声援」だったわけです。
もちろんそこから恋鐘に挑むことにはなるわけですが、自分はやはり彼女の核のようなものは彼女の外から彼女に向けて世界を超えて届く声援にあるんだな、という理解でこの話を読んでいました。

そこにきて、今回の【Good-bye ラブレター】の最後のコミュでは、本当に「勝つ」ことを目的にした、ある種ぎらついた彼女の姿は、彼女がこれまで辿ってきた道行とは少しこれまでと違う変化があるように感じられたんです。
いや勿論三峰結華って最強だし(三峰結華のオタクの人格)、こうして彼女が世界で輝いてくれていることがもう最高なんですが、彼女が能動的に「勝つ」という選択肢に向けた努力をするのは、「許容」によって成長してきた彼女と違うのかもしれない、という気持ちを感じた部分がありました。

では、彼女がそれを選んだ理由は何か?
あるいは、それを選ぶにあたって、彼女は何を据えていたのか?
それについて思いを馳せてみると、彼女がここに至るまでの理由が見えるような気がした。


2.世界に心を開いたその舞台で

これは、月月でも描かれたものでもあったので、今更気付いた部分ではあるのですが。

世界の中に対等に立って一人の人間/主人公/アイドルとして生きているということは、彼女がそれを受け入れられていたということは、当たり前に「世界に存在している以上、それは何かと干渉し影響し合う」ことにもなり。
それは良い事であると同時に、かつて彼女が恐れていた世界の側からの衝突や抵抗にその身を晒すことでもあります。

実際、LPや、あるいはストストで一部語られているのも「それ」の片鱗でした。

時に、ひとつの側面だけが全てだとされるとか
時に、不理解が当然のような顔をして歩いてくるとか

世界に存在するものとして、好きなものごとが軽んじられ、軽視されること。壁や距離があれば耐えられたものも、自分から踏み込むのであればそれを受ける覚悟と取捨選択をしなければなりません。

ストストではアンティーカ全員で「物語を自分たちで語ってみる」と歩み寄りを行うことで解決し、一方のLPでは「挑み続けることだけが進歩ではない」ことをPからの助言で気付きながら、そうでないままに良い方へと歩いていくことを選びました。

自分たちから、世界にひとつの物語を作り出して
立ち向かわなければいけない、わけではない

また、その先で見た月月では、どれだけ遠ざけても避けられない憧れと戦うのではなく、自分の不出来を認めたまま「世界の外から受ける声」に応えることが自分のやることなのだと気付いて。

戦うのではなく、魅せることを

そうして、ただ戦うということだけを選ばず、世界と向き合って、すり合わせることをし続けた人間が、改めて「戦う」覚悟を決めたこと。主人公として輝くために、より強く、他の人間に「勝つ」ことを目標とすること。

ある意味でLPで出した、傷付いて戦い続けなくても選び取ることができるという結論が好きだったので、恐らく私が明確にひっかかったのはそことの齟齬だったのでしょう。


ですが、応えなくてはならない。否、応えたい。なぜなら彼女は、



アイドルに光を受け取ったあの日の自分に恥じず。
アイドルである自分に、その光をほしいと言ってくれた人がいて。
ならばわたしは、その光そのものであろうとしていい筈だ。

だから。
だから、それになりたいから。
戦わなくてもいいこともある。でも、自分が誇る姿は、あの日見た光もきっと、私達に光を見せようとしてくれていた姿だったはずだから。
だとすれば。いつか私が夢見た、今誰かが私に夢見ている「アイドル」の三峰結華も、そうしたい。

最大限輝いていたい。
私を見てくれる誰かが、私に、あの日見た光を見出してくれるようになりたい。
じゃあ、それは。
誰かにとって目が留まる、光になるということは。

「――」

他の光ではなく、自分を見てくれるように光るという、ことは。

彼女にとっての戦い、勝つということは、そういうことなのだろうと理解しました。

これまでとは明確に違う、けれど、これまでと軸は一切変えない決断なのだと理解して、彼女の「勝つ」という言葉を理解することができた気がします。

先程、私はこう書きました。

『いや勿論三峰結華って最強だし(三峰結華のオタクの人格)、こうして彼女が世界で輝いてくれていることがもう最高なんです』

こう思ってくれる誰かがいる時に、それに最大限応えるならば。
最強だということを、こうして示せるのであれば。
彼女にとって、もう迷う理由はないのだと。
ある種三峰結華のファンに向けた、彼女の最大の『応え』なのだと。
そう思ってくれてこの答えを出してくれたのであれば、なるほど、これ以上嬉しいことはないのです。


そして、同時に。
彼女がした戦う覚悟が、彼女がこれまで大切にしてきたものを損なうものではないこともまた、彼女は示してくれていました。



3.その双剣は、彼女のかたち


武器はふたつ

彼女が4コミュ目の中でした選択は、彼女にとっての二つの「武器」の選定だったと思っています。

ひとつは、「私を見て、私を見た誰かがどう思うか」ということ。こんなふうに自分を見せたら、相手はどう思うだろうか、と慮り、それを示す分析能力。

いつかは、隠れる為に使っていたもののはずだった

それは過去の彼女が、マイナスな用途で使っていた力です。かいぶつのうたでも言及された、『浮かない』ために、透明な領域から出ないために用いてきた力。
しかし今、彼女はそれを明確に強さにし、己の魅力を表現し出力するための力にすら変化させしました。

もう、不正解への恐れはない


そしてもう一つは、「誰かの持っている力を自分でも実践してみる」ということ。
誰かの利点を見つける。自分の利点を見つける。そしてそれらを、自分の中に受け入れてみる。
これは、様々な「あったかもしれない自分」「いるかもしれない自分」をひたすらに咀嚼し続け、それらを見つめた上で自分を肯定すること。
そして、彼女が得た、世界を受容し、自分からそこに触れ、踏み込んでいき、世界を愛していくこと。
その二つを合一した結果、彼女は誰かの魅力を貪欲に見つけ、受け取り、そして自分に組み込む能力を手に入れていました。

見て、感じ取って、察する力すらも武器に


端的に言えば、「入力」と「出力」。
そしてそれは、彼女が人生の中で「誰かからの願い」と「受容」を肯定することで、過去に抱いてきたものが自然と武器になったものでした。
過去のすべてを無駄にすることなく、心を開いて踏み入れるようになった世界から色んなものを得る。
それは三峰結華がそれまでの人生で積み上げてきた足跡から得た、素晴らしい「彼女の魅力」だったといえます。

過去の全てを肯定するということ、自分を受け入れるということ、そしてありえたかもしれない世界まで愛すること。すべてが今、「アイドル・三峰結華」に繋がっているのです。

彼女が「勝つことで何をしたいのか、どうなりたいのか」ということは一切ブレないまま、彼女は誰より彼女らしい武器を持って舞台に立つことを選んだのが、三峰結華の最高到達点として描かれた。
それは非常に素晴らしいことだと感じたが故に、彼女の中でその武器を持って「勝つ」という言葉を選んだことにも深く納得することができました。


その武器を象徴するような描写も、4コミュ目の中にありました。

それは、Pから与えられた選択肢、彼女にとっての「次の仕事」です。

「フェス」はあくまでそこからの戦いの続きを書いてるものですが、一方で「ジュエリー」と「対談」は彼女がそうして得た武器についての価値を語ってくれるものでした。

「ジュエリー」は、三峰結華が世界を肯定し、それを言語化する「受容」を行った結果の魅力の演出について。

それは、彼女が「やってみたい」と思った力で

「対談」は、彼女が見せようと思った彼女自身を魅力的だと思ってくれた人間が存在したことについて。

それは、彼女が「見てほしい」と願った姿

彼女がそれぞれの武器を選んだことを改めて肯定してくれるのが、それぞれの選択肢で示されていました。

それは、彼女がこうして戦うための肯定であり。
同時に、彼女をアイドルとして「ヒカリ」を見出してくれる誰かという、彼女が戦う理由を示すものでした。


跋文-これから-

という訳で、【Good-bye ラブレター】は読んだ方がいいですよ。俺はちゃんとアイドルを天職にする女の称号まで得ました。ほら、記事冒頭にもそう書いてある。
あとtrue、めっちゃ良かった。trueは初読の時から本当に良かったです。なんとこの記事はtrueのネタバレをひとつもしていないのですが、皆さん読んでいるから問題ないでしょう。

えっ?

【Good-bye ラブレター】三峰結華を読んでいない?




読んでおいた方がいいですよ……!【Good-bye ラブレター】三峰結華は……!




追伸、あるいは懺悔

それはそうと自分の中のカップリングのオタク、「その『勝ち』を求めるなら『トップ』を求めて一秒前の自分に勝ち続ける有栖川夏葉さんとのカップリングって…………………運命ってこと……………………?」という思考に至りつつあります。

夏峰御用達みたいなスクショが取れるので夏峰のオタクは【ビューティ/フル】を見ましょう。 よりによってソロ曲の話でこの背景色って何?

まあ元来さくみつのオタクなので「さくやんが幸せであってほしい」「私が幸せなら彼女も幸せだって、そう思っていい筈だ」「だから私も幸せそうに輝いていよう」の三段論法でニコニコしててほしい気持ちでいっぱいだったりするのですが……

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