冬と心と体重と




79.5キロ。



今現在の僕の体重である。





重い。




身長175センチの男性の標準体重は67.4キロであることを考えると


なお重い。




普通よりも新生児4人分を身体に取り込んでいる計算になる。


そう表現すると、僕がブウやセルなどの化け物の類に含まれてしまう気もするが、



かといって、身体に夢と希望が詰まっているんだよ、標準体重よりもその分体重が重いんだよ、と言っても無理のある体重である。




どげんかせんといかん。



僕の心に住み着く東国原さんもそう言っている。




冬は生物にとって生き抜くのが厳しい季節である。


槇原敬之さんが歌う冬が始まるよ、という歌も、

生き物に対してそろそろ越冬の準備をしなければならないよ、というメッセージを込めていたりいなかったりしているらしい。


そのため、生き物の種の1つである我々人間も冬を乗り越えるために普段よりも栄養を身体に蓄えようと働きかけるのか、


どうしても体重が増えがちだ。



だが我々には心がある。

精神で自らを律して、本能に理性という手綱をかけていかねばらならい。


野良の生き物との違いを示さねばならない。


したがって、僕は増え続ける体重曲線に終止符をつけるため、

ダイエットを決行することにした。



体重は増やすのは容易いが、減らすとなると輪をかけて難しくなる。


そこで、きちんと対策と計画を立てねばならないことを僕は知っている。

頭がいいのだ。へへへ。



僕はそこで歴史に目をむけた。


読者諸兄姉は、懐石料理とはご存じだろうか。


日本料理の1つで、様々な料理が少ない量で提供される形式の食事なのだが、


私は、この「懐石」という名前の由来が、実はダイエットのヒントとなることに気づいてしまったのだ。



調べてみると、

この懐石は、懐(ふところ)に石を置く = 胃の上ら辺に重いものを置くことで、


胃に重みを感じさせて、

胃に何かが入っていると脳に錯覚させ、

空腹を紛らわし、

少量の食べ物でも満足する、という算段らしい。


なんという発明。


昔の日本人は、それで空腹を紛らわしていたのだ。



そこで、僕は「ナナオ作戦」を実行することにした。


ナナオとは「なるべく なにかしらの物を お腹に乗せる」の頭文字をとった略であり、


先人達の英知によって作られた文化になぞらえたこの作戦をこなせば、


数か月で菜々緒さんもかくやと言うほどのエロエロ魅惑ボディーの完成間違いなしである。



そう気分もルンルンに作戦決行をしてから時間があれば、重い物をお腹に乗せた。

果たして意味があるのかと疑問に思いながらも、

時には本を、時にはギターをお腹に乗せた。

その姿を誰かに見られていたらきっと友達辞めると言われそうな醜態ではあったが、

腹が減っては重たい物を乗せる日々も1か月が経過し、

途中経過で体重計に乗ってみた。


結果、



79.6キロ。


むしろちょっと増えていた。


そればかりか、重めのものを乗せ続けていたため、気分も些か悪い。


これは遺憾である。



結果の残らないようなものを後世に残すな先人達。

そんな怒りを堪えながら、現在は違う作戦を決行している。



その名もプロジェクト「タジマ」である。


タジマは「たくさん ジャンプを 毎日する」という文字の頭文字をとったプロジェクトである。



普段から運動をしている高岸という僕の友達に

運動は何がエネルギーをたくさん消費するか、と尋ねたところ、


ジャンプは身体を使って、エネルギーを消費する、と言っていたので、


普段から運動に慣れ親しんでいる者からのアドバイスを素直に聞くことにしたのだ。



ただ、このプロジェクトの懸念点を挙げるとすれば、


僕が意見を求めた高岸自身も、現在進行形で太っているという点にある。


今も太っていっている人に意見を求めるのが適切であるか否か、



今後の結果に期待しよう。

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