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昨日彼が泣いた

普段私の前で弱さは見せず、優しく逞しく、いつも笑っている彼。だけど昨日は違った。手を繋いで帰るいつもの道で、いつも以上にデザインのことを考えていた。
家に帰ってチロルチョコを食べながらいつものように談笑していた。話し始めてまた今製作中のデザインの話になった。少し苦しそうな表情を浮かべながら「どうしたらいいんやろうな〜」と頭をくしゃっとしながら彼は布団に背中を預けようとしていた。
「頑張ってるよ、毎日毎日頑張ってるよ」と声をかけた。彼は私の目を黙ってジッと見つめ、少し目を赤らめ、潤わせて言った。「人にうまく助けを求められんのよ…」そう言って彼は泣いた。すごく綺麗で優しくて丁寧な涙を流した。

「苦しい時は半分こ」「楽しいことも半分こ」
これは私たちが付き合ってからずっと言っていることだ。彼は人にあまり頼らず、全て自分で背負おうとする。自分の中で苦しいなと思っていても、それを口にしようとする時は、マイナスな言い方にならないように「やりがいがある」だとか「がんばろう!」「もっとこうしてみよう!」とか、常にポジティブな言葉にして話す。心の中で感じている苦しさを出そうとはしない。
彼は私が彼のことを想って泣いたとき、一緒に涙を流してくれた。だけど私は、彼が彼自身のために涙を流したところを見たことがなかった。「うまく助けを求められない」と涙を流す直前には、私のために何ができるかな、とずっと''私''の心配をしてくれていたのだ。彼はもうボロボロで、限界ギリギリで今にも溢れそうな想いを抱えているのにも関わらず、彼は私のことを気にかけていてくれたのだ。

そんな彼の優しさに触れて、絶対にこれからも彼を支えたいし守りたいと思った。守られてばっかりじゃなくて、ちゃんと彼が頼れる人になろうと思った。苦しい時、パッと頭に思い浮かんで安心させられる存在になりたいと思った。そして、彼に恥じない様に彼の様に努力を惜しまず、もうダメだっていう限界ギリギリのラインに立つまで悩んで考えて諦めないでいようと決心した。

#エッセイ #好きしてみて #大好き #尊敬

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