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時間をデザインすることは、人生をデザインすること。タイムラボCEO保積が語る、タイムラボの未来

「世界の時間ロスをなくす。」わたしたちタイムラボは、そんなミッションを掲げる会社です。それだけ聞くと、限られた時間の中でいかに効率よくタスクをこなしていくかをイメージする人も多いかもしれません。

しかしわたしたちが目指すのは、単に「効率よく何かをこなす」ためのタイムマネジメントではなく、「無駄な時間を減らし、価値ある時間を増やす」こと。今回のnoteでは、創業者の保積にタイムラボに込めた思いと、世界の時間ロスをなくした先に目指す未来について聞きました。


心の底から解決したい課題を探したら、“時間”だった

——保積さんは、株式会社ディー・エヌ・エーの100%子会社DeNA Games Osakaを経て、タイムラボを創業しています。まずは創業するまでのキャリアについて教えてください。

大学卒業後、京都・滋賀でフリーペーパー事業を行う株式会社インデンクリエイティブに入社しました。小さな会社だったので、営業、人事、マーケティング、新規事業と幅広い業務を任せてもらっていました。

僕が30歳になるころ、世間ではモバイルのゲームアプリが大流行していて、いつかその領域に触れてみたいなと思うようになりました。ちょうどそのころディー・エヌ・エーが大阪に子会社を立ち上げると聞き、求人票を見たら「未経験OK」と書いてあったんです。

それで2013年にDeNA Games Osakaに契約社員として入社し、ゲームタイトルのプロデューサーやPM、マネジメント業務などを経験し、2015年に代表に就任。それから2年ほど、DeNA Games Osakaの開発運用拠点の代表として、経営を担っていました。

——そこからどのような経緯で次のキャリアに?

代表になって2年ほど経った2017年の年末に、DeNA Games Osakaがディー・エヌ・エー本体に吸収合併することが決まりました。僕自身はゲーム開発の経験が豊富にあるわけではなく、ビジネスや組織、仕組みを作るのが得意だったので、吸収合併後にGames Osakaのチームが事業の開発部門を担当するなら、組織のトップはゲームを作れる人間の方が良いだろうと思ったんです。

大学時代から「20代は目の前のことをがむしゃらにやりきって、35歳で起業する」と漠然と思っていたのもあり、吸収合併の話が決まってすぐに起業することを決意しました。

左からCOO 友成、保積、CTO 川下

——そのときすでに、タイムラボの構想はされていたのですか?

いえ、実は辞めたあとについては何も決まっていませんでした。当時は3人目の子どもができたばかり、家も買ったばかり(笑)。一番お金が必要なときに、妻に相談もせずに退職だけを決めていました。

——その後、事業テーマを「時間」に決めたのはなぜですか。

DeNA Games Osakaでの経験を経て、物事をゼロから立ち上げるのはものすごいパワーがかかるのだと身に染みて思っていました。だからこそ、心のそこから解決したいと思える課題やテーマでなければ、絶対にダメだと。そう思ったときに考え至ったのが「時間」でした。

時間を選んだ理由には、個人的な原体験があります。それは2013年に、2人目の子どもを死産で失ったことでした。まさか自分の子どもが死んでしまうなんて思ってもみなくて、妻にとっても僕にとってもつらい体験になりました。

親としては、できるなら自分の時間を分けてでも生きさせてあげたかった。でも時間って、それができないじゃないですか。生きたくても生きられない人がたくさんいるのに、自分は時間を無駄にしているかもしれない——息子との別れをきっかけに、小さな時間のロスにも、強烈な罪悪感を抱くようになりました。

僕が向き合ったのは子どもの死でしたが、自分の死に直面したときに後悔する人も多いらしいんです。「もっと家族と過ごせばよかった」「仕事ばかりしなければよかった」って……。どれだけ後悔しても、時間は取り戻せないもの。一人ひとりがそれを無駄にせずに生きられたら、世の中はもっと豊かになる。難しいかもしれないけれど、そんな世界を作りたくて、「時間」をテーマに起業しました。

カレンダーアプリを作っているわけではない。実現したいのは「時間をデザインする未来」

——保積さんがタイムラボを立ち上げた2017年には、すでにグループウェアやGoogle カレンダーを使用するのが一般的だったように思います。カレンダーアプリのレッドオーシャンへの参入にためらいはなかったのですか?

実は今も、カレンダーアプリを作っている感覚はないんです。もちろん見た目はカレンダーだし、ユーザーに他のカレンダーアプリと比較検討されるのもわかっていますが、僕としては既存のカレンダーと同じものだという感覚はなくて、その先のものを作りにいっていると思っています。

だから、レッドオーシャンであるとも、Googleカレンダーやグループウェアと競合するとも考えてません。自分の中に明確なコンセプトがあるからかもしれませんね。

——明確なコンセプト?

そうです。「タイムマネジメント」というと、「時間をいかに効率的に使うか」という観点だと思われがちです。でも僕が実現したいのは「時間をコントロールする=デザインする」世界観なんですよね。

人生=時間は有限なので、自分が今本当は何に時間を使いたいのか、優先度が高いものってなんなんだろうって考えて、ちゃんとコントロールするのが大事です。でも、それをできている人はすごく少ない。「時間をデザインする」ことは未来を、人生をデザインすることだと思うので、それが当たり前にできる世の中になったらいいなと思っているんです。

そのための一歩目がカレンダーアプリ。パラレルワーカーが増え、複数のカレンダーを使う人たちが増えた今、それをまとめて管理できるアプリケーションを作れば「時間をデザインする未来」に近づけると考えました。

——カレンダーというアウトプットは手段のひとつであり、決してそれ自体が目的ではないのですね。

おっしゃる通りです。豊かな人生を送るためにお金が重要だってことは、多くの人がわかっていますよね。大事だと知っているから、無駄にしないよう計画を立てて上手く使うじゃないですか。でも、時間でそれを当たり前にやってる人は少ない。

ゆくゆくはお金のように時間も、何に使うのかきちんと計画して、何に使ったか可視化して、改善のサイクルを回せるようにしたい。そのためのソリューションのひとつが、カレンダーだと思っています。

——なるほど。タイムラボは開発のプロセスにおいても、「時間をデザインする」というミッションをとても大切にされているように感じます。

そうですね。自分たちの作っているものとミッションを照らし合わせて考えた末に、長い時間をかけて構想していたプロトタイプをリリースしなかった過去もあるんです。

——どのようなプロトタイプだったのですか?

世の中の働き方が大きく変化した2020~2022年、日程調整ツールが次々にリリースされました。カレンダーのリンクを渡されて、「空き枠の中から好きなところにアポイントメントを入れてください」と言われた経験のある人も多いんじゃないでしょうか。

僕らも2020年にカレンダーの空き枠を自動で抽出して、リンクを送って日程調整するアプリのプロトタイプを作っていました。でも、結果的には自分たちが目指していたユーザー体験じゃないと気づき、最終的にはリリースをしませんでした。

——「目指していたユーザー体験じゃなかった」とは?

日程調整アプリって、すごく便利ですよね。でも、空き枠を自動抽出して送ったときに、相手がどの枠を選ぶかわからない。たとえば重要なミーティングの前に予定が入ってしまうと、「心の準備をしたかったのに」とか「もしもその予定が押したら重要なミーティングに遅刻してしまう」とかソワソワするじゃないですか。

相手はこちらの予定が見えていないから、そうなってしまうのも無理は無いのですが、これってアンコントローラブルだなと思ったんです。「時間をデザインする未来」を作りたいのに、作っているプロダクトによって時間をアンコントローラブルに“させてしまって”いて、ユーザー体験としては良くないなって。多くの時間とお金を投下して開発を進めていましたが、思い切って出さない意思決定をしました

反省点を踏まえて、今のプロダクトにある日程調整機能は、空いている枠をすべて送るのではなく、その中で自分が選択したところだけを送るものにしています。

開発側の都合を押し付けない。ユーザーファーストな開発を進めるタイムラボが見据える次の一手

——徹底して、ユーザーの体験を大切にされているんですね。

ユーザーファーストなプロダクトづくりは、常に大切にしています。そのために、ユーザーインタビューも定期的にやっていますし、上がってきた声は優先度の高いものからスピード感を持ってどんどん開発に乗せています。

でも、スピードを出すためにユーザーに対して開発側の都合を押し付けるようなことは絶対にやってはだめだと思っていて。「開発的にはこっちが楽だから、こういう仕様にします」って意思決定って、世の中には意外とあるんですよね。でも僕は、それは違うと思っている。

たとえばサブスクリプションのビジネスモデルを採用している会社が、解約率を下げるためにわざと退会導線をわかりにくくしているケースがあります。申し込みはネットからできるのに解約は電話のみとか。退会手続きのページが見つかりにくいとか……

そんなのは、ユーザーからしたらありえない。ユーザーは辞めたいと思った時点で退会の意思は固いのだから、導線を悪くしたらさらに悪い感情を抱きますよね。本質的な解決は「なぜ退会するのか」をきちんとヒアリングして、それを改善すること。それなのに、退会できない導線にするなんて、自分たちの都合を押し付けているだけにほかなりません。

常に主語はユーザーであるべき。ユーザー視点に立った開発は、すごく大事にしていますし、これからも徹底してユーザーファーストな姿勢でプロダクトを作れる会社にしていきたいと思っています。

——最後に、タイムラボが目指す未来について教えてください。

スケジュール管理の方法は、時代とともに変化を遂げています。昔は仕事もプライベートもひとつの手帳で個人で管理していました。2000年代にGoogleカレンダーやOutlook、グループウェアが広まって、同一ドメインの組織であればカレンダーを共有できるようになりました。

2020年代になり、副業や複業が当たり前となり、所属会社がひとつではない人が増え、スケジュールが分散しがちになってきました。個人が組織のカレンダーやドメインに縛られず、組織外の人とも予定を共有・管理でき、“自分の”時間をデザインできる。そのソリューションがTimelabだと思っています。今後も、新しい時代の働き方・生き方にフィットするプロダクトであり続けたいですね。

そして、いつかはソフトウェアの分野で日本のアニメやゲームのようにグローバルで多くのユーザーに熱狂的に愛されるジャパニーズプロダクトをつくりたいと思っています。

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