「介護」ってなんだろう

「俺には介護はわからない…」ある介護施設の施設長が言った。
 
“介護”ってなんだろう。身の回りのことが自分でできなくなった人を手助けしてあげること。こんなことだろうか…。
 
自分でできることでも面倒臭いことだったら、誰かがやってくれたら、そりゃ便利だよね。でも自分でやりたいことを了解なしにやられたり、自分の知らないところで、勝手に物事が進んでいったら嫌だよね。やれる状況でもないのに、“あなたのためにならない”って手伝ってくれなかったら切ないよね。
 
“介護”って、やれることとやれないこと。やりたいこととやりたくないことの線引きが難しいんだ。
 
以前無意識にできていた動くことや考えるこや伝えることとかに何らかの不自由さがあると、そのイチイチに感情が湧く。この感情を分かろうと努力して、介助という動作が加わると“介護”になると思う。この分かろうとするひと手間がないと単なる介護ロボットになっちゃうね。“介護”は身体介護に限られない。コミュニケーションをとることや生活環境を整えること、食事を準備すること、目配りや気配りをすることも介護だ。心を込めた介助でも相手の感情への理解がなければ単なる動作になっちゃうよ。
 
どこかの大学の教授が言ってた。「介護職はコミュニケーション技術を媒介とした相談援助技術者」だって。不器用だっていいんだ。まずは心が通っていれば。

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