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痛み
帯状疱疹になってしまった。
タイトルに書いてあるとおり単純に(痛み)を感じている。こうなってしまったのも色々と思いつくことがある。何度も配信などで話していたが、わたしが今回TOKYO PINKでのオーディションを受けると同時に、過去にZsaszという名のアイドルのラストライブに向けて怒涛の日々が続いたからだ。
しかしそれは、誰かに強いられた訳でもなく、私が、私自身が選んだ選択だったから、生半可なことは絶対に許さなかった。同時進行で行うのであれば、どちらにも本気で真っ当に、正々堂々と真正面から戦い抜かなければならないと思った。
オーディションを受けるキッカケは本当に単純で、大森靖子さんのタイムラインで見つけたからだ。
私はそれを見た瞬間に「あ、私の居場所はここだ。」と、それは運命のように、必然的に思った。本気で思ったのだ。
2019年からアイドルを始めて、大変な日々なのは間違いなかった。悔しいことも、嬉しいことも、いくら言っても分かってくれなかったり、変わらない世界に何度も絶望した。そして何度も希望の光を見た。
だから怖かった。またあの頃のように、心がズタズタになる気持ちを繰り返してしまうのではないかと怖かった。
でも気づけば応募用紙を完成させていた。それはもう一発描きで、一度も見返すことも無く無我夢中に私がなぜTOKYO PINKに入りたいか、なぜ今アイドルをしている真っ最中に応募したのか、好きな音楽は、嫌いな音楽は、誰にも言えない秘密は、全ての画面が真っ黒に埋まるくらい書き殴っていたのだ。
そして勢いのまま送信ボタンを押した。
まだわからなかった。本当にアイドルを続けたいのか、私は本当にこれでいいのかと、すがる想いでオーディションを受けたのであった。
それから月日が経って、いつも通り自分で依頼を受けたとある撮影を終え、帰りの改札を通り、駅の中で私は小さく「ヒュッ」と悲鳴をあげた。目の先に映ったのはTOKYO PINK 一次審査が通ったメールだった。
雨が降る予想を見て、片手に持った透明傘が地面に落ちた。右手を震わせながら口を抑え、目にはじわりと涙を浮かべていた。嬉しかった。私はとてつもなく嬉しかったのだ。
それから、公開された動画の通り二次、三次とオーディションを受け続けた。その間もZsaszの解散ライブは迫り、アルバムに向けた新曲やラストライブのリハーサルなど、私は一気に終わりと始まりをこの両手で収めなくてはならなかったのだ。
その間も無我夢中で休むことなくレッスンをして、新曲を覚え、ボイトレに参加し、そしてオーディションの課題に向けてスタジオに入り浸る日々を繰り返した。
大変だ、、、暑いし、クラクラして、水を飲む手が震える。でも、きっとこんな気持ちは私だけじゃなくて、他の受けている子も同じかもしれない。
学校、仕事、他のみんなも今ある生活の中、このオーディションにきっと全てをかけて受けているから、弱音なんて絶対に吐いてはいけない。そして、絶対に負けてはならない。と、自分を奮い立たせながら挑んたのだ。
もしかしたら、私は裏切り者に見えているのかもしれない。
だって私は、人生をかけてZsaszというアイドルをこの4年間費やしてきた。本当に売れたかった。本当に悔しかった。同じ夢を持った少女たちに何度も越されて地面を殴りたい気持ちでいっぱいだった。
だけど応援してくれるみんなには、最後まで絶対について来て、後悔させない。なんて大きな台詞を吐いてきた。
だからこそ、ラストライブと同時に新しい場所へ行こうとする私は、裏切り者なのかもしれない。でもきっと、大丈夫。みんなはきっとまた私がステージに立つ日を心待ちにして、きっと受け入れてくれるはず。
そう信じ、言い聞かせながら走り続け
11月4日 Zsasz LAST LIVE
Zsaszとして生きるティム・ヴィンセントの
最後のステージを終えた。
拍手と、涙と、大きな歓声で溢れかえっていた。
私はこの日を絶対に忘れない。
これをあと100倍大きくして、帰ってくるから。必ず帰って、みんなを迎えに行くから!
今言えないそんな言葉を、心の中で大きく叫んだ。
11月11日 TOKYO PINK MINDS
「怪獣GIGA」
迎えに行くことが出来た。
君を退屈から、迎えに行くことが出来たよ。
私は地下アイドルだった。
アイドル経験0で、まるで捨てられた野良猫のように全てに警戒して、怒りを抱きながら、例えトイレの匂いのする小さな小さな楽屋でも、メイクをして、衣装に着替え、どんなに辛い事があっても、ステージに笑顔で立ち続けた。
時にはみんなを心配させたり、弱い部分を隠し切れない事もあった。それでも私は、会場にたった一人でも、私という存在を待ってくれる人が居るのなら、こんな私でよければ何度だって迎えに行きたいと思った。
私にとってアイドルは人生だ。
第2章の人生が始まる。きっと、これが最後だ。
ボロボロに挫けそうになっても、私が決めた道。私が決めた人生だ。最後まであがいて、何度も絶望した、この変わらない世界を変えてみせる。
そして、新しく見つけてくれた君と、あの頃見つけてくれた君を、救いたい。大丈夫。こんな人間が、アイドルをやっている。諦めたくないって気持ちだけで、ステージに立ち続けて、人を感動させられたんだ。君が寂しくて泣いてしまいそうな夜を救える歌を歌いたい。君が悔しくてやるせない想いをスッキリさせるようなステージを魅せたい。
まだまだ叶えたい夢はいっぱいだ!
君は君のままで、私といつか絶対に会いましょう。
後悔をさせないくらい、かっこいい私で迎えに行きます。
おわり