wearing note #6 ゲーム批評について

 最近ゲーム関連の研究が盛り上がっていて大変嬉しい。僕自身はぼちぼちゲームをする方だと思っていることと、最初に書いたエッセイが、ゲームに関するものだったので馴染み深くもある。
 ところで、最近ゲンロン8が出版され同時に批判が飛んでいるのも知っている。僕自身は、ゲームの歴史についてはある程度把握している一方で、いわゆる液晶画面を用いたゲームの歴史というのは本当に膨大で、大筋の話しを流すことができても、やはり特定のトピックに絞った場合RPGやFPSというくくりでは膨大な資料を必要とするだろうなと感じる。
 日本で特に発展したと考えられるビジュアルノベルゲームも、国内だけに絞ったとしても100本くらいはやってないとみたいな空気を感じる。本当に最重要なものだけをプレイしたとしても、20本程度は必要だろう。

 ゲームにおいて通史的な資料というのは大変貴重で、かつタイトルと内容の羅列だけでなくそれぞれの影響についても語る場合は、大変な苦労がある。
 僕個人としてはゲンロン8はまだ目次を読んでパラパラめくった程度なので批判する内容も称賛する内容もまだ手元にはないが、話題としてはまぁこれを皮切りに色々出てくればいいなぁと考えている。
 ここ最近はeSportsを中心としてゲームに触れているので、その辺りの話題はまだまだ少ないのでもっと話者が増えると豊かな世界ではあるなと思う。

 さて、では僕のメインやってるゲームであるが『League of Legends』というビッグタイトルである。ゲーム史においてはジャンルとしても新参者で、Maltiplayer Online Battle Arenaこと通称MOBA系(もしくはdota系)と呼ばれるものである。ジャンルとしての源流はRTSのウォークラフト3のmodから始まったdotaというゲームがあり、詳しいことはネットで調べたらすぐわかります。
ルールの細かい説明もしません。ざっくりといえばタワーディフェンスゲームと対戦協力RPG的なシュミレーション要素があるのだけれど、プレイ無料のゲームなのでやって確かめてください。日本サーバーもあります。
 すごく投げやりな説明なのだけれど、つくづくゲームの話をするときにこの日本においてはまだまだ未成熟なジャンルの説明をするのが本当に面倒である。今はここにデッキ要素を入れて1v1形式に発展したゲームもあるのに、まだジャンルの説明をしないと伝わらないだろうな〜と思う程度には日本人はゲームをしないと僕は感じている。
 いやそんなことねーよと言う人もたくさんいると思うのだけど、steamってなに?みたいな人が多いのも事実だとは思う。鍵屋さんのマネーロンダリング問題とか日本で一切話題にならなかったの、ほんとこの国がインターネットに繋がってるのか不思議だったな〜
 話題がそれたが、日本人的なゲーム史と開発者のゲーム史は全く異なるし、いちいちエクスキューズを入れて書くのが本当に面倒だと思う。

 で、MOBA系のゲームは世界大会で優勝賞金が3億円くらいあるわけですが、批評と言うものはあまりない。ストーリーがないのが一番の問題点なんだろうなと考えている。マリオのような一人でやるアクションゲームにはストーリーがなくても手触りやレベルデザインの話は出来ると思うが、5v5のジャンケンについて批評するのは単純に難しいように感じる。
 もちろん、切り口は無数にあるので、例えば各チャンピオンの習熟曲線とランクごとの勝利数を絡めてスキルセットについてのプレイヤーの学習経験についてや、ゲーム内チャットと勝利についてのデータを元にしたコミュニケーション論とか、プロプレイヤーの社会的評価と使命についてなど書けるかなーとも思う。誰か書いてくれないかな。

 どんどん雑に文章を書いているがまとめていくと、単体の作品について語るのではなくジャンルごとに話をしようと思えば当然抜け落ちるものがあるので、それは半分程度諦めてターゲットを絞って書くべきだろう。単体作品に触れる際にその系譜について軽く触るくらいで許してほしい。
 例えばビジュアルノベルに置けるマジックリアリズム的想像力の射程、特にkey作品を中心としたものみたいな古臭いものでもいいし、愛の語りにおける魔法の不可能性についてD.C.を中心に論ずるものでもいいな。(これは愛の不可能性ではなく世界の管理者がいるとして、その管理者をどのように救うべきかと言う問いで、その回答としてス・マ・ガを例にあげることは可能である。)
 結局のところゲームの最も面白い部分は体験そのものなので、個別に自分のやったゲームを好きなように語るのが、批評家としての仕事の限界と使命なのかなと思う。ゲーム研究家であるのならば、通史的なものをまとめる仕事をしてもらえれば大変嬉しいが、まあ膨大なので忘れないうちに少しずつまとめて行ければと思う。
 かなり雑感でしかないが、この歴史観は間違ってるよ!と言うのはどんどん言っていくべきではあるし、間違いは正せば後で楽なので、今ゲンロン8が出たのは大変良いことだと思う。みんなどんどんゲームの話をしよう!

 先日、madlifeというスタープレイヤーが引退して悲しい。スタープレイヤーをちゃんと讃えることや、語りつぐのも文化にとっては重要なことだなと思う。サッカーのように管理者のいないゲームならともかく、プロプレイヤーは会社の運営するゲームタイトルに依存するので、そこから離れても個々の選手の功績については、タイトルを超えてジャンルの中で受け継がれていくといいなと思う。carry supという概念を生み出した彼に最大級の賛辞と今後の活躍に祈りを捧げる。永遠に人類のゲーム史に、彼の名前と功績が形を変えても残ることを願う。
 一人の選手が、一つのチームが新たなメタを作ったときに、ゲームそのものが変質してしまうことについて書けそうだな?

修正を2点入れました!

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