#15 賭博の妙

 K検事長が賭け麻雀をリークされたことで、日夜インターネットは賑わっている。ちょうどいまゲームに関する原稿を書いており、このことについて考えることがあったので少し書く。

 今回問題になった麻雀というゲームは、アナログゲームの中でもプロリーグがあり、かつ他の同程度の地位を誇るゲーム、将棋・囲碁・チェスに比べるとかなり賭博との相性が良い。むしろポーカーやバカラといったゲーム達と並んでカジノで遊ばれている。
 父の賭博における教えにも「麻雀を打つときは1円でもいいから賭けろ」というものがある。(もう一つは「スロットは若いうちに打て」(なぜなら老眼でよくみえなくなるから))
 実家にいたころには年に数回卓を囲ったこともあったが、僕はゲームで金銭を賭けること自体があまり好きではない。賭けるならなにがしかの約束とか好きな人に告白するとか、秘密を暴露するなどの人間関係をうっかり変えてしまいかねないものの方が好みである。
 それはそれとして、父の教えは深く心に残っている。なぜ麻雀を打つときは1円でもいいから金を賭けなければいけないのだろう?なぜ父は寿司屋なのに自動卓を持っていたのだろう?

 ある程度麻雀を打つ人間ならこれ以上を特に読まなくても答えがわかっていると思うが、麻雀というのは4人で作り上げるゲームだからだろう。例えば将棋のような1対1のゲームでもなく、ポーカーのような単純な親対子のようなゲームでもない。
 麻雀の簡単なルールをおさらいすると、麻雀は14枚の手牌で何か役を作ると上がりとなるゲームだ。一回の上がりごとに親の役目をプレイヤーが引き継ぎ、親上がりならば親続行、子上がりならば親が流れて次の人が親となる。親で上がった際に点数は1.5倍され、逆に子がツモした場合(自分の引いた牌で役が完成した場合)は親は多めに支払わなければならない。
 また、麻雀は他人の捨てた牌を利用することができる。ロンは他人の捨て牌で役が完成したときに上がりを宣言する時の掛け声だし、よく聞くポンカンチーという鳴きもそうで。父曰く、「弱いやつほど鳴く」らしい。

 さて、麻雀は4人で作り上げるゲームと書いたが、麻雀はよく出来たゲームで、なんとなく理解してくると、17回山から牌を引くととりあえず何か役が出来るようになっている。そして牌を引けば引くほど、つまりガチャの試行回数を重ねるほどに珍しい手の形を見ることが出来て、より高い役が完成しやすくなる。そのため、例えば三元牌と呼ばれる白発中のみで5巡目くらいで上がられると「つまんない打ち筋だね」みたいな愚痴も言われる。 
 「そんなみえみえの三色に振り込むやつがいるか!」「白中鳴いてるやつがいるのに見えてない発切るなバカ!」「俺の四暗刻の夢が....」みたいな声もよく聞こえてくる(主にDiscord上で)。
 麻雀というのはある程度の点数を出そうと思うと、基本に忠実に打つことになる、これも親父の教えだが、「麻雀の基本はメンタンピンよ」である。具体的に説明するのはめんどくさいが、確率計算で作りやすい牌の形を目指せというようなことを言っている。何はともあれ、そういったある程度わかってる打ち回しが出来てくると卓には連帯感のようなものが生まれてくる。そろそろうちのDiscordサーバーの初心者も東一親で初手字牌切りをしなくなった。(偉いぞ!)
 いろいろと端折ったが、麻雀というものは4人全員が似通った戦略を取ればとるほど、鳴いて安い手で早々に上がりにくくなる一方で、高い役が作りやすくなるゲームになっている。(上がりにくくもなっているが)そのため、1円でもいいから賭けて適当なプレイングを封じたいというのが麻雀打ちの気持ちなんだろうなと思う。

・余談(というかここが書きたかったけどめんどくさくなったこと)
 まず僕はそれほど熱心な麻雀打ちじゃないことを謝っておきます。(ゲーム理解度浅いねと言われたらごめんなさいしないといけないので先に...)
 ゲームを楽しむために賭けるという行為は褒められたものではないが、これって半荘が主流になったからゲームとして主流になったのだろうか?例えばバックギャモンなんかはサレンダーが発明されてゲームそのものが持ち直したわけだけど、一荘戦が賭け事に適してないから廃れたのか、それとも単に賭けの試行回数を増やすために半荘になって日本において主流になったのか気になる。
 ゲームの外にルールを作ってプレイングを縛るというのは何か本末転倒な気もしないでもないし、一荘戦であればそれは解決出来るのだろうか?
 それはそうと、月数回集まって、みんなで納得のできるレートでみんなでゲームを作っていくこの共犯性、実質BLみたいな感じがしていいですよね。
 しかし愛は引き裂かれたのか、あるいは老後の情念となってより高レートで打つのか、それはまだ定まっていない...
 牌九の話もしたかったけど、調べるより原稿書くほうがよさそうな気がした。(そのうち告知するので、読んだ人は告知楽しみにしててくださいね...)

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