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小蠅神

小蠅神 雲玉和歌集下総

さばへなす人のこころの世の中はくろとのはまのおきつしら波
小蠅神とて悪神なり、みそぎは此神をはらふなり、黒戸の浜白波は、青蠅の黒白をけがすと申す、心のあしき人によそへり

 この歌は黒戸の浜(現在の千葉市稲毛区黒砂)で穢れを払うみそぎが行われていたことを示すという。

 「さばへ」とは陰暦の五月に群がり騒ぐ蠅で、稲に付く害虫や、祟りをなす恐ろしい霊魂といわれる。そこから、「さばえなす」は「騒ぐ」「荒ぶる」などにかかる枕詞となっている。

 つまり小蠅神とは「陰暦五月頃の蠅のように煩わしくいとわしい邪神・悪神。疫神。疫病神」である。


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