ましん女房
ましん女房 ちゃあちゃんのむかしばなし
あるところに欲張りな男がおり、飯を食わない嫁がほしいといっていました。
すると、ちょうどそういう人を世話をしてくれる人があったので嫁にした。
確かに嫁は飯を食わない嫁で最初は喜んでいたが、飯を食わないことにだんだん気味悪くなり、ある日出かけるふりをして、見張っていた。
すると嫁は大量に米を炊き、片端から頭の口から食べていた。
嫁はましん(化け物)だった。
何も見なかった風にして男が家に帰ると、嫁に風呂を進められた。その言葉に従って風呂にはいると、急に大きく揺れた。地震かと思ったが、女房が風呂釜ごと持ち上げ、山の奥に向かっていた。
男は咄嗟に木の枝にすがりつき風呂釜から出た。
女房は気づかず山の奥にくると仲間に向かって
「とってきたぞ」と騒いているが、中に誰もいないことに気づいて悔し気な声をあげた。
「おぼえいろあの男。今度の年の末にクモに化けて忍び込んで捕ってやる」
男はそれを聞きながら慌てて里に逃げ帰った。そして、ましんから聞いた事を話した。
年末になると、男と村人たちは火をたいて待っていた。大きなクモがきたので、箒で叩き落し、火で焼くと、クモは大きなましんの姿に変わった。
それから大みそかの晩には大きな火を焚くようになった。
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