環城使者

環城使者 聊斎志異
 都平県の候という獣医が、野原でつむじ風にあった。それが苦しそうだったので、柄杓で水をやり、祈ってやったところおさまった。
 数年のち候は病になり、病床に伏せていた。そこに閻魔殿の獄卒が現れ、引き立てていった。こうしたときは、獄卒に食べ物や酒など賄賂を渡せば、加減されるものだが、候は一切しなかった。
 獄卒は怒り、より酷く扱おうとした時、緑色の衣の官人がきた。たちまち獄卒を追いはらい、いろいろともてなしてくれる。
 候は不思議がって尋ねると、
「昔、私が泰山から出てお役目の途中、野原で喉が渇き、難儀していた時に、水をくださった」
 そこで候は、あのつむじ風の正体が目の前の泰山の使者であるのを知った。そうして家に戻らされたという。

 



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