10回に一度の反省。楽屋トーク。その10。

 はい、やりました。やりましたよなんとか100回。とはいえ、もうすでにあと1つは完成、もう2つ書き始めているので、終わりというわけではない。結局、コロナ騒動のちょっと前から始めたので、丸2年。最初の頃は毎日何kかしら書いてたんだよなあ、偉いなあ自分。

●この10回の反省。
半数が、それまでに書いていたものの続きや1年近く前に書き上げていたものなので、特に反省というものもないのだが、後半で「○○といえば誰々」で過去にいた人を思い出すパターンを複数使っている。すでに書き上げているものも同様なので、安易かな。

全体にこなれてきたと言うか、時間の余裕をうまく使えるようになったという感じで、2000字程度の短いものの場合はオチを先に考えて基準にしていたものが、4000字程度になると、始まりを基準に考えるようになった。書いている間に登場人物が流れ流れていく。枚数制限のあるプロの作家にはあるまじき行為なのであろう。イラストも描くのだが、入りと出のギャップというのが、書いて(描いて)行くことの一つの楽しみでもある。

「いいね」はほとんどつかなくなったが、PVも激減しているので、あんまり関係ないのかもしれない。『95. けっして、さがさないでください。』のあとに少しだけPVが増えたので調子に乗ったが、それっきり調子戻らず。だめですなあ。

『あるきクラブ』は、タイトルが失敗。今後やりたい妄想散歩小説に、これまでにキャラクターを混ぜてみたところ、3回位で浦和に付く予定だったのが6回まで続いた。何も起こんないけど、書いていて楽しかった。色々と小ネタを練りに練って散りばめるということをしているので、小ネタ探しに是非どうぞ。

『特攻』は、ワクチン接種前の話。なので、ちょっと古い。力を入れた前半が評価されるのは納得。後半はどうやってあらかじめ作っていたオチに引っ張るかを考えすぎて、途中が薄い気がする。

『けっして、さがさないでください』は、モデルいます。元々は自分が探されたらどうかなー、でも職場バレすると困るよな、何ていう妄想からスタートして、もっと不幸な感じに落とした。モデルの人は2人どっちというわけでもなくいるけど、両方「猫」のつくハンドルネームの方だけど、お元気でしょうか。お二人とも美少女イラストが上手くて、真似しようと思うものの、結局髪の毛の描き方がわからなったものだ。

その後は、柳美里『フルハウス』の影響で、おかしな人がでてくる話と、以前にも書いたマムチョ氏のお話(脚色あり)。

●この10作で影響を受けた本。
結構影響を受けてるぞ。柳美里『フルハウス』はもちろん、竹内真『図書館のキリギリス』、中澤日菜子『お父さんと伊藤さん』、デボラ・インストール『ロボット・イン・ザ・ガーデン』などなど。

裏で始めた別シリーズは、『コンプリ』で出てきた志村貴子『放浪息子』の影響もあるのだけど、それ以上に吉田修一『最後の息子』が引き金になっている。BLや同性愛を描くつもりはそれまで毛頭なく、女子中学生につきまとわれるオッサンを書こうと思ったが、2作品を読んでからあえて男子中学生に変えてみたら、ストーリーが自然にできてきた。この話は後ほど。

そうそう、ブクログのほうも、そろそろ1000レビューに到達である。
https://booklog.jp/users/tikuo
読書傾向をみると、なんともとりとめがないが、好きな作品や、同作家の同じような作品に対する印象とその評価はぶれていない。自分の書いたレビューながら、ちゃんとしていて感心するのである。

2021年の夏以降は漫画を買いまくったり、無料サンプルや立ち読みで読んだ。そのなかで、田島列島という人の作風がストーリー作り的にも絵柄作り的も自分のものに似ているので驚いた。出てる本は全部買う予定である。また、鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』は、1巻立ち読みでパラパラとめくってピーンと来て、集めかけたら映画化発表で、ほとぼりが冷めるのを待つことになった。1,3巻だけ持ってる。読んでません。

なお、志村貴子氏のtwitterでは頻繁に作品関連、無関係のイラストが流れているため、それに影響されて、ワタクシもスタイルを変えて、1日に1枚以上のイラストを描くようになった。クオリティはプロとは雲泥の、月とスッポンの差があるわけだけれども、やはりたくさん描(書)くと発見があるのは、小説もイラストも同じだ。時間を制限して描いているので、勢いが出てきたこと、ポーズがカチッと固まるものが多くなってきたこと、ちょっとしたカットを10分程度で描き上げられるようになったなど、メリットは大きい。今更?今更でもいいじゃない?

●今後のこと。
100作を目標に書いてきたが、では満足したか?と問われるとそうではない。その証拠にすでに別のものを書き始めたり、シリーズ物を書き始めている。シリーズで書きたいものとしては、以前に書いた40代なかばでギター買っちゃった、音楽全然ダメなおじさんの話、散歩小説、そして100話で触れた『理学部、変な教授』。ネズミ小屋でマウスの管理をしながら、先輩やテクニシャンの人と人生を話したり、教授の裏の仕事などをネタにしたい話だが、まだ1話も書いてません。「ぜんいん、『み』ですね」は、星里もちる『りびんぐゲーム』から。

で、始めてしまったのが『リョウタとセンセイ』。先に書いた志村貴子と吉田修一の作品に触発されて、男子中学生に好意を持たれるおじさんの話を、それぞれの交換日記形式で書き始めている。2作目で「キモチワルイ」と言われかねない状況になっているが、性的な話は一切書くつもりはない。高校に入ってしばらくまでの約30作くらいで終わる予定で、漫画の単行本だと3巻くらいかな。ストーリーもあまり内面に突っ込まず、漫画の原作のような書き方ができないかなと模索している。すでに30本分の20本以上は、結構細かく脳内での構想はできている。

ではまあ、こちらはどうするか、ということだが、これまでと同じ様に続けたい。できるだけ単発の話にしたいが、『寄居のこと』や、めぐみのぞみのコンビなど、もう少し続けたい。ペースは落ちるだろうし、ある日突然何もかも書く気がなくなるかもしれない。その時はその時である。

●100作書いてどうだったか。
まあ、これだ。
書けるもんだなあと思ったというのが正直なところ。10本も書けばネタが尽きると思っていたけど、そうでもない。最初の頃は2000字で落とすために、きちんと途中の通過点を覚えておくのに必死だったが、50も書くと途中は多少ふらついてもいいかという気分になってきた。その変わり、オチがなるべく思ったところに落とすように考えるのが大変で、書いているうちに進路変更することも有った。

例えば『赤いギターと女子高生』だと、最初思いついたオチは「うん、ギターはもうやってない。兄貴に取られた」っていうものだったが、ショートショートみたいになるので、書きながら方針を変えた。

ざっくり言うと、短距離のハードル走みたいな書き方から、長距離ランニングのような書き方に変わってきたと言える。思いついた後の脳内でのストーリーの持続時間が格段に伸びている。作中作で全く書く気もない『理学部、変な教授』も、5~6本分のエピソードやその時の周りのイベントなどが頭の中に出来上がっていて、仙田教授が教授室にこもっているときは、大概悪いことをしていて、実は売れっ子の推理小説作家もやっているであるとか、そういうものを一度思いついたら忘れなくなった。細かいエピソードは書き留めておかないと、すぐに忘れるんだけれども。それは歳のせい。

また、今年は漫画を大量に読んで、ストーリー中で起こる様々なイベントに対し、書くことのハードルが下がったというものもある。最近の漫画やアニメって、ひと目見てすぐ好きになったりするじゃないですか。しかもモテなさそうな人がモテるネタが多い。このへんは、頭が古いので、高嶺の花になんとして近づいて、玉砕してを繰り返すが当たり前の世代だったので、新鮮でもある。

坂口安吾やあの時代の小説だと、ろくでなしに惚れる女なんかも出てくるんで、その時代に戻ったとも言える。物を書き始めて、あ、それでいいんだと拍子抜けしてしまうのだ。

とりあえずね、出す出さないに関わらず、みなさん書いてみるといいですよ。頭の使い方が変わってくるし、世の小説づくりの大変さと面白さってのが、やることでもう少し理解が深まると思う。特に、大学生くらいの少し頭が固まってきたかなあ?今年カフカの『変身』しか読んでないなあという人。やってみるといい。

長い。
また不定期に。