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改めて理解しておきたいライブ配信のビジネスモデル

「ライブ配信が改めてすごい!」と聞くことが増えました。
私は17LIVEが日本に上陸して3ヶ月目あたり(2017年9月)にBizDevとしてジョインし、その後LIVESTARというライバープロダクションで経営戦略室の役割を担っています。

LIVESTARは2019年にavexグループ入りをし、現在に至ります。

直近改めてライブ配信が話題になっているなと思うので、プラットフォームとプロダクション両方の立場でマーケットに関わってきた視点からライブ配信について

波に乗るPococha

直近のライブストリーミング(ライブ配信)ですと、DeNAが運営するPocochaの伸びが話題になりましたね。

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▼株式会社ディー・エヌ・エー 2021年3月期通気決算説明会より抜粋

台湾資本の17LIVEが先行するなかプロダクトにフォーカスした開発を行い、着実に業績を伸ばしています。

ライブ配信マーケットの伸び

ライブ配信マーケットで上場している企業がまだまだ少ないためPocochaのように業績を公開している会社は少ないのですが、2018年に17LIVEがアメリカで上場をしようとした際の目論見書が非常に参考になります。

▼目論見書

目論見書の中に市場規模のforecastが出ているので、数字を抜粋した上でグラフにしたのが下記の画像になります。

ライブ配信_勉強会資料.pptx (1)

※当時の為替レート1ドル=107円に換算して算出

日本では17LIVEが日本に上陸した2017年には100億円に満たない市場だったのが、2022年には1,200億円近い市場になるという予想を出しています。

ライブ配信のビジネスモデルは?

ライブ配信のビジネスモデルは基本的にはユーザーからのギフティング(通称:投げ銭)により、ライブ配信者(ライバー)が収益を得る仕組みになっています。

通常インターネットサービスの多くが、広告などでマネタイズするところをユーザーからの課金をもとにライバーが収益を立てることが大きな特徴です。

ライブ配信のステークホルダー

ライブ配信のステークホルダーを整理すると下記のようになります。

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プラットフォームはユーザーの満足度を上げ、ライバーの収益を最大化することを担います。
新規ライバーのオンボーディング、新規リスナーのオンボーディングを機能的に提供することでサービス全体のクオリティを高めます。
また、後述するイベントの運用がユーザーとライバーの熱量を高める重要なドライバーとなります(ソシャゲの構造に近い)

ユーザーはコインを買い、ライバーの配信内で投げ銭を行うことでライバーの配信を応援します。

ライバーはプラットフォーム内でライブ配信を行うことで、ユーザーとコミュニケーションを取り、投げ銭を得ることで収益を得ます。
※直接的に金銭の授受にならないように、投げ銭だけではなくエンゲージメント(コメント/視聴時間/いいね)などに応じての支払いとなってるケースが多いですね。

ライブ配信を支える法律と契約

少し脱線しますが、ライブ配信で理解しておくとよい法律と契約についてもまとめておきます。

ライブ配信についてはある程度資金決済法の枠組みを理解しておくと商流の理解もスムーズになるので、下記の記事などで資金決済法前払式支払手段については理解をしておきたいですね!

※うっかり資金移動業にあたるサービスをつくってしまい、吹き飛んでしまうサービスがたまにあるので気をつけましょう。。。

またよく聞かれる質問としては楽曲などの著作物使用に対する、JASRACなどの許諾がどのように行われているかです。

ライブ配信プラットフォームだけではなく、動画配信系サービスではプラットフォームが音楽の著作権管理団体と包括契約を結んでいます。

こうすることで楽曲単位での申請が不要になり、ライバーが簡単に楽曲を利用することができます。

包括契約の場合は売上から一定の利率で管理団体に収め、同時にユーザーからの楽曲利用の報告をもとに管理団体にも報告を行い、最終的に著作者に収益が還元されます。

プラットフォーム系だとよくある座組なので抑えておきたいですね。

売上を支えるアプリ内イベント

ただ配信をするだけではライバーとユーザー間でのエンゲージメントが築きずらいため、各ライブ配信プラットフォームではアプリ内でイベントを開催しています。

イベントごとにランキングボードが存在し、ランキングを競うことで課金額が最大化されていきます。

2018年時点でも17LIVEのイベントでは一回のイベントで3億円ほどの売上。

また、ただランキングを競うだけではなく、オーディションを兼ねてイベントを行うこともあります。


こうしたイベントに参加することがライバーとしてのマネタイズの主要なドライバーとなります。

ただし、イベントはかなり競争を煽るものなので、ライバーとユーザーが疲弊をするのも事実です。

プラットフォームとしてはイベントに変わる形でのマネタイズドライバーの開発が求められるようにも感じています。

YouTubeとの比較

個人が活躍するという文脈ではYouTubeと比較されることも多くあります。
具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?

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一番の違いはマネタイズの手段です。
YouTuberは広告ビジネスなので、基本的には動画がどれだけ再生されたのかで収益が決まります(物販やタイアップは除く)。
ゆえに、フォロワーの数や動画の再生回数がビジネス的な価値になります(=広告としての価値)。

それに対して、ライバーは投げ銭がメインの収益となるため、エンゲージメントがビジネス的な価値に繋がります。

つまり、フォロワー数≠ビジネス的な価値となる市場です。

実際に17LIVE時代に月間数千万円の売上を上げるライバーでも、売上の大半を極少数のファンが占めるという現象がありました。

また、そうしたライバーのTwitterやInstagramのフォロワーが1,000未満だということもあります。

このフォロワー数≠ビジネス的な価値という点は非常に面白い点だと思います。

※フォロワー数≠ビジネス的な価値とはいえ長期的に勝ち続けるためにはaudience developmentを続ける必要はあります。

これはまさにケヴィン・ケリーがいうところの1,000 True Fansに近い現象だなと当時から感じていました。

次回予告

今回の記事は大枠でのライブ配信業界の整理ですが、次回はライバー個々人の配信の精度の上げ方や、成長モデルについても記事にできればと考えています。

特にaudience developmentは非常に重要なので、いい感じにまとめます。

最後に

LIVESTARでは一緒に事業を成長させる仲間を探しています。
ライブ配信業界に興味があるかたはぜひご連絡くださいませ。
また、これからライブ配信を始めたい個人、プロダクションとしてライブ配信に取り組みたいけどなにから取り組んでいいのかわからないプロダクション関係の方もぜひご連絡をいただけますと幸いです。

下記HPもしくはうめもとのTwitter DMまでご連絡ください!

ぜひ、次回もお楽しみに!


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