見出し画像

おでんの具と言えば。

これは「言の葉の集い Advent Calendar 2022」の15日目として投稿しました。
お目汚しすみませんが、頑張って、リズム良く、美味しそうに書きました。
楽しんでいただければ幸いです。

冬。雪。クリスマス。
連想ゲームを始めたら行きつくところの一つだろう。
冬。寒い。おでん。
これもまた連想ゲームを始めたら行きつくところの一つだ。
そして、その連想ゲームに行きついてしまったのが俺だ。
「寒ければ鍋」そうかもしれないが、その鍋には味の染みた大根は居るのか? 答えはNoだろう。
「寒ければ暖房」それはそう。しかし、暖房には、おでんのような滋養とぬくもりに満ちた つゆはあるか? これもNoだ。
「寒いとかどうでも良いからクリスマス」イベントとしてはごもっともかもしれないが、赤いサンタクロースよりも、白いはんぺんの方が今の俺には魅力的だ。
というわけで、おでんを買って来よう。

おでん、あぁおでん、おでんでん。
なんでも、おでんという言葉は「お田楽 でんがく」という言葉から来ているらしい。つまり、こんにゃくは外せない。1番バッターのこんにゃくというワケだ。
このプルプルの弾力にくにゅくにゅとした面白い歯触り、栄養価を犠牲に得られたものは唯一無二のものだろう。それに辛子にも味噌にも合う。
二番手は、昨今、プラストローは辞めて紙ストローだと言われているが、時代の先を行くのは、ちくわストローだろう。というわけで、ちくわ。
実際の問題として、おでん つゆをちくわで吸うと火傷する。特殊な訓練を積まない限り真似はしないで欲しいし、人前ではやらないで欲しい。友達が目の前でやってたらちょっと距離を置くと思う。
それはそうと、練り物のスタンダード、全ての練り物の基準点、0に見えるから0カロリーと呼ばれ高い存在。こいつを買わない手はない。

三番手、と言う前に買うおでんは5つだ。
すでに2つ購入は決めている。残りは3つ。ここからは後半戦というワケだ。そろそろパワーヒッターが欲しいんじゃないか? もちろん欲しい。
三番手は、ソーセージでいこう。長いやつだ。あるかなぁ。
ウィンナーとは違く、定番の牛すじとも違う。ソーセージだ。適度に煮込まれ、おでん汁に豚の肉の旨味を付与する役割は大きい。それに、ウィンナーよりも食べ応えがあり、牛すじの脂身は、ちょっと今の時間に食べるには重そうだ。和の者に洋の者が混じるっていうのも、ゾンビ映画のおもしろ黒人枠のようで良い。
そして、四番、これはもう決まっている。ここで呼ばすして何を呼ぶ? 大根様のお通りだ!!
北は北海道、南は沖縄、東の東京、西の京都、おでんには大根、夏のコミケに冬コミケ、ポパイポパイのほうれん草という定番のやつ。
味が染みて薄く醤油色となった大根のなんと美しい事か。そのまま食べて良し、辛子を付けて食べて良し、味噌漬けて食べても良い、どんな食べ方をしても美味しく、ホクホクで体の中から温まるっていうもの。大根の入っていないおでんなんてのは、モグリのおでんだね。おでん種だけに。

いきなり風が吹くもんだから冷えて仕方ないね。ちょいと急ぎ足でコンビニに向かうか。
店内は中々、空調が効いていてありがたい。
さてさて、最後の一品はどうしようかな。
「あのー、おでんいいですか」
「あ、はいー、なににしますかー」
店員さん、割と大きめの器を選んでくれてナイスと言わざる得ないな。
「えーっと、こんにゃく、ちくわ、ソーセージって、あります……?」
「こんにゃく、ちくわに、はい、ソーセージありますよー」
「良かった良かった。あと大根とー……」
ふーむ、こう目の前にすると目移りしてしまうな。
はんぺんのふかふか感も良いが、定番おでん種のたまごも捨てがたい。
ちくわぶのもっちりを味わうのも良いんじゃないか。き感じに煮込まれているし、いやだが、まてまて、慌てるな、珍しくロールキャベツなんてのもあるじゃないか。洋の者が二人になってしまうが、出身が違うしOKなんじゃないか。
「あのーもし悩んでいるようでしたら、こちらの具はどうでしょうか」

家でおでんを食べる。
寒い中、買いに行って良かった。まさかこんな珍しいものに出会えるとは。
どの具も程よく味が染みていて大変良い。幸せとはこの事だろう。
おでんの出汁割、なんていうのもやってみたくはあったが、明日は平日。ここは控えておこう。
しかし、店員さんが選んでくれた”コレ”思いもよらない美味しさだ。
おでんにはあまりない色合い、あまりに常識外れだったために選択肢からそもそも抜けていたな。次回からは定番かもしれん。

いやぁ、しかしというか、やはりというか、「冬。寒い。おでん。」の連想ゲームは、一つの解であるな。
うんうん、おでんは良きものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?