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静寂は、不思議な空間か

 静寂(せいじゃく)は、波乱万丈、長いようで短い人生の荒波を乗り越えてきた人々に、最後に、与えられる感覚。五感で感ずるものは何もない、そんな不思議な空間か。

 静(せい)という文字は、じっとして動かない、音がなくてひっそりしていること。静という文字を分解すると、左側は青(あお)、右側は争(そう)いう字となります。

 青は、まさに晴れた空のような色を表しますが、一方で、草木の葉がさかんに成長する様も表しています。あるいは若さを意味することもあります。一方、争(そう)ですが、まさに字の通り、争うといった激しい意味をもっています。

 この青と争の組み合わせの静(せい)が、ひっそりとした静かな様を表していることが面白い。争いのあとの静寂、そんな意味合いもあるのでしょうか。また、寂(じゃく)は、しずか、さびしい、そういった意味のほか、涅槃(ねはん)に入る、といった仏教的な意味合いもあります。寂滅、入寂などの使い方がそうです。