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おとなになる

もう、成人式の記憶なんて朧気だ。
年齢だけで言えばもう十分大人だけど、小学生の頃思い描いていた大人にはほど遠い。


仕事終わりのビールのおいしさに気がついたのは22歳になる年の夏だった。
あの時は少し大人になった気がしていたけど、よく考えなくてもまだ学生だし、何も知らない、純粋無垢な少女だった。

今はもう社会に出て、国民の三大義務の教育、勤労、納税を果たしている。
経済的にも親から自立して、衣食住を自分の稼ぎで賄って、無駄な外食は控えるとか、電気はこまめに消すとか、小さな節約を積み重ねながら、わりと好きなものに好きなようにお金を使っている。

社会的には大人だ。
でも、まだ大人になれていないと思う。

たとえば結婚して子どもを産んで、誰かの親になるとか、そういうことではなく。
いや、まあ、子どもの頃はこの年齢になれば家庭があるものだって思ってたけどね。
両親の結婚早かったし余計にね、思ってたけど。
そんなんじゃなくて、なんかこう、自分のマインド的に、もっと大人になればもうちょっと生きやすい気がしている。

社会に出てまず最初に覚えたのは自分の機嫌の取り方だった。

好きなものを食べて、お酒を飲んで、物欲を満たして、カラオケで大きな声を出す。

このどれかでだいたいは自分の機嫌は取れる。
自分の機嫌は自分で取る。
これ、新入社員研修とかで絶対やった方がいい。
というか、最後の試験とかで取り扱ったほうがいい。
世の中、自分の機嫌も取れないばぶが多い。


私は私の機嫌を取ってあげられるけど、それでもまだ、大人になりきれない。

他人がする興味ない話をうまく聞き流す方法とか、ちょっと苦手なあの人とのじょうずな距離感の保ち方とか。

そういう、処世術をうまく身につけられないままこの歳まで来てしまっている。

だからいちいち自分の機嫌も取れない人に疲弊するし、心を消費する。

どうしたらそれを身につけられるのかよく分かっていないけど、なんとか足掻きながらおとなになりたい。

思ったことがわりとすぐ口から出るタイプなのも子どもくさいなと思ってるけど、溜め込むとそれはそれでストレスも溜まるからむずかしい。


そんなこんなで、またじょうずな処世術を身につけられないまま1つ歳をとってしまった。

あー、はやくおとなになりたーーーい!!

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