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NPR Fresh Air 5/7 Tom Colicchio「レストランを食糧供給所に」

5/7版NPRポッドFresh Airに現在17シーズン目が放映中のTop Chef(料理人コンペティション番組)の司会、そしてCraft Steakなど5店舗を持つ、トム•コリッキオが出演していました。彼は食に関する社会問題の活動家でもあり、コロナでのレストランに対しての災害補償を議会に訴える団体Indipendent Restaurant Coalitionのチーフでもあります。コロナ渦中、後のレストラン業界について話していました。私自身もニューヨークのレストランで働いていました。レストランのキッチンは、実は「食品小加工所」になれる事。全ての料理人はそれが出来る。災害で、飢えている人に食べさせたいと思うなら、俺たちを使ってくれ、という訴え。キッチンスタッフの気概。いかなる高級レストランでも「人に食べさせる」という最低限であり同時に最高に崇高なjoyと責任を理解しているからこその言葉だと感動しました。

以下、抜粋です。
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番組ホスト、テリー•グロース「食糧供給チェーンについて。レストランに届けられる食材。それはいま小売りに回されているのでしょうか?」

コリッキオ「ほとんどそうではありません。まず精肉業界。大手精肉会社タイソンやスミスフィールドが精肉所を閉めています。3600人の従業員で1000人以上が発病。サウスダコタのスミスフィールドの精肉所は全国のポークの5%を担っている。

正直に言うと、このような大企業がほとんど市場を独占しています。そして彼らが配送システム牛耳っていて、フードチェーン自体がこのような災害に弱い。各地域で小さい農家が健全に乱立していれば、こんな事にはならなかった。今、この大企業の精肉所閉鎖を受けて、国内精肉供給が90%減となるとの予想もあります。

これに加えて現在、一つの農家は一つの配送システムと繋がり、特化した生産を行っています。例えば、牛乳。ある酪農家が大学やホテルなどの大きな施設用の牛乳を生産しているとすれば、その酪農家はそれようの配送システムしか持っていません。小さくても5ガロンのディスペンサー補充用のパッケージしかできないのです。今、大学もホテルも閉まってその行き先が無くなった時、はいそうですか、といきなり小売り用の容器に牛乳を詰める術をこの酪農家は持っていない。この牛乳は無駄になります。

畜産農家。豚は200パウンドまで育てます。各部位がしっかり取れるようになるには200パウンド必要だからです。さあ、育ちました。いま精肉所が閉まっています。畜産農家は屠殺はしません。育てて、精肉所に売り渡すだけですから、この動物は行き場が無くなります。200パウンドを超えた豚はその後高速に大きく育ちます。費用だってかさみますので、農家が殺すしかないんです。」

グロース「すみません、中断しちゃって。それ、すごく悲しい事です。仕事がなく、給料が入らず、食べ物を買えない人がいますよね。それなのに一方では食べ物が捨てられている。食べる為に育てられた動物が意味なく殺されている。ここをなんとか繋げられないんでしょうか。」

コリッキオ「大きな目で見れば、問題はこうです。政府が、計画しないと行けないんです。政府が先見を持って、臨機応変に動けば、食物を動かす事が出来るはずなんです。長年に渡って私達は『大きい政府はダメだ』、『アメリカの自由は政府の介入により阻害される』という意見を強制フィードされて来ました。大きい政府、でなくてもいい。私達には今、賢い政府が必要だ。このような事が起こった時にどうしたら良いかちゃんと計画している政府。このような事が起こってる時『起こってない』とか『そのうち無くなるから』と言い張る政府ではなく。今議会が審議している法案にも食糧を動かす為のプランが入っているはずです。

コロナウイルスの前から3800万人がSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program 補助的栄養支援プログラム)やフードスタンプを使っていました。メリランド州ではコロナ禍によりこれらサービスへの申請が71%増えたと聞きました。これを全国に単純計算で拡張すれば、さらに2500万人が食糧調達に苦しい状況にある、という事です。これにフードバンクだけを利用してる人は数えられていません。食糧は有るところにはある。これをこの人達に届けるのは政府の計画なしではできないし、今現在私達の政府がそれを時間内にできる賢い政府とは言えない。」

グロース「大統領は精肉所を閉めることを禁止する大統領令を出しました。そのことについてはどう思いますか?」

コリッキオ「空っぽの令ですね。稼働し続けるなら、従業員を守らなければならないでしょう。時給10−13ドルの従業員。精肉所が稼働している限り出勤しないと首になる、と思ってる従業員達です。しかし、仕事場ではマスクもsocial distanceの環境もない。生産ラインは肩と肩がぶつかる位ぎゅうぎゅう詰めで仕事をします。例えば精肉所が『これは由々しき事態。どうせ需要も減るだろうから生産スピードを少し落とす。』と決めていたら。3000の従業員のうち、1000人だけを出勤させ、それを2週間ずつ交代させたら。もちろん自宅待機の従業員には給与を払う。そうすれば具合の悪い、罹患した従業員が無理矢理出勤しなくてもいい。こういうプランがあるなら稼働してても良いと思いますよ。しかし大統領はただ「稼働しろ」だけを言う。意味が無いんです。」

グロース「政府がサプライチェーンを無駄の無いように統率する意思があったとして、それは可能ですか?」

コリッキオ「私に聞けばいいんですよ。簡単な事です。私が政府だったらレストランに『昨年の収益75%を支給する。スタッフを再雇用して、サプライヤーから食材を買い、それを加工してくれ。君らの普段のメニューでは無く、コミュニティーの食糧供給センターとして。』と言えばいい。レストランは食材加工所でもあります。例えば私の店にはブッチャーがいます。チキンが丸のまま来たとしてそれを切り分ける事ができます。そして調理して必要な場所に届ける事ができる。私達には独自の配送システムが既にあるんです。それを利用すれば良いだけ。ただ資金を投入すればいいんです。シンプルな事ですよ。政府はシステムを1から作らなくていい。資金だけ入れれば全てが揃っているんだ。全てのレストランが食糧供給センターになるなら、一カ所で大量に調理しなくていい。各レストランで200−300食を作ればいいんだ。政府はどうせ失業保険を払っているんでしょう。レストラン業界にそれを落とせば良いだけの話。FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)は実際災害地でそれをやって来た。それを大きい規模でやればいい。こう言うプログラムがあれば私はキッチンスタッフを呼び戻せる。彼らが職を失わないですむ。そして1年でも2年でも、私達は人々を飢えさせない、という大きな信念を持って仕事に望む事が出来るんです。」

グロース「あなたの口調を聞いて思うんですが、怒ってますね。今の状況に怒ってますよね?貴方の業界の全ての人、農家、酪農家、キッチンスタッフ、全ての人に有益になるプランがすぐそこに有るのに実現していない。」

コリッキオ「非常に歯がゆい状況です。イラついています。ビルゲイツは数年前にこの事態を予測していましたが、私達はこんなこと予想していなかった。しかしプランさえしっかりしていれば、レストラン業界、製造者含めた全体、そして、国全体を救えたんです。軍事費に多額の予算が毎年使われています($686bil-68兆6000億円。世界一。2位から9位までを全部足したのと同じ額)。国民を守るため、ですよね。しかし軍隊はコロナから国民を守れません。政府はこれを認めないといけない。他国からのミサイルなんかよりずっと危険なものがある、と。そしてそれは軍備増強では戦えない。国防の意味を再構築しなければいけません。セイフティーネットを増強しないといけない。3800万人が食糧供給プログラムを利用していると言いましたね。そしてこの状況でそれが2500万人ほど増える。で、コロナ禍が終わればどうしたいです?また3800万人に戻るんですか?それではだめだ。New Normalを目指さないといけない。このような事態に対して、もっと強靭なサプライチェーンを作らないといけない。何かあったときの為にスイッチを入れるように非常事態配送システムに変えられるような計画が必要だ。

だって、こんな事はまた起こる。気候変動で各地で自然災害が起きているでしょう。同じ事です。ホセ•アンドレス(*コリッキオと同じ有名人シェフで近年、災害地での食糧供給のプロジェクトに力を入れている。FEMAより速く現地に駆けつけ、もの凄い早さで炊き出し所を大規模で作る。)はもう何年もその事を話している。システムは既にあるんだ。レストラン業界がある。資金だけ政府は入れればいい。私達はどうやって人に食事を届けるか、知ってるんです。私達はできる。任せて欲しい。」


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