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プロテストでの「暴力」の実態


What we’re missing when we condemn “violence” at protests
What news coverage does — and doesn’t — show about unrest in Minneapolis and Louisville.

By Jason Johnson May 29, 2020 voxの記事。以下訳です。

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コロナ禍で10万人以上が亡くなり、3000万人以上が失業した。そして過去30日に渡って警察や自警団気取りの市民からの無実の黒人への暴力、その複数のビデオの流出。国全体がカオスに飲まれかけているように感じる人もいるかもしれない。

それに対しての国民の応答、暴動と呼ぶかも知れない(呼ぶべきでない)、それともプロテストと呼ぶかも知れない、蜂起、社会不安、反乱、、、とにかくそのようなものが地方、全国ニュースやSNSで報道される。ジャーナリズムの教授として、実際にそのような現場を見て、研究すると、これらの報道が得てして現場の実情を伝えられていないことに気づく。プロテスト/暴動の報道を見るときに気をつけるべき点を挙げて行く。

ニュースの目的はセンセーションである。テレビであろうが、携帯の画面であろうが、目をそこに引きつける映像を欲する。劇的なもの、炎や泣いている人々、割れた窓、と言った具合だ。背後にある大きな問題には触れない。ほとんどのケース(ファーガソン、ミズーリ、バルティモアでのここ数年のプロテスト)では破損や火災は一部のエリアに限られていた。その周りで人々はぶらぶらと歩いている感じなのに、わざとカメラを揺らしたり、緊迫感ある角度で写真を撮る事でSaving Private Ryanの一場面か、という錯覚を与える。

実際の所、そういうプロテストの現場が完全にカオス状態になる事は少ない。夜のニュースが市内の地図を出して説明する事はほぼ無い。「街全体が燃えている」ような映像から2ブロックも離れれば、店舗も普通に開店していたりする。プロテスト!とドラマチックに報道する為に少しでも美味しい映像があればそこにカメラが群がる、というのは今に始まった現象ではない。

https://twitter.com/washingtonian/status/822564324417949697

建物や器物の損壊は警察によるものも多い。ファーガソンのプロテストやバージニア、シャルロットビルでの右翼ラリーでは実際そうだった。催涙ガスの缶は放たれたあと数時間、触れば火傷を追うほど高温だ。暴動制圧隊によって放たれるフレアでも破損は起こる。実弾やフラッシュグレネードならなおさらだ。

警察によって起こされる火災もある。あまり報道されないのだが、放火の罪で逮捕されるプロテスターは意外と少ない。警察の投げる催涙ガス缶が落ち葉の上に放っておかれていれば火災は起こる。

もちろんプロテスターの中にも暴力や破壊行為に走る者はいる。しかし傍観者、特に報道はこのような市民不安の現場での役者をきっちりと把握する事が大事だ。前述したように警察も破壊行動者の一員だ。さらに独自の目的を持つ煽動家やアナキストが平和的なプロテストに混ざり込んでいる。陰謀論ではない。ミネアポリスのプロテスト現場だけ見ても、おかしな格好をした、意味のない破壊のみを黙々と行う輩のビデオが数々上げられている。それが誰なのかは誰も分からないが、プロテスターには見えない。

そしてどこにでもいる「チャンス!」とやってくるただの犯罪者。警察は平和的プロテスターへのハラスメントで忙しいので、さっとverizonの営業所、ヘアサロン、商店にはいって盗みを働くのは容易い。このような輩の行動が、暴力と抑圧の構造と象徴への反対を訴える実際の革命とごちゃ混ぜになっている。プロテスターが、何も責任を問われないミネアポリス市警に憤って警察署に放火するとして、その意義はカオスに紛れて酒屋に忍び込む輩のそれとは全く違う。

今まで述べたこれらの役者達を正当な平和的プロテスターと十把一絡げにしてはいけない。しかし警察の報復処置を受けるのは大体がこの平和的プロテスター達だ。だから「彼らは自分たちのコミュニティーを焼き払っている」という物語は誤解を招くし、危険だ。その「彼ら」とは誰の事を言っているのかはっきりさせる責任が発信者にはある。

そしてそれは次の非常に重要な論点:どのようなプロテストがどのような警察対応を招いているか。過去3ヶ月間、武器を持った白人達が州庁舎に乗り込み経済を再開せよと要求するプロテストが繰り返し報道された。

あの報道で重装備の警官隊をどれくらい見た?保守/右翼のプロテストに対応する警察がシールドやヘルメットなどの装備を着けていることはまず無い。妊娠人工中絶に反対する保守派のラリーが、警察から催涙ガスを投げつけられているのを見た事があるか?反対に、左翼の、そして特に有色人種のプロテストには大した圧力がかかる。ミシガンでは右翼のプロテスターが普通の制服の警官につばを吐きかけ、ミネアポリスではシュプレヒコールをしている10代の若者たちにSWATチームが乗り出してくる。

https://twitter.com/SawyerHackett/status/1265759000357978117

大きな視点での文脈の欠如も非常に問題だ。プロテストはアリゾナ州フェニックス、オハイオ州コロンバス、NYC、ジョージア州ブランズウィック、ケンタッキー州ルイビルでも行われていた。ルイビルのプロテストで7名が撃たれた。なのにニュースではミネアポリスの燃えるビルを四六時中見せるのみ。まるで全てのプロテストがこんな感じとでも言うように。ビルが燃えていたのはミネアポリスだけなのに。

国の将来を危惧するアメリカ人として、気をつけるべきはなんだろう?プロテストは「good guys」と「bad guys」の単純な二元論ではない。数々の役者が数々の目的を持って入り乱れている。しかし、ニュースは「ああ!大変だ!」「酷い被害だ」とポーズを取るだけの地域政治家や警察の話を鵜呑みにするだけで、彼らのやっている破壊行為には言及しない。

今回、ジョージ•フロイドの首に9分間膝を押さえつけた元警官デレック•ショービンは逮捕され、殺人容疑で起訴された。もしルイビルでも、ブランズウィックでも、(コロナ禍で起きた黒人殺しの過去他2件)犯人である警察や自衛団気取りの市民が一貫して逮捕/起訴されていれば、今回のプロテストがここまで大規模になることは無かっただろう。

更に重要な点。大体この全てが始まったのは、人命が奪われたからである。なのに器物/建物損壊の方へフォーカスし、それを誇大報道する姿勢はニュース機関の優先順位の許しがたい不当性を表している。ニュースの視聴者として、その煽りにのることはない。現場からリポートを上げる市民の報告を追う事だってできる。自分の倫理観を振り回してベラベラと喋るテレビのコメンテーターよりも、プロテストを産んだ最初の事件に対して現地の事実に目を向ける事だってできる。「よろしい/けしからん」の話から離れて、暴動/プロテスト/反乱、などと言う言葉を軽々しくごっちゃに使うのを止める事だってできる。

言葉を変えれば、誠実に、しっかりした情報を得たアメリカ市民になり、同じ仲間のアメリカ人が傷つき、痛みを訴えている事を認識する事ができる。その痛みは、政府発表や報道を通し、消毒されたものだけが正当と言う訳ではない。

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