HPL5振り返り

先日開催されたHeads-up Puzzle League (HPL) 5に選手として参加させていただきました。大会動画は既に公開されており、概要欄から問題ファイルを閲覧することもできます。興味のある方はぜひ最初は自分で解いてみてください。

振り返りということで、前回ほど細かくはないですが解いた感想や反省などを1問ずつしていきます。負け越した今回こそじっくり反省すべきでは?


1. Kurodoko

うーん厳しい。解説でも触れられている通り1マス仮定で進めていくような問題でしたが、このタイプはかなり沼りがちです。WPC予選などでよく見るCaveの系譜ですね。パズル種の時点である程度予想はできていたので、解くときにそれ用のムーブを用意できればもう少しマシにはなると思うのですが…。現状では避けるか後回しにするかしかできないという自分の大きな弱点になってしまっています。

2. Kurotto

抜け番でした。事前にやった解きタイムが2:18なので全体の中では真ん中くらいだと思います。Kurottoの数字がナナメに影響する形は自分は自然に使うので、大きく詰まることなく解けました。理詰めとしては(提出戦術を考慮しても)Kotaさんにも勝っておりいいタイムだと思うのですが、Kurottoはそれっぽく充填が有効なパズルということもあってか引き派のタイムがすさまじい…。

3. Kropki Loop

アホ!!!!!!!めちゃくちゃ酷いプレーを晒しました。なんと最初2分弱は全通ルールを忘れたまま解こうとして「どこも進まへんなあ」とかやっています。また、この問題の肝であった2マス離れの黒丸の部分を繋がらないものだとずっと勘違いしており、気付いて仕切り直しとなるまでに実に4分も浪費してしまいました。その後全消ししてようやく進み始めるのですが、前半で間違って進めていたときの線の動きが一箇所残ってしまい、それが誤答に繋がって敗北してしまいました。不慣れなルールはちゃんと例題を解いたりある程度の手筋研究をしておいたりと事前準備をしておかないとこういうことになりますよという教訓ですね。ちなみに、結果的に前半戦6試合の中では一番惜しい試合がこれでした(?)

4. Killer Sudoku

まあこれは…。自分の数独力は時の運とか相性とかでひっくり返せないほど極端に低いので、100回やっても100回負けると思います。この問題は多分7分くらいかかっていて、これはSGPの低配点バリアントにかかる時間とだいたい同じくらいなのでまあ妥当というところ。

5. Kakuro

自分としてはまあまあ順当に解いていけたと思っていたのですが、やはりKakuroはトップ層には及ばないですね。この問題で3分台は正直出せる気がしない。こうして強い人との差を目の当たりにすると格の違いみたいなものを感じそうになるのですが、なんでか知らないけど同じフィールドで戦っているんですよね…。

6. Knapp daneben Arithmetic Square

かなり嵌りました。こういう問題はきちんと系統的に場合分けするべきなので、それができなかったという順当な負けかなと思います。本番ではR1の2マスとR2の3マスの和がいずれも偶数なので下段の和が偶数だな~とか思っていたら終わっていました。別にArithmetic Squareを引いて勝てるようになる必要はないのですが、全検力はもう少し鍛えるべきだと感じました。例えば負けたときに進めていた下段のリストアップ作業なんかはもう少し速度を上げないといけないという気がします。

7. Coral

この難易度だと手が止まったら負けるよなあという感じです。市松で決める形をしばらく見落としていたのが致命的でした。今回に限らずパズルの解き始めのタイミングで手筋のいくつかが頭から抜けていて途中で思い出すというケースがよくあるので、Easy帯だと特にそのあたり意識して解くと違うのかもしれません。

8. Comet

市松は最初から想定にあったので、前の試合でEasy帯でないと分かっていたこともあり最初にやってみたら当たったという感じです。その後決まった白を使ってスターバトルに取り掛かるのに少し時間がかかりましたが、後から考えると自分もこのテーマを作るとなったらこうしますね。普通のスターバトルでこんなに歯抜けに白が置かれることもないので、多少の見えにくさもあってちょっと詰まってしまったかなという感触です。インタビューではすみませんでした(帰ってからガチ反省しました)。

9. Compass

抜け番その2。割と好きなパズルなのですが、前回のHPL4に続き今回もCompass抜け番ということでなかなか縁がありません。とはいえ解きタイムが4:33なのでそこまで速くはありませんでした。R7C4の2230が絶妙なブロックを見せるのですが、そこがなかなか見えず手こずった感じです。

10. Capsules

かなり苦手なパズルです。ブロック、マス、数字と注目するパターンが多岐にわたるので、進む手を見つけるのに手こずってしまうというのが大きいのかなと感じています。元々の数字埋めの遅さもあって難易度通りの速度が出た試しがなく、やはり今回も負けてしまいました。この問題はそこまで難しくないのでまだ希望があった方ですが、それでも4分くらいは使わせてほしいと思ってしまいます。

11. Fences

勝者タイムがいずれも40秒前後という超スプリント問でしたが、自分はどこを見るべきか分からなくなってしまいかなりの後れを取りました。手の速度で負けるだけならまあしょうがないという気にもなりますが、内容的に差が付くのはよくないですね。こういうのをシンプルループ手筋で捌いていくのは他のループパズルを解く上でも基本中の基本になるので、もっと精進が必要です。

12. Checkered Fillomino

今大会唯一自分がfastestを取れた問題になりました。もちろん作意にすんなり気付くことができたのが大きいですが、他の人がみんなどこかしらで詰まったという幸運に助けられた面もあり、見返すとまだまだ詰められるなとも思ってしまいます。実はKota vs EKBM卓で猛威を振るった右側の6は自分もちゃっかり引っかかっているのですが、即修正してスピードを落とさずに済みました。カウンティングは下辺で孤立した時点で絶対に必要と分かるため、その時点で数えておいて41が残り何マスを頭に残し続けながら解くという策を取ってみました。ミスの原因にもなりうるので諸刃の剣かもしれませんが、今回は上手く噛み合ったと思います。

13. Coded Nurikabe

なんだか終始ふわふわした感じで解いていました。右下を見てK=2だと決めたのですが、後から考えると(着眼点はよいとはいえ)間違った理詰めをしていたような気がします。その後もちゃんとは詰めずに何となく分断しなさそうな形を選んだだけで、実際右側ではかなり消しゴムのお世話になりました。もっとも、こういうタイプは厳密にやろうとするとKurodokoみたいに小さな仮定を繰り返す必要がありがちなため、早く解くという意味では正しいムーブだったのかもしれません。

14. Scrabble

SとKの洗い出しが不完全だったのが何よりよくないポイントです。その後の方針は悪くなかったと思いますが、他の人の解き筋を見ると右上でミスリードパターンを引かなかった幸運もあったような気がします。

総括

試合の内容を大雑把にまとめると、
8,12:とりあえず満足できる勝利
13,14:反省点や運の味方はありつつも拾えた勝利
3:動きの悪さを最優先で反省すべき敗北
1,6,7,11:順当にやって順当に負けた敗北
4,5,10:パズル相性や実力差で容易には覆せなかったであろう敗北
という自己評価です。
開始前から想定はしていましたが、EKBMさんの参戦もあって目標にしていた勝率五分は簡単ではなかった大会だったと思います。今回目標を設定しておいて言うのもなんですが、前回よりは気楽に臨んだというか、悪く言えば緊張感はあまり持たずに参加していました。その心持ちが前半6連敗しても「パズル楽しいなあ」とあまり引きずらないことで後半の持ち直しに繋がったのか、あるいはそもそも6連敗してしまった原因なのか、なかなか自分では判断付かないところではあります。まあ試合のみに拘らず長い目でパズルと付き合っていけたら一番だと思っているので、そういうスタンスで合っているのかもしれません。

今回のHPLも参加できて良かったと思えるとても楽しい大会でした。終わった今は作者側もいいかなと思って試しに何問か作ってみましたが、難易度調整が下手過ぎて前途多難の様相です。先のことは分かりませんが、ひとまずは来月に迫ったWPC2023に向けて気持ちを高めていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?