HPL4振り返り

先日開催されたHeads-up Puzzle League (HPL) 4に参加させていただいたので、その振り返りをまとめておきたいと思います。HPLとは日本のトップパズルソルバーを集めてリーグ形式で1対1の対決をするパズル大会です。各選手の解く様子に解説まで付いている動画が公開されており、パズル大会の観戦という観点からも非常に面白い企画だと思います。今回の動画はこちらから。動画の説明欄に問題のリンクなどもあります。

https://www.youtube.com/watch?v=-FJ_Eq908qQ&list=PLr_GbCkJouiaKpRM-A1ytn8OIbJitXG66&index=5&pp=iAQB

事前目標について

まずこの大会は参加する…というか招待されるためにはPuzzle GPにおいてそれなりの成績が必要なので、今回初めて呼ばれただけでも自分にとってはとても嬉しいことでした。参加する人は世界で見てもトップクラスの選手ばかりなので、気持ちとしてはチャレンジャーのつもりです。
そんなわけで結果に対しては明確な目標は立てなかったのですが、事前アンケートにも回答した通り「できるだけ理詰めを意識すること」をテーマに掲げて挑みました。これは昨年のPGP Finalでの経験を踏まえてのことです。PGP FinalもHPLと同様の1on1マッチの形式ですが(というかHPLの方がそれを踏襲しています)、私はこういったプレーオフ形式の経験があまりなかったので満足に戦えなかったという心残りがありました。これは振り返ってみると無駄な仮定で時間を浪費することが多かったのが大きな原因かなと感じています。私は普段理詰め寄りで解くことが多いのですが、プレーオフのような場で理詰めをしっかり考えるには想像以上に忍耐が必要でした。もちろん手を動かしながら制約を見つけるというのも有効ですが、盤面をじっくり見て論理を考えるというのが焦っているとなかなかできません。手が動いていると進めている"感"が出るのでついそちらに流されがちで、しかしそういう仮定のフィールドに行ってしまうと自分より鍛えている人が多く結果として不利になってしまいます。PGP Finalでは、そうして自分のスタイルが崩れたことで10位という結果になってしまいました。そのため今回はプレーオフの舞台でも流されない自分の解きスタイルを確立できるといいなと思い、理詰めを目標に設定しています。

各問振り返り

1.Tapa  (vs. EctoPlasma)

EctoPlasmaさんは引き派筆頭という感じで、特にTapaだと難しすぎるとかでもなければガッと引いてすぐ終わらせてくるだろうなというのは最初から想定していました。それでも、初戦ということもありできるだけ理詰めを意識して進め、相手が速攻で終わらせて負けるならやむなし、万一沼ってくれれば隙を逃さないようにするという待ちの心持で臨みました。
今回の出題は黒マスの細かい通り抜けを考えるタイプで、一目見てまあ引き有利だろうなという印象でした。これによりちょっとだけ理詰め意識が緩み、お気持ちを込めながら線を引く感じで解くことになりました。C4の抜けは一応追いかけたものの完全には信頼していないくらいの段階で下側を通していき、また右側は消しゴムも使いつつさらにカン寄りで進めています。結果的には完全理詰めよりは速度が出ていた気はしますが、この辺りはまあ練習として理詰めをしても良かったかもしれません。でもまあ右上抜けられないのはやってみないと見えないかな…。今回くらいのスタンスでやってテンポを楽しめるいい1問目だったと思います。
結果は約20秒ほどの差で敗北。相手が1回消したこともあって思ったよりは僅差でした。初戦勝利とはなりませんでしたが、この展開自体は想定内だったのでダメージはあまりありませんでした。むしろやるべきことをやってもう少しで勝てそうなところまで来られたので、この先に希望を持てた気がします。

2. Statue Park (vs. UNP)

Statue Parkはいろんな展開が作れるのであまり事前予想などはできず。相手のUNPさんは他の大会の結果からも自分と同じくらいの実力と感じているので、ある意味一番気の抜けない戦いでした。ただこのマッチの後に知ったのですが、UNPさんペントミノと気持ちが通じ合っているそうでここは当たりが悪かったようです。
今回の出題は予約もしっかり使う比較的オーソドックスな問題。Statue Parkはほとんどすべての問題で序盤に白マスの抜けを考えますが、ここでいつも初速が出ていないのではと今回自覚しました。解き進めていくと段々慣れてきて普通にできるのですが、どうも最初ノロノロとしてしまっている気がします。続く予約展開ですが、左上のILからPが排除されるところは見えなかったので、NPYの3予約として扱って解いていきました。その後TVXも含めた計6ピースを豪快に引きに行ったのが判断としてよかったかどうか微妙ですが、すぐに填められたのはかなり運がよかったと思います。
結果は数秒差で敗北でした。こちらの運に加えて向こうはラストで沼っていたようなので実力的には差があったのかなという感じですが、結果として惜しい負けたっだのでかなり悔しかったです。とはいえ平常心は大事なので当初の目標を思い出してあまり引きずらないように意識しました。特に、ここまで引きが当たっているからこそこの先で理詰めを忘れないようにというのは気を付けました。

3. Snake (vs. fff)

そう言っている矢先の引きパズル筆頭Snake、しかも相手は引き派のfffさん。とはいえ、むしろ引きの舞台で勝負しても勝てないので初戦同様理詰め意識で待ちの姿勢を作りやすかったです。沼りやすいパズルだと思うので戦略としても有効でしょう。理詰めのないSnakeだったらまあ無理ですが…。
開始後は制約が見えるのにちょっと時間がかかりました。そうこうしてるうちにfffさんが驚異的速度で提出したので、思わず「それは無理」と声が出ています。これは誤答だったのでもう少し猶予が生まれ、右下に入らないことが分かってようやく大枠を作れましたが、決まるポイントに着目するのにじわじわと時間を消費しているうちにfffさんの誤答修正が間に合って敗北。なかなか実際に置いてみないと見えないせいで、そこに消しゴムを使う時間がもったいないなと動画を振り返って感じます。
これで三連敗となってしまいましたが、相手のファインプレーに近いのでやむなしな面もあります。この問題で理詰めを追えたことに対しては手ごたえを感じたので、成績よりはかなりマシな心理状態だった気がします。

4. Cave (vs. deu)

次は鬼門のCave。コンテスト定番で苦手なパズルは何かと言われればCave、Kakuro、Slitherlinkを真っ先に挙げるほどです。しかも相手がdeuさんということで、これは端から負けとして計算していました。
開幕後まずは2の斜めの黒マスから処理するのですが、最初黒マスを書くつもりでなぜか点を打っており、心の中でツッコミを入れました(数字を塗るCaveはやったことないはずなのですが)。一通り埋めた後の右上の白マスの抜け方に気付いたのは我ながらファインプレーだったと思います。そのままユニークネスを使って山場の右上を抜けましたが、ここまでの綺麗な流れは自分じゃそうそう出せないレベルですね。この次の右下がそのまま上に抜けられないことに気付くのには少し時間がかかってしまいました。ここが早い段階でできていればユニークネスは不要でしたね。
これにより4戦目にして初勝利。なにより1勝できたことは精神的に大きく、しかも苦手パズル・deuさん相手にベストパフォーマンスで勝てたことで、この先かなり波に乗ることができました。

5. Shikaku (Knapp Daneben) (vs. Kota)

Shikakuの±1ということで、総和による全体制約は多分全員考えてはいたんじゃないでしょうか。私の場合は、理詰めを意識しているのでさすがに自明な入り口がなければさっさとやる作戦でした。
ところが、対戦が始まると周りがすぐに動き出していたのが分かったので、そういう問題ではないのかなと思ってしまい別の入り口を探すことになります。ここでの動きがお前Knapp Daneben初めてかというレベルの酷さで、書いたところがほぼ嘘という有様でした。多分そうして1分くらい溶かしてしまったのですが、そこでもうこのままやってても仕方ないと吹っ切れて、当初の予定通り総和の計算にかかりました。これ実は最初は脳内で暗算をし、その後いけそうだとなってから紙で検算という風に2回行っています。競技目線だと最初から紙でやるべきだったかなというのは反省ポイントです。ともかくも幸いこれで強めの制約を手に入れることができたので、ここからようやく動き出すことができました。実際には初手から制約を使えるわけではなく左上とかの最初見えていなかったところをちゃんとこなしてからとなるわけですが、心理状態がよくなったおかげかこれも無事気付けました。後半はただのShikakuということで、(まあここの動きも最速ではなかったかもですが)一気に相手を追い抜いての提出を見せることができました。
Kotaさんは今回のメンバーの中でも最上位クラス、しかも理詰め派筆頭ということで、この勝負で理詰め勝ちができたのは非常に嬉しかったです。前述のように個々の動きにはかなり反省点もあるのですが、収穫の多い対戦だったのではないでしょうか。

6. Slitherlink (抜け番)

運営上、各選手は14問のうち2問は対戦に加わらない抜け番となります。上でも書きましたがSlitherlinkは苦手パズルなので、ここを抜けられるのは運がいいと思いました。事前に解いたときのタイムは、正確には忘れてしまいましたが4~5分ほどだったような気がします。本番の対戦での勝利タイムは遅くとも3分なので、やはり参加していたら負けていたでしょう。UNPさん、fffさん両名の速度はさすがですね。

7. Wordsearch (vs. panista)

ここで飛んでくるかというカジュアルパズル。解いた経験もそこまで多くないので出たとこ勝負というつもりではありました。強いて言えば、このパズルは序盤は全部見えているものを探しきってその後に空欄を埋める流れになりますが、最初の探すところは丁寧めにしたいとは思っていました。
さて、今回は自分の対戦は後半だったので、前半の結果は待ち時間などから何となく知ることができます。毎回後半戦の4人でそういう情報から難易度予想を話したりするわけですが、ここで今大会初のドローとなったため一同騒然となりました(恐らく誰も高難易度Wordsearchは考慮していなかったでしょう)。まあ結局私はこのパズルに対してそんなに知見がないので特にどうしようとかはなく、逆に解ききれなくても仕方ないレベルならじっくりやろうという感じだった気がします。
解き始めると、そもそものサイズが大きいので前半のsearchパートでそれなりに時間を食われました。動画を確認すると、空白に文字を埋め始めたのが6分経過したくらいだったようです。そしてこの問題がさらにヤバいのは後半の文字埋めで、長い単語が残っていないうえに紛れまでてんこ盛りで残りの時間では到底処理できませんでした。動画で全員の解き状況を確認するとこれでもまあまあ当てていた方だったようです。
これのドローはまあ仕方ありません。逆に相手が神引きして負けとかになるともはや理不尽のレベルなので、それがないだけよかったと言うべきでしょう。大会はここで折り返しとなりこの辺から徐々に体力がきつくなってきますが、この問題は10分かけたものの他の問題とは脳の使う部分が少し違うので、ダメージはあるとはいえまだ助かった方かなという感じもしました。

8. Kakuro (vs. EctoPlasma)

三大苦手パズルのトリとなるKakuroです。このセット全部あるんだが。ちなみにこの辺りのパズルは特にWPC選抜で相性最悪の場合が多く、何度も代表入りを阻まれてきた実績があります。対するEctoPlasmaさんは、引きができなくともラテンなどの数字埋めも苦手ではないという印象があるので、まあ厳しいだろうなという予想でした。
盤面を見て最初に目に付くのは右下ですが、その後全体の取っ掛かりとなる左上に開始30秒で気付けたのは上出来だと思います。以降も総じてそこまで詰まることなく時計回りの流れに乗って解けたのではないでしょうか。比較的自分と相性のいい展開が多かった印象がありますね。右下の出口については情報が揃ってきたちょうどいいタイミングで着目できました。見方としては、R10C9の候補が124ということとR9C10/R10C10/R10C11の3マスの和が7から横の10が最大になるという流れでした(本質的には動画の解説と同じ)。
ここは僅差ながら勝利を掴めました。Caveに続いての苦手パズルでの勝利は少々出来過ぎなくらいにも感じましたね。対戦前から苦手苦手と言い続けていたので、EctoPlasmaさんには少し申し訳ないことをしたかもしれません…。数字埋めをしっかりできるKotaさん(抜け番)やdeuさんが5分台とのことなのでこれくらいが競技パズラーとしての目標タイムになりそうですが、自分のパフォーマンスとしては7分台が出せたのには満足しています。

9. Heyawake (vs. UNP)

かなり問題によって要求されるものが変わるパズルという印象です。海外だと細かい部屋を仮定気味に1マスずつ埋めていくタイプが一番多そうですが、易しめだとちょっとニコリに近付き、また空白主体のものなんかも記憶にあります。Puzzle Squareの難問では定番の大きめの部屋充填や、まして川などはあまり見かけない気がします。これらの中だと自分が一番好きなのが空白タイプで、ニコリ寄りは普通、部屋が細かいと厳しく、充填や川はお手上げという感じになります。恐らく他の人も問題傾向によって相性が大きく変わりそうなので、こればかりは始まってみないと分からないなと思っていました。
問題を見てちょっとだけ触ってみるとニコリ寄りだと分かったので、速度重視で白マスでもあまり点を打たずに解き進めました。かなり決まる場所が多いので手や目が追い付かないといった感じの問題でしたね。こういったHeyawakeで詰まるパターンとして三連禁を見逃すというのはよくありますが、今回はR5C5が絡む部分も含めてまあ及第点だったかなと思います。今回は白マスをあんまりマークしていないので、塗り忘れ誤答は正直怖かったです(WPCでやらかした気がします)。まあ全体的に数字入りの部屋が多く、また目立った白エリアである左下の2×4の部屋は一応確認してから提出していました。スピード勝負の場合はなかなかこれ以上の時間をかけられないのが実情かもしれません。
ここでも僅差で勝利。Tapaやこの問題のようなスプリントで勝つというのはまた他と違う気持ちよさがあります。また、勝ちを積み上げてきたことでだいぶ自信を持って臨めるようにもなってきました。

10. Doppelblock (vs. fff)

Doppelblockはラテンということでちょっと苦手寄りですがまだマシな方。一方、引きが有効なケースも多いのでfffさん相手というのはちょっと心配な面もありました。とはいえこういう場面だからこそ理詰めを忘れないようにと気を締めなおして臨みました。
序盤1分ほどはかなり詰まってしまったかなと思います。これは10や11の列で真ん中の白を打つという基本的なことをしなかったせいなので、ここはかなり反省点です。そこに気付いてからはようやく普通に解け始めましたが、遅れているという感覚はあったので特に最後のラテン埋めはかなり集中して手が止まらないように意識しました。相手が数字埋めで仮定を外していたことも手伝い、結果としてここで捲ることができたようです。
この辺からかなり疲労が溜まってきてパフォーマンスも落ちてきた感覚がありました。一方でこの時点で5勝3敗とそこそこ勝ち越しており、チャレンジャーのつもりで来た自分としては既に満足できるだけの結果が出せていたので、もう勝敗に拘る気持ちはなく純粋に勝負できてはいました。

11. Masterword (vs. deu)

直近のLMI PRでも出題され(文字重複ありでしたが)、その時はかなりスムーズに解けたので、今回のセットの中では比較的自信ある寄りのパズルでした。しかし相手のdeuさんも同じくすぐに理詰めができたと仰っていたため気は抜けませんでした。外での待機時間で誤答が連発する展開になるかもという話になり「自分はそういう解き方しないんで大丈夫だと思いますけど」なとど発言しましたが、これがしっかりフラグとなります。
前半はあまり詰まらずに進められたと思います。最初TとDが決まり、続くAまでは自信を持って確定させていました。問題がこの先で、3,4文字目がセットで二択、あと6文字目で調整という構成まではよかったのですが、この調整をミスって誤答してしまいました。しっかりヒントと照らし合わさずに提出したのがダイレクトに響いているにもかかわらず、返却された後の修正でもきちんと確認せずに再提出してしまい再誤答。3度目の提出でようやく正解しますがこの時でさえチェックをサボっていたので正しいか確証が持てていませんでした。これは完全に疲労によるものではあり、この時点でもう細かいチェックを行う体力が残ってませんでした。それでももう少しあるだろうというのはもちろん、速度を意識しすぎて最初の提出で詰めをなおざりにしてしまったのがそもそも良くなかったのかなと思います。
結果として勝利を収めることはできましたが、この内容ではさすがに嬉しいというよりラッキーでしかなかったなという感じ。引き分け挟んで6連勝ではありますが、勝敗よりは自分のパフォーマンスとしての納得の方が響きますね。

12. Akari (vs. Kota)

競技パズルとしては少しマイナーなAkari(美術館)。自分としてはHazakuraさんのAkariはUTPC2017の問題が印象強く、まあまあ難しくしてくる可能性も考慮はしていました。とはいえそれも理詰めだったので、変な仮定はあまりしないようにという意識で臨みました。
最初はなかなか問題の全貌が見えず、特に数字が多めの左下に気を取られ続けてしまいました。途中で肝であるチェイン(自分はカウンティングとして処理していますが)を発見し、そこからは流れで進められました。ところが、最後になってそのチェインをほどく部分が見えず詰まってしまいます。序盤含めてそれなりに時間を食っていた感覚があったのでとりあえず片方置くことにしたのですが、本当は外れのパターンにしたところ明確な矛盾を見出せずそのまま提出。ここにも疲れの影響が見受けられますが、理詰め意識としてはやはり悪手と言うべきでしょう。その後返却されて矛盾を探しているうちに相手に正解されてしまいました。この誤答後に限って言えば、二択チェインまでは自信を持てていたので返却後ノータイムでもう一方に直してとりあえず出すという理詰めを捨てた戦略でもよかったかもしれません。
これにより6勝同士の対決を落として4敗目。疲れにより力を出し切れず、しかも理詰めを諦めたことによるミスとかなり堪える一敗でした。

13. Compass (抜け番)

このタイミングでの抜け番は、気持ちの切り替えとしても疲労回復としても非常にありがたかったと思います。しかもこのCompassかなりの難問で、事前に解いたときに14分かかっているので対戦していたとしても絶対に勝てなかったことになります。Compass自体は好きなパズルなので問題を見る前は残念に思ったのですが、解いてみてすぐにラッキーだったと悟りました。本番で各選手もかなりの苦戦を強いられており、大会終盤になって勝者2名を含めた全員がほぼ10分格闘し続けたというのはかなり体力を奪われる展開だったと思います。そんな中ギリギリで通した2人はジャッジしていた側から見ても熱い展開でした。

14. Magnets (vs. panista)

Magnets自体はそんなに得意ではないのですが、直前のCompassを回避したという圧倒的アドバンテージによりかなり優位な気持ちで挑めました。また、対戦相手のpanistaさんは一時期競技から離れていたブランクが残っているように見受けられたので、(前回対戦はWordsearchだったのでドローでしたが)きっちり勝って締めたいという思いもありました。
Magnetsというパズル種自体、全表出でないパターンだと極端に変なことをするパズルではない印象です。しかし次の一手を見つけるのに時間がかかりがちで、そこをどれだけ短縮できるかがタイムに直結するように思います。私はいつもそこで失敗して効率を落としがちなので、次がどこかを常に考えて解き進めました。とはいえそんなのは当たり前のことであってそれで速く解けるなら世話はないのですが、今回は問題との相性もあってかかなりスムーズに進められたのではないかと思います。
結果、最終問題にしてついにfastestでの勝利を得ることができました。これには他の選手が前問でCompassを解いていた影響もあると思うので100%実力だとは受け取っていませんが、それを抜きにしてもいいパフォーマンスであったと自負しています。

総括

成績は7勝4敗1分で全体2位と、かなり良い結果でした。とはいえ今回は運が味方した部分も大きいと思います。Fastestは1問だけですし、抜け番に当たった2問はどちらも自分に有利に働きました。そもそもHazakuraさんの問題との相性もかなり良かった気がします。どの問題にもしっかりした理詰めが存在していて、また苦手なCaveやKakuroは普段ならこうも上手くはいかないでしょう。
一方でちゃんと良かったなと思う点も存在していて、ひとつは選手全員に1勝以上できたこと。特にKotaさんやdeuさんは自分が競技パズルに触れ始めたころからずっとトップランナーとして走り続けてこられた方々なので、そうした人たちと肩を並べて戦うことができたというのは非常にいい自信になりました。安定感なども考えるとまだまだ追いついたとは言えない状況ですが、(EctoPlasmaさんにも時々言われますが)実力の自己認識は少しずつ変えていった方がいいかもしれないですね。
また、今回目標として掲げた理詰め意識は大枠としては達成できたのではないでしょうか。こういう風にスタンスがしっかり定まっていると戦略も立てやすいですし、また負けたときに必要以上に凹まなくなる効果が予想以上に大きいと実感しました。現状の競技パズラー層を見るとやや引きの方が優勢なのかなとは思いますが、少なくともKotaさんレベルまでは理詰めのポテンシャルはあるわけなので、今後もその方向で伸ばしていきたいと考えています。まあ普通のコンテストだったら引きも手段の一つとして使っていきたいのですが。
今後の課題としては体力面が一番気になりました。こういう理由で実力が発揮できないと感じるとかなり悔しいですからね。とはいえこれは体力自体を鍛えた方がいいのか、それとも疲れている場合の立ち回りを身に着けた方がいいのか…。練習するのも簡単ではないですし、今はまだどうすればいいかは見えていないポイントです。

とにかく楽しいイベントでした。自分がこういうときにまず第一に楽しいって言うのはもちろん本心なのですがあまり結果に拘り過ぎないようにする予防線のためという側面も一応あって、今回はそれもいい方に働いた気がします。まあ、当日は勝てない勝てないと予防線貼ってたら思ったより出来が良くて、それはそれでいい態度ではないかなとも感じたので、ちょうどいいラインを模索していきたいところではあります。
こういった対面でのハイレベルなイベントは貴重で、また手元動画が解説付きで残るのも非常に勉強になります(いつもPGPとかでは自分がどの問題で何分かけたかすら分からず振り返りが適当になるので)。この振り返りを書く過程で何度か見ましたが既にたくさんの発見がありました。今後もこういった機会は逃さないようにしたいので、また呼んでいただけるように精進します。


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