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グリッドマンユニバースで解かれたダイナゼノンの謎

映画グリッドマンユニバースによって、これまで謎とされてきたダイナゼノンの疑問がかなり解決されたので、今回はネタバレありでそれを振り返ってみます。

ダイナゼノンはどんな世界か?

まず多くの視聴者が感じていたと思われるダイナゼノンはどんな世界かについて映画にて示されました。
SSSS.GRIDMANの世界はストーリーの終盤で、新条アカネが作った世界ということが明示されました。実写版グリッドマン「電光超人グリッドマン」では、【現実世界】にいる主人公(直人)達が、仮想現実のコンピューターワールドにいる怪獣と戦い【現実世界】を守る話だったのに対し、SSSS.GRIDMANは、【仮想世界】の世界にいる主人公(裕太)が、現実世界にいる新条アカネを救い【仮想世界】を守るいう話であることがわかりました。
図にするといかのような関係でしょうか?


電光超人グリッドマンとSSSS.GRIDMANは同一の存在であり、直人・武史・アカネは同一の現実世界の住人であり、裕太たちは仮想世界に属すことが映画公開前までに示されていましたが、SSSS.DYNAZENONはどこか明確にはなっていませんでした。
ダイナゼノンで確認された
・二代目とナイト君が現れる
・響家と南家の内部が似ている
・墓地が同じ
・アカネが怪獣になった場所(水門)が登場する
といった点から、裕太の世界と同じテンプレートを使った別の世界ではないか?という予想もできましたが、
・怪獣による被害がリセットされない
・電光超人に現れたミイラが登場する(ゆかの声が聞こえる)
という点もあり、単にテンプレートを利用した世界では片づけられない要素もありました。同じテンプレートというより、むしろこちらかオリジナルの世界で、響裕太の世界がコピーされたものでは?実は現実世界なのではないか?というような含みもあったわけ、これが最大の謎で、今回の映画で解決されました。
本編中で示された
・蓬たちはグリッドマンから生まれた
・君の頭の中にあるものを使う=ダイナゼノン登場
といった点から、ダイナゼノンがグリッドマンの夢の中の世界であることがわかりました。SSSS.GRIDMANと電光超人の世界を経たグリッドマンが見た夢なので、SSSSと舞台が似てくるのは当然ですし、電光超人の要素が反映される(夢なので完全に一致しなくても問題ない)のも当然でしょう。
二代目とナイト君が、コンピューターワールドから夢の世界に移動できたことについては、夢で片付けることも出来ますし、そもそもこの時点でマッドオリジンによる世界のゆがみが発生していたのではないでしょうか?
この関係を先ほどの図に加えると以下のようになるかと思います。

おまけ メタ構造としてのグリッドマンらしさ

さて物語の舞台としての世界を図で示しましたが、実写版が好きだった私がSSSSシリーズを正統な続編として高く評価した理由もこの図で振り返れそうなので記載します。
シリーズを通して共通しているのは「守りたい世界」のために「外の世界」の「原因」を解決するという構図です。
電光超人グリッドマンでは、「守りたい世界」は直人のいる現実世界、「外の世界」はコンピューターワールドであり「原因」は怪獣です。
被害は現実世界に現れるものの、怪獣は別の世界にいるわけです。
SSSS.GRIDMANの序盤では「守りたい世界」は裕太のいる世界で、それを脅かす「原因」は怪獣ですが、その怪獣がいるのは、周りの人の記憶にない昨日である並行世界にいるため「外の世界」からの脅威と戦っている点も同じでしょう。

そのため、物語の序盤はこういった関係性の類似からグリッドマンとして楽しむことが出来たのです。そして、終盤に裕太たちが新条アカネから生まれた存在だとわかると、「守りたい世界」が裕太たちの世界であることに変わりはありませんが「原因」は怪獣ではなく新条アカネで、「外の世界」は現実世界になるわけです。図にすると以下ですが

より電光超人に近い構図であることがわかります。
ではダイナゼノンもこの対立構造が当てはまるのかと言えば。やはりあてはまります。
怪獣の被害が残り続けるので「外の世界」という概念も失われたように見えますが、守りたい世界を脅かす「原因」が怪獣ではなく、それぞれの過去のトラウマとして考えると、前2作品と非常によく似ています。図にすると以下で、

毎週毎週の怪獣との戦いには「外の世界」からの脅威がないように見えますが、シリーズを通して過去と戦ってきたと考えると、被害はいつも主人公の身の回りに発生し、その原因は外の世界にあるという点で3者が似ています。ストーリーのメタ的な構造としてグリッドマンらしさを貫いており、これが実写版のファンからも支持されているのではないかと思います。

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