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非正常的な特許出願問題について

中国では、商標の先取り問題、おかしい特許出願問題について、

中国特許庁も意識しており、特許庁サイトでも非正常的な出願問題を取締すると宣言しています。

↓以下ご参照ください。

https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/3/22/art_55_157908.html

この記事によると、

2021年の1月から6月までの半年間、中国特許庁は商標20,700件に対し、悪意のある出願として却下し、特許545,000件に対し非正常的な出願として通告したそうです。

じゃ、日本はどうでしょうか?

実は、日本にも悪質出願問題が存在します。以下に事例をあげます。

【意匠事例:その1】

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この意匠は、日本で、2020/07/20に出願され、2021/01/06に登録になった意匠です。

これに対し、実はアメリカで2019/03/19に以下のような意匠が出されています。

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また、中国では、2017/05/10に以下のような意匠が出されています。

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ご覧の通り、こちらの3つは、全部同じ商品です。微妙に違う部分もあるけど、基本全部一緒。なのにも関わらず、実態審査をする日本特許庁では、その後出意匠を登録させました。

【意匠事例:その2】

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日本出願日:2020/12/28
日本登録日:2021/05/17

これに対し、中国には、下記のような意匠が存在しています。

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中国出願日:2020/08/27
中国登録日:2020/12/22

これらは、たいたいアマゾンで物販している中華系セーラーで、輸入販売業者が日本で後出しする場合が多いです。大元のほうは、商品設計をした業者の場合が多いです。

意匠だけではなく、商標もこのような悪質出願が多いです。

以下、商標の事例を見ましょう。

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こちらの事例では、大元の会社が2017年商標を18類で出しました。

その後、商品カテゴリが増え、実は、9類の商品も展開していました。

そこで、今年の5月、某個人の方により、9類で同じネーミングの商標が出されました。

その2ヶ月後の7月に大元がこれを発見し、早速、9類でも追加で商標を出した後に、5月のその先取り商標に対し情報提供をしました。幸いなことに、担当の審査官も採択してくれました。

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登録前に発覚されてよかったです。もし、登録になったら、異議申立てでは、これぐらいの認知度で、先取り商標を潰すのは難しかったと思います。

因みに、この先取り出願をした個人の方の名前で検索すると、2021年だけで79件の商標を出しました。

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しかも、このような商標先取り業者は、この個人以外にも幾つか存在します。この方は去年から商標を出し始めていますが、私が把握している別の業者は、法人として先取りを専門に行い、2015年ぐらいから先取り出願をやり始めて、今まで200件以上も出しました。その中で、大半は他人に売られていました。

日本特許庁もこの非正常的な出願問題を把握されているとは思いますが、もっと厳しく取り締めてほしいです!

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