『華氏451度』レイ・ブラッドベリ

あらすじ
未来の進化した都市を舞台にしたストーリー。
そこにはあらゆる不便が排除されテクノロジーの力によって便利すぎる世の中になった。政府による完全支配の下、個人情報や指紋など全てが監視された社会。その中で以前からあった消火士の仕事は不燃性材料により仕事がなくなってしまう。そこで新しい職業として昇火士という焚書をする仕事が誕生した。そこでは本を燃やし、思想統治が進んだ社会となってしまった。

感想
この本はSFというジャンルに分類されると思う。機械猟犬という非現実的な生き物が街を監視し、反逆者にはプロカインという薬物を打ち、市民の安全を守る。現代の監視カメラの3倍以上の能力を発揮する優れもの。そんな街を想像するのはなかなか難しいし、ここ50年でもこの機会猟犬を発明し、実用化するのは難しいのではないだろうか。しかし、このストーリーをSFと片付け、今を生きる私たち若者と無縁のことだと考えるのはあまりに簡単で浅いと感じる。この世界ではモニターに囲まれ、物事を考えることをやめさせる。昇火士の上司ベイティーが言う「戦争なんてあることを忘れさせておけばいいんだ。国民が思い悩むような政府よりはましだ。」「不燃性のデータをいっぱい詰め込んでやれ。そうしてやれば自分の頭で考えているような気になる。」この2文から考えることは私たちの世界にも大いに投影できる。戦争でメディアを通して行われるプロパガンダの垂れ流しや暗記教育は現代そのものだ。また「テレビは人を望み通りに育て上げてしまう」と言う文は戦後の経済成長を遂げた日本でも広く普及したテレビの危険性、洗脳を上手く表している。

そこで私たちが考えないとならないのは今の常識と考えられてること、疑問視されてない事は誰が何の為に作ったのかを考える必要を感じる。男尊女卑、FGM(女性器切開)、民族優位思想など私たちが生きる現代で一般的に行われていることは普通なのか。これほど生活水準が減ったのになぜ、精神病などが蔓延しているのか。私たちはみんな幸せになる為に生きている。しかし、私たちは幸せになれていない。本当に大多数の人が歩む道はただしいのか。この問いを結びの言葉とさせて頂きます。

はじめまして。大学院進学を目指している人間です。
私のページを読んでいただいた方、誠にありがとうございました。
下手な文章構成をご容赦下さい。

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